サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

R35「GT-R」を700馬力に抑える理由とは? 過激チューニングで知られた「スクリーン」が永く楽しめるユーザーフレンドリー仕様を提案

エンジン

まずはブーストアップからスタート。それでもEcuTek+コネクトによるセッティングで700psを達成

もう一度R35 GT-Rを見つめ直したかった

車種/ジャンル/楽しみ方はさまざまあれど、チューニングカーの王道といえばスポーツカーであることに異論を挟む余地はないでしょう。2024年2月10日~12日にインテックス大阪で開催された「大阪オートメッセ2024」の6A号館には、新旧含めてさまざまなスポーツカーのチューンドモデルが見られました。数ある車両の中から、今回は東北のコンピュータチューン第一人者である千葉 弘代表率いる「プロショップスクリーン(以下スクリーン)」が手がけた日産R35「GT-R」の新デモカーをクローズアップします。

永く乗っても壊れない仕様を目指した

6A号館のスクリーンブースは、台湾のブレーキパーツ&サスペンションパーツメーカー「D2」の日本法人である、「D2 JAPAN」との合同出展。スクリーンはD2のパートナーとしてパーツ開発に協力しており、プロドライバーの佐々木雅弘選手や前嶋秀司選手を起用し、スポーツランドSUGOなどで開発している。テストを繰り返し、得たデータを本国へとフィードバック。その実績が認められ、現在ではD2 JAPANオリジナルセッティングの車高調やブレーキキットが用意されるまでに信頼関係は深まっているのだ。もちろん、今回紹介するR35 GT-Rのブレーキとサスペンションには、D2 JAPANの商品が装着されている(※近日「GRカローラ」用のブレーキキットと車高調が設定される予定)。

展示されたデモカーは、2017年モデルのブラックエディションがベース。これまで1000psを超えるタイムアタック仕様などかなりハードなモデルも製作してきたが、この個体はベーシックなブーストアップ仕様。とはいえ、サーキットを連続周回できるように徹底的に対策が施されているのが特徴だ。

R35 GT-Rでサーキット走行するときに一番の懸念材料となるのは冷却系。ハイペースで周回を重ねるとエンジンやトランスミッションの温度が急速に上昇し、壊さないように車両側が強制的に出力を抑える、いわゆるフェイルセーフモードに入ってしまう。その領域に入らないよう、まずはHKSのトランスミッションオイルクーラーと、HKSの大型インタークーラーを装着して安定化を図っている。

その上で、吸排気効率を高めるために吸気系はHKSのパイピングキットを、排気系はトラストのキャタライザーとRH9のチタンマフラーに交換。さらにEcuTek+コネクトによりパフォーマンスアップに合わせてECMの最適化を図ることで、ブーストアップながら700ps/109kgmオーバーのスペックまで引き上げている。

足まわりは前述したとおり、D2 JAPANの最高峰となるスーパーレーシングをセット。ただし、吊るしではなくHAL製のスプリングを組み合わせたオリジナルセッティングだ。ブレーキは鍛造モノブロックキャリパーとF:400mm、R:380mmの大型ローターをセットする。ちなみにキャリパーは最新のブラックアルマイト仕様だ。

エクステリアはフロントリップ/サイドステップ/リアアンダーはフェニックスパワー、ドライカーボンのトランクとリアウイングはトラックエディションのオプション設定品を組み込み、さりげなく差別化。ノーマル派から見て「ちょっといいな」というパッケージに仕上がっている。

「ストリートからサーキットまで楽しむことができ、お客さんの手本となり提案できるようなクルマを目標に仕立てました。最近はスポーツランドSUGOで10周程度の模擬レースを楽しむ人もいますので、日常からかけ離れた仕様より、長く使っても壊れないことを重視しています。また、『もう1度R35 GT-Rを見つめ直したい』という気持ちもありました。もしかしたら、3年後、5年後は1000psになっているかもしれません」

と千葉代表は笑う。

昔はハードなマシンメイクを手がけるショップとして認知されていたスクリーンだが、今はユーザーに寄り添うクルマ作りへシフトしたと語る。新デモカーのR35はまさにそれを象徴するチューンドカーといえるだろう。

モバイルバージョンを終了