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戦前のクルマでサーキットを楽しむベテランに直撃インタビュー! 自作木工でボートテールを作った「オースティン セブン」など4台を紹介

今年で100周年のオースティン セブンが7台集まりサーキットを走った

1923年から生産が開始された「オースティン セブン」は2023年で生誕100周年。イギリスで小型大衆車の普及に貢献しただけでなく、モータースポーツを身近な存在としたクルマでもある。千葉県・袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催された「サイドウェイ・トロフィー」には、7台ものオースティン セブンが参加。今回は、それぞれ楽しみ方も多彩な4人のオーナーたちと愛車を紹介しよう。

1937年製 入手してから30年でようやく実動状態へ

「手に入れたのは30年くらい前なんですが、ずっとガレージに眠らせていたんですよ。数年前に、このイベントでオースティン セブン スペシャルが走っていたのですが、その姿にときめいてしまったんですよね。ブルース・マクラーレンが乗っていたスペシャルと似ていてカッコよかったです。同時に、あ! 自分も持っているんだった。よし動くようにするぞ! とそのときに決意しました」

それからは、自宅ガレージで約1年かけて作業を行い、実動状態へとしたというのは、静岡県から参加した鈴木伸彦さん。

ちなみに、ブルース・マクラーレンだけでなく、ロータスのコーリン・チャップマンや、マーコスのジェム・マーシュもオースティン セブンをベースとしたレーシングカーで、レーシングカーコンストラクターとしての道を確立していったのだ。

鈴木伸彦さんの1936年製オースティン セブンの外観で特徴的なのは、なんといっても木工でできているリアまわりだ。

「このリアの木工のボートテールですか? これも、まずは型を作って、それに貼り合わせた板をシェイプしてニス塗りで仕上げてます」

これまでも、1960年代のトライアンフなど数台を、自身の手でレストアを施したことのあるという鈴木さんであるが、戦前車はこのオースティン セブンが初めての作業だったという。

「オースティン セブンのブレーキは利きが悪いなんて話もありますが、前後のバランスをフロント重視に調整できるようにしたり、ブレーキシューを引くワイヤーの取り回しを変更したら、かなり良くなりましたね。邪道かもしれませんが、シフトのリンケージを作ったおかげで操作性も向上しましたよ」

レーシングコンストラクターとして確立していった先人たちと同様に、オースティン セブンを楽しみ尽くしたいという鈴木さんであった。

1937年製 お孫さんも一緒にサーキットへ来てイベントを満喫

そして、次のオーナーのお名前も鈴木さんで、家族3代でイベントを楽しんでいる鈴木 潔さん。長く英国車に親しみ、この1937年製オースティン セブンが初めての戦前車だという。

「手に入れてからはブリティッシュ・クラシック・マラソンというヒストリックカーラリーに息子と出場していますが、今年3年目にして初完走しました。今日はこれだけのオースティン セブンが並んで、なんともいえないですね」

と顔をほころばせていた。

1934製 街乗りも長距離ドライブもこなせるオースティン セブン

コマーやベッドフォードといった英国製のヴィンテージ・キャンピングカーの輸入や、日本製のモーターサイクルを英国へ輸出する仕事をしているという英国人のアンソニー・ハーディーさん。愛車はイタリアでボディワークを受けたオースティン セブン スペシャルだ。

「エンジンも手で下ろせるし、アナログ中のアナログのメカニズムだから、なんでも自分でできるのも魅力だね。クルマがどういうものかを教えてくれるのがセブンだよ。何かあってもシンプルだから、すぐに原因が分かるしタフだよ。先日も大間にマグロを食べにいったよ。ボクのセブンが日本で一番距離を走ってるんじゃないかな」

アンソニーさん、日常的にも使えるというオースティン セブンの伝道師としてこれからもアピールしていってください。

1929年製 お客のセブンのエンジンを組んだのが縁で自らもオーナーに

最後のオーナー、津谷文信さんはメカニック。以前にAMWで紹介した仙石さんのオースティン セブンのエンジンを組んだというきっかけから興味を持ち、縁あって手に入れたばかりという1929年製のセブンを持ち込んだ。

「家のまわりは走ってますが、コース走行は今日が初めてなので、様子を見ながら楽しみます」

とコースインしていった。緑ゆたかな袖ヶ浦のコースを走るオースティン セブンたち。その光景はまるで本国イギリスのようだ。それぞれが思い思いのペースで20分の走行を楽しんだ1日であった。

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