国産車の高級機能を厳選して紹介
高級車といえば、ひと昔前ならメルセデス・ベンツやロールス・ロイス、ベントレーなど輸入車のイメージが強いですよね。ところが、最近は国産車でも、輸入高級車に負けない豪華装備を持つ車種も増えていて、ラグジュアリーかつ快適な気分を味わえます。ここでは、そんな国産高級車のなかでも、2025年に新車で買えるモデルで、とくにリッチな気分を味わえる装備を筆者の独断と偏見でピックアップして紹介します。
センチュリーの靴べら置きや冷蔵庫
日本を代表するショーファーカーであるトヨタ「センチュリー」。1967年の初代モデル以来、皇室や政界、経済界などのVIP御用達のクルマになっていることはご存じの通り。その現行モデルでは、セダンに加え3.5L PHE(プラグインハイブリッド)のSUVタイプも登場している。
SUVになっても、さすがセンチュリーといえる装備は相変わらず満載。3段階調整式のシートヒーターは当然のことながら、夏場に嬉しいシートベンチレーションを全席に装備。そして、極めつけは靴べら置きやコートフックを各2つ、それに冷蔵庫まで完備していること。車内で、VIPが快適に過ごせるための数々の装備が光っている。
ほかにも、後席には「リフレッシュシート(マッサージ機能付き)」をセダンと同様に採用するなど、まさに「至れり尽くせり」といえる究極のお持てなし装備を誇るのがセンチュリーなのだ。
さまざまな表情を見せるLSの銀影ラスター
トヨタ高級ブランドのレクサスの中でも、まさにフラッグシップといえるのが「LS」。このモデルの内装も本革レザーをはじめ、さまざまなギミックで高級感が満点だ。とくに、「EXECUTIVE」と「EXECUTIVE Advanced Drive」というグレードでは、左右後席に「温感リラクゼーション機能」を採用。
シートバックおよびシートクッション内のエアブラダー(空気袋)を膨張させることで、乗員の背中から大腿部までを押圧し、心身のリフレッシュに寄与する機能だ。さらに、肩部の最上段と腰部の下から2段目の2カ所には専用ヒーターも設置し、温める時間と冷ます時間を繰り返す温度のマネージメントを行うことで、高いリラクゼーション効果にも寄与している。
さらに、外装にも注目点がある。それは、現行モデルに新しく追加されたシルバー系のボディカラー「銀影(ぎんえい)ラスター」だ。これは、わずかな光の変化で豊かな表情を浮かびあがらせる色調が特徴。塗料を凝縮させる「ソニック工法」を応用し、蒸着アルミを高密度で敷き詰める最新の塗料技術を採用する。
これらにより、鏡面のような質感で周囲のわずかな光も繊細にとらえ、さまざまな表情を見せる特別なシルバーを実現。LS独自のラグジュアリーな質感を演出する。このように、内外装でスペシャルな装備を持つのがLS。まさに、日本を代表する高級セダンといえるだろう。
音声で操作できるアコードのGoogleアシスタント
ナビなどの音声操作機能は、最近の輸入高級車では当たり前になりつつあるが、2024年3月に発売された11代目「アコード」では、国内向けホンダ車として初のGoogleを搭載したこともトピックだ。これにより、普段からスマートフォンなどで使用しているアプリをドライブでもシームレスに使え、より便利で快適なカーライフを実現する。
このGoogleの機能でとくに注目なのがGoogleアシスタントだ。現行アコードでは、センターディスプレイや10.2インチのデジタルグラフィックメーターへGoogleマップのナビゲーション情報を映し出すことができるが、ルート設定などをすべて音声で操作できるのだ。
使い方は、最初に「OK! Google」と言い、その後に設定したい内容を話すだけ。ナビの目的地設定だけでなく、音楽の再生、車内温度など、さまざまな設定を可能とする。ただし、筆者は実際にこの機能を試してみたが、Googleマップの目的地設定にはちょっとだけコツも必要だった。
