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10年落ちタダ同然で手に入れたホンダ「ライフステップバン」とともに40年!「自分とクルマ、どっちが長生きするかな?」

四角いボディに丸目2灯。現在のNシリーズに受け継がれたホンダのDNAを感じ取ってほしい

元祖ホンダのトールワゴンは、50年経っても現役です

2011年に登場したホンダの初代「N-BOX」は、ご存知の通りライバルがたくさん存在する軽自動車のカテゴリーで、圧倒的な人気を得ているのは言うまでもない。この2023年10月には、2度目のフルモデルチェンジを迎えた3代目が新発売され、こちらも爆売れ中。そんなホンダのトールワゴン型軽自動車の元祖、「ライフステップバン」を40年に渡って愛する島田さんをご紹介しよう。

10年落ちのオンボロ、1年半の車検付き購入が歴史の始まり

福岡県北九州市門司区にある門司港レトロの海沿いで、姉妹車の「ライフピックアップ」と共に仲良く並んで展示されていたこちらの「ライフステップバン」。ホンダの最新軽バン「N-VAN」が登場した際に設定されたプレミアムイエローを彷彿とさせる、オレンジカラーがとても可愛らしかった。

オーナーの島田了輔さんがこの愛車を入手したのは、今から40年近くも前のこと。「格安で乗れるクルマを探していた」という島田さんの元に、この「ライフステップバン」の話が舞い込んできたのだ。

「安く乗れれば何でもいいと思っていたので、あの時はこの車両に強い思い入れがあったわけではないんですよ。入手したときは、生産からすでに10年落ち。それにもかかわらずその10年間でこんなに錆が出るの!? と驚いたほど、あっちこっちに穴が開いていたりしたんです。でも、1年半も車検が残っていて、価格は確か8〜9万円ぐらいでいいと言うので、車検が切れるまで乗り切って、次のクルマに買い替えようというつもりでいました」

現代では当たり前の形でも、50年前は異色デザインだった

ホンダ「ライフステップバン」が発売されていたのは、1972年(昭和47年)から1974年(昭和49年)の2年間だけ。当時発売されていたホンダ「ライフ」のシャシーに、ボンネット付きの背の高いボディを載せたスタイルが特徴だった。当時の軽自動車なので排気量は356cc。水冷直列2気筒SOHCエンジンで30ps。「N-VAN」の658cc、53psにはかなわないが、車両重量が605kgと「N-VAN」の950kg(FF/CVT仕様)と比べると約250kgも軽量だったため、当時の街中を軽快に走っていただろうと想像する。

今の時代ではこういったボディ形状は「トールワゴン」と呼ばれ、各社が様々な車種を販売しているが、半世紀も前の時代でこのデザインを採用していたのは、この「ライフステップバン」しかなかった。それでも、平たいダッシュボードや後席折り畳みシート採用で、フラットかつ広大荷室空間を確保するなど、使い勝手は良好。ボディサイズも、全長/全幅/全高が3395mm/1475mn/1945mm(N-VAN)に対して、2995mm/1295mm/1620mmと小さく、時代背景に合わせたミニマムサイズのボディを最大限フル活用するパッケージは、今の「N-VAN」にもしっかりと受け継がれている。

雑誌で見たエンジン乗せ換え企画に興味を持ち、大晦日にDIYチャレンジ

「安く買ったのはいいけど、しっかりと走るようにするためにはお金がかかりそうだぞ」という島田さんの予感は的中。酷いのはボディだけではなく、エンジンもアイドリングでさえもままならない状態。結果的に、8月にこの車両を購入後、今度はさらにスクラップ状態の部品取り車まで入手。そして、雑誌で見かけたエンジン積み換え企画に興味を持ち、その年の大晦日に、いよいよDIYによる乗せ換えを敢行したのだ。

「試行錯誤しながら、自分でエンジンを抱え込んで乗せ換えなどをしました。でもそのおかげでなんとか乗れるようになり、結果的に購入当初の目標だった最初の車検が来たわけです。この時点ですでにエンジンやボディなど、いろいろと手間をかけてしまっていたので、さすがに手放すのはもったいないなと。そんな感じで気付いたら、40年近くも所有してしまいました(笑)」

フルレストアとは言わないまでも、鈑金修理を含め現在のボディカラーにしたのが約25年前。修理箇所が多すぎて、どこをいつ直したのかの記憶は曖昧とのことだったが、当時の修理記録は写真付きで思い出として残されている。

「信号待ちでボンネットを上げて、アイドリング調整を繰り返しながら走ったり。遠出しようと思ったら、劣化でフロントウインドウにヒビが入ったとか。家族で出かけようと思ったのに、出発直後に白煙が出て。戻ってヘッド開けてみたらピストンにもヒビが入っていたとか。ちょっと思い出すだけでも、トラブルエピソードにはキリが無いです(笑)」

昔はこの「ライフステップバン」に乗って一緒に出かけていたお子さんたちも、これを引き継ぐ気は無いそうだ。

「自分とこのクルマ、どっちが長生きするのかな?って最近は思うようになりました。マニュアル車というだけで息子たちは敬遠するから、家族は誰も乗らないでしょうし。それならば、このクルマを私の棺桶にするしかないかな、って感じです(笑)」

人生の2/3を一緒に過ごしてきた、家族と同じくらい大切な「ライフステップバン」。島田さんと愛車の行く末は一体どうなることやら!?

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