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「じゃない方のフェラーリ」なら900万円で買える!「ディーノ308GT4」は初めての跳ね馬にもってこい!?

5万6350ユーロ(邦貨換算約900万円で落札されたフェラーリ「ディノ308GT4」(C)Bonhams

ディーノ「308GT4」ならまだ手が届く…?

2025年2月6日、ボナムズがフランスで開催した「Les Grandes Marques du Monde à Paris」オークションにおいてフェラーリ「ディーノ308GT4」が出品されました。新車からのオーナーは2人とわかっているモデルで、整備記録簿、各種の歴史的書類などが付属され、オリジナルの「Dino」バッジが装着された非常に希少な初期型でした。

ベルトーネデザインのフェラーリ

1973年9月に開催されたパリサロンでデビューした「ディーノ308GT4」は、フェラーリの新たなグランドツアラーとして、非常に重要な役割を担うモデルだった。フェラーリの考えるグランドツアラーとは、運動性能に優れるミッドシップの基本設計を持ち、かつリアに+2のシートを備えるもの。

その絶対的なライバルといえば、やはり水平対向6気筒エンジンをリアに搭載するポルシェ 911ということになるだろう。フェラーリが直接ライバルとして意識するランボルギーニもポルシェ911の市場を狙って、1971年にV型8気筒を縦置きミッドシップするとともに、2+2のシート配置を実現したウラッコP250を世に送り出している。フェラーリのリッチなカスタマーは、ただ運動性能に優れるモデルのみならず、快適でかつ高級なモデルを切に求めていたのだ。

ディーノ308GT4のデザインは、フェラーリと密接な関係にあったピニンファリーナではなく、ベルトーネに委ねられた。フロントシートを可能なかぎり前方にレイアウトすることで、ベルトーネは2540mmのホイールベースを得て、リアスペースを確保。またコンパクトなV型8気筒エンジンを核とするパワートレインの採用は、その後方に188Lのラゲッジルームを生み出すことにも貢献したのである。

搭載されるエンジンはF106型と呼ばれる3LのV型8気筒DOHC。最高出力の252psは、このディーノ308GT4を0‐97km/hをわずか7秒で達成するのに十分な性能だった。前後のサスペンションはダブルウィッシュボーンを採用していた。

予想落札価格よりも低めに落札

1974年にロードテストを行った、Road&amp Track誌は、そのレポートの中では次のように語っている。

「フェラーリに当然期待される性能と、すでに述べたエンジンの驚くべき柔軟性はさておき、おそらくディーノ308の最も並はずれた特徴は、それが提供する優れた快適性であろう。低速においては振動を感じることはなく、また高速では路面の凹凸が見事に吸収される。これまでのフェラーリと比較すると、その進歩は非常に大きい」

フェラーリではなく、ディーノのエンブレムを掲げてデビューした308GT4は、1976年末には内外装のマイナーチェンジを受け、また1978年になるとエンジンのセッティングが変更され、いわゆるシリーズIIへと進化を遂げる。ちなみに、のちにシリーズIと呼ばれることになった初期型のモデルは、2シーターの308GTBよりも高回転型のカムシャフトが使われるなど、そのチューニングはエクステリアデザインから想像する以上に徹底している。

そのディーノ308GT4が、先日ボナムズのオークション「ル・グラン・マークス・ドゥ・モンド・ア・パリ」に登場した。サービスブックやさまざまな歴史資料、そしてヨーロッパ登録のタイトルとともに提供されるディーノ308GT4は、もちろんシリーズIで、フロントノーズにはフェラーリでなくディーノのエンブレムが輝いている。

ボナムズの提示した予想落札価格は6万ユーロ~8万ユーロ(邦貨換算約960万円〜1280万円)。しかも最低落札価格なしという条件でのオークションだったため、大きな注目を集めたが、結局入札は5万6350ユーロ(邦貨換算約900万円)という数字で落ち着いた。参考までにその走行距離は5万1427km。まだまだ走りは十分に楽しめそうな1台である。 

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