たとえば、事前にルート設定をして走行中、途中でトイレ休憩など寄り道をしたくなったとき。この際、筆者はクルマに「OK! Google、トイレに行きたい」と話したのだが、それに対し「ご丁寧に報告していただきありがとうございます」と答えられてしまった。こういった場合は、「トイレのある場所を案内して」など、きちんと「どこに案内して欲しい」かを伝えないとだめのようだ。
GoogleのようにAIを活用した機能は便利だし、クルマでも今後さらに普及が進むだろう。だが、正しく使えるようになるには、ある程度の慣れや学びが必要のようだ。ともあれ、今後は、このような音声操作機能も、高級車だけでなく、軽自動車やコンパクトカーなどにも普及が進むことを望みたい。
アル・ヴェルの最上級グレードシート
トヨタの高級ミニバンがご存じ「アルファード」「ヴェルファイア」。その最上級グレードである「Executive Lounge(エグゼクティブ・ラウンジ)」には、専用のセカンドシートをはじめ、まさに究極のおもてなし装備がずらりと投入されている。
まず、シート表皮には上質な肌触りのプレミアムナッパ本革を採用。足を伸ばせるオットマン機構を持つほか、リクライニング使用時における座面の高さと座面角を最適化することで、極上の休息空間を演出する。また、センチュリーなどにも採用する「リフレッシュシート」も搭載。座面内のエアブラダー(空気袋)を膨張させることで、乗員の背中から大腿部までを押圧し、心身のリフレッシュに寄与する。
さらに、通常のシートヒーターに加え、アームレストとオットマンまで加温範囲を拡大。セカンドシートの前後スライドは電動で楽に操作できるほか、480mmのロングスライドを可能とすることで、足元に余裕ある空間を作り出せる。
ほかにも、空調や照明など、後席の多彩な機能を操作できる「リヤマルチオペレーションパネル(脱着式)」やTVやスマートフォンの映像を楽しめる14インチ後席用ディスプレイなど、贅を尽くした装備が満載。これらにより、アルファード&ヴェルファイアのExecutive Loungeは、セカンドシートに一度座ったら動きたくなくなること間違いなしの快適さだといえるだろう。
スペーシアの後席オットマン
最後は、ちょっと番外編。2023年11月に登場した現行のスズキ「スペーシア」に採用されている、軽自動車では珍しい後席オットマン機能を紹介しよう。スペーシアは、全高が1700mmを超える軽スーパーハイトワゴンに属するモデル。ライバル車には、登録車を含めた新車販売台数でたびたびトップを獲得し、今や「日本一売れているクルマ」といえるホンダ「N-BOX」などがある。
いずれも、ファミリー層を中心に大きな支持を受けており、大人4名がゆったりと座れる広い室内や、電動スライドドアなどの使い勝手がいい機能が充実していることが特徴だ。ただし、ここまで紹介したハイエンドなモデルの装備と比べると、その装備にあまり高級感はない。あくまで、多くのユーザーが使いやすく、しかも比較的リーズナブルな価格で入手できることが一番の特徴だ。
そんな軽スーパーハイトワゴンに、前述の後席オットマン機能を備えたのが現行スペーシアだ。これは、スズキが「マルチユースフラップ」と呼ぶ機構のひとつ。停車時に左右セカンドシートの座面先端に付いているフラップを引き出すことで、足を伸ばせるオットマンとして利用することができる。
ただし、やはり車体サイズに制約のある軽自動車だけに、アルファード&ヴェルファイアのように広々とした後席になるという感じではない。ちなみに、マルチユースフラップには、ほかにも、走行中に乗員の安定した姿勢をサポートする「レッグサポートモード」や、座面に置いた荷物の落下を予防する「荷物ストッパーモード」といった機能もある。
スペーシアでは、どちらかといえばオットマンよりこれら2機能の方がメインのようだ。後席オットマンは、あくまで「軽自動車でも高級車の雰囲気を味わえる」という意味合いが強い。でも、個性的な装備を持つという意味では、まさにスズキを代表するモデルのひとつだといえるだろう。
