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ボルボの最新コンパクトEV「EX30」に試乗! 小さくても電動化してもプレミアムブランドらしいフットワークは健在です

ボルボEX30のボディサイズは全長4235mm×全幅1835mm×全高1550mm

ついに2024年2月から日本でのデリバリーがスタート

2030年までに全ラインアップをBEVにすると宣言しているボルボにとって、最重要な新規モデルとなるのが「ボルボ史上最少のSUV」をうたうBEV「EX30」です。2023年8月にジャパンプレミアを行い、2024年2月後半から日本でのデリバリーが開始されたEX30にさっそくモータージャーナリスト山崎元裕氏が試乗しました。

サステナブルな未来への取り組みとボルボ伝統のデザインが融合

ボルボがラインアップする、最もコンパクトなピュア・エレクトリック・ビークル(BEV)の「EX30」が、ついに日本上陸を果たした。ボルボは将来BEVの専業メーカーとなることをすでに公式に発表しているが、この全長4235mm×全幅1835mm×全高1550mmというコンパクトなボディサイズを持つニューモデルが市場で成功するか否かは、その長期的なプランにも大きな影響を与えることは間違いないところだ。

じっさいに対面したEX30は、そのエクステリアからも十分に上質感が感じられるスタイルが描き出されたモデルだった。フロントからはもちろんグリルはなくなったが、ボルボの伝統的なエンブレムや、トールハンマー型のLEDヘッドライトはそのまま継承され、ボルボ車としての個性を継承している。

ボディの各部を構成するラインも、シャープな印象で高級感がある。EX30のエクステリアに使用されている素材はアルミニウムの約25%、スチールとプラスチックは約17%がリサイクル素材によってまかなわれているというが、当然のことながら外観からそれを意識させられるようなことはない。SUVとしての優れたパッケージングと、オプションの20インチ径タイヤを装着したことで、フットワークの力強さが演出された姿に、試乗への期待感がより強まるのみだ。

新たなBEV用プラットフォームに先進装備の組み合わせ

EX30が、これまでの「C40」や「XC40」などと大きく異なるのは、新たに開発されたBEV専用のプラットフォーム、「SAE」を採用していることにある。したがって69kWh分の容量を持つバッテリーを、フロア下に敷き詰めているにもかかわらず前席ではキャビンからフロアの高さを感じることはなく、自然な姿勢で快適なデザインそして座り心地のシートに身を委ねることができるのが嬉しい。3人用の後席ではややフロアの高さが気になるが、これも欠点というほどに深刻な問題ではないと感じた。

さらにこのEX30に未来を感じるのは、その先進的な装備だ。といってもほとんどの操作は、インパネ中央にレイアウトされる12.3インチサイズのセンターディスプレイによるタッチ操作で行うことになるのだが、こちらはやはり日常的に使用する中での慣れが必要。Googleアプリ/サービスが装備されているので、スマートフォンの接続なく普段どおりのデジタルライフを楽しめる。

ラゲッジルームの容量は318L。さらにフロントにはコンパクトなトランクが備えられている。ボルボの伝統である安全性に関する装備は、このコンパクトなEX30でもより徹底。ドライバーに疲れや眠気を警告するドライバー・アラート・コントロールなどはその一例だ。

自然で高級感あふれるフィーリングが好ましい

272psという最高出力は、このサイズのBEVには必要にして十分といえるだろう。じっさいにアクセルペダルを一気に踏み込めば、0-100km/hで5.3秒という爽快すぎる加速が得られるわけだし、個人的にはアクセルの踏み方によってガソリンエンジンのような、自然なパワーの出力が感じられることに好感が持てた。アクセルペダルのみで加減速に対応するワンペダルコントロールも、そのフィーリングはこのEX30でかなり良化したようだ。今回は試乗中のほとんどの時間でこの機能を体験したが、その進化には改めて驚かされた次第だ。また最大の航続距離は560kmを実現している。

サスペンションのセッティングはやや硬めの印象を受ける。試乗車にはオプションの20インチ径タイヤが装着されていたこともそのひとつの理由(標準は19インチ径)なのだろうが、細かいピッチングとともにこの乗り心地は、ドライブする人によって評価の分かれる部分だろう。もちろんそれはプレミアムブランド独特の、高級感と重厚感を感じるフットワークなのだが。

まもなく日本の街を走り出していくだろうEX30。559万円(消費税込)という価格もプレミアム・ブランドのそれ、というよりも、競合他車と比較しても十分に魅力的なものといえそうだ。

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