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特攻隊の記憶を後世へ! 零戦のような日産R33「スカイライン」は鹿児島からやってきました「1週間かけて5600本のリベットを打ち込みました」

オーナーのマーベリックさんと愛車のR33型日産スカイライン

異色のミリタリーテイストのマシン

大阪オートメッセ2024(以下OAM)にはさまざまなカスタムカーが集まります。そんな会場から、異色のミリタリーテイストのマシンと、その横で敬礼をする戦前の飛行服スタイルのオーナーを発見。その真意を尋ねてみました。

鹿児島から特攻隊の記憶を後世に伝えたい

OAMでは、メーカー・ショップだけでなく、オーナーたちが手がけるカスタムカーも数多く展示される。こうしたマシンは、その自由な発想力によってショップデモカー以上にハイレベルに仕上がったマシンも多く見受けられる。そこで、今回はミリタリーテイストのマシンの脇で、スマホなどで撮影するギャラリーにひたすら敬礼しているオーナーに話を伺った。

ベース車はR33型日産「スカイライン」。そして、ミリタリーテイストの仕上げは、おそらく第二次世界大戦中に米軍が恐れた名機「零式艦上戦闘機」(以下零戦)がモチーフとなっている。

オーナーは鹿児島県で中古車販売を営む“マーベリック”さんだ。このクルマを作ろうと思ったきっかけは、鹿児島という場所に関係している。終戦間際、南方への前線基地である鹿児島から特攻隊が出撃した。中でも知覧(ちらん)は有名な場所で、マーベリックさんも毎月この地を訪れて手を合わせているという。そんな神風特別攻撃隊の歩みを後世に伝えるために、マーベリックさんは愛車のR33スカイラインをベースに零戦を彷彿させる1台を完成させた。

5600本ものリベットを手作業で打ち込む

ボディリメイクについては、零戦の機体に使われていたアルミの素地感を演出するべく、ところどころに劣化やヤレ感をペイントで表現している。カスタム界ではこうした仕上げを「ヤラレ塗装」と呼んでいるが、マーベリックさんの仕上げはそれだけでは終わらず、リベットをボディ全体に打ち込むことで、戦時中の戦闘機が持つ独特の雰囲気を引き出した。

当初は零戦という名の由来にもなっている神武天皇即位紀元の2600年(1940年に相当)にちなんで、2600本をボディに打ち込んだ。しかし、それだけではまったく足りず、最終的に5600本ものリベットを手作業で打ち込むことになった。ただ、この作業がものすごく大変でちょうど夏場の作業だったこともあり、何度か熱中症で倒れてしまったそうだ。それでも1週間かけて、自分が思い描く通りの仕上げている。

内装は戦闘機のコクピット

ほかにも、純正スタンダードのままでは迫力に欠けるので、ワンオフ加工でエアロパーツを装着。オーバーフェンダーをプラスし、マシンのアグレッシブさを表現している。

外装よりもっと凄いのが内装の作り込みだ。まさに戦闘機のコクピットといった感じで、ダッシュボードはすべて外され、アルミ板で制御系パネルを製作し、各メーターを設置するほかに零戦のスロットルまで再現している。アルミむき出しのシートも良い雰囲気を醸し出しているが、これは航空機用ではなくローライダーのカスタムカー用として、イギリスで市販されているシートとのことだ。

リアトレイには燃料タンクを設置し、そこには片道燃料の文字を入れるこだわりよう。まさに神風特別攻撃隊の象徴として主張している。ちなみにこの燃料タンクはダミーではなく、燃料ポンプを別系統で引いてコレクタータンクとして使えるようにしていた。

このR33スカイラインが搭載するRB25DETエンジンはタービンを交換し、ブースト1kg/cm2設定でピークパワーは350psをマークするが、マーベリックさんはこのように話す。

「パワーがあってもリアにキャンバー角を付けすぎているため、フルパワーをかけるとホイールスピンの嵐でどうしようもないのです……」

特別な舞台となるOAMに出展ということで、特攻隊員の衣装を奮発して用意したというマーベリックさん。普段からこの隊員服を着用しているわけではないが、クルマは普段乗りにも使っている。今回も鹿児島県からOAMの会場であるインテックス大阪まで自走で来たというから驚きだ。

「鹿児島県の街中をちょくちょく走っているので、もし見かけたらぜひお声がけを!」

とは、オーナーであるマーベリックさんからOAM読者への伝言だ。

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