貴重なベレットGTRを手にいれたオーナーを直撃!
毎月第1日曜日、東京都・奥多摩の駐車場には“いすゞ愛”あふれる名車たちが早朝から続々と集まります。なかでもひときわ目を引いたのが、鮮やかなブルーに塗られたベレットGTR。後期型特有のブラックフェイスが精悍なこの個体は、まるで新車のような輝きを放っていました。「私はただの管理人ですから」と語る控えめなオーナーに、その美しさの理由を聞いてみました。
いつかはベレットGTRが実現!前期型1800GTからの乗り換え
早朝にも関わらず、息子さんとふたりで奥多摩にやってきたオーナーの小澤さんが乗るのは、驚くほどコンディションの良い1972年式のベレットGTRだ。ブルーベルメタリックという美しいブルーのボディに、防眩対策と言われる黒いボンネットが特徴的な1台。クルマのそばにいた小澤さんにお話を聞くことができた。
「このクルマは最近乗り換えたばかりで、それまでは前期型のベレット1800GTに乗ってました。いつかはGTRに乗ってみたいと思っていたところに、たまたま縁あってこのクルマと出会いました。『こんなクルマは2度と出会えないかもしれないから、今乗っておかないと』と思い乗り換えることとしました。ボディの状態はかなり良いし、後期モデルって前期仕様にされちゃっている個体が多いんですが、このクルマはブラックマスク含めて後期型のままというのも気に入っています」
ブラックマスクの後期型ベース!正式名称はGT typeR
ベレットGTRは、2ドアクーペボディのベレットGTをベースに、117クーペに搭載されていた1.6L 直4DOHCのG161W型にミクニソレックスキャブを2連装したエンジンを搭載したホットモデルだ。外観のもっとも大きな特徴は、フロントバンパーが左右で二分割となり、その間に大きなフォグランプが2つ装着されるという点だ。ちなみに一般的にGTRの特徴としてよく知られているブラックのボンネットやサイドのストライプはオプションで、全車装着装備ではない。
GTRも基本的にGTのアップデートとともに外観や灯火類が変化しており、1971年にフロントグリルは通称ブラックマスクとなり、テールランプも大型化されることとなる。あわせて車名もデビュー当初はGTRだったが、後期型はGT typeRが正式名称となる。
乗っているだけで楽しい!極上コンディションを味わう幸せ
外観ではワタナベ8スポークホイールを装着しているほか、内装を見てみると、吊り下げ式吹き出し口を持つクーラーが装着されている。ボディは前オーナー所有時の数年前に全塗装を施しているそうで、各部に備わるエンブレムやバッジ類、さらにはガラスに貼られるステッカーの類もしっかりと残されているオリジナル度の高い個体だ。小澤さんも入手した際に前オーナーの好みでオールクロームタイプだったミラーを純正のグレーベース/クロームエッジのミラーに交換した程度。ほとんど手に加えていない。
「こういうクルマって、なんだか余計なことができないんですよね。それ以前に乗っているだけで楽しいですしね。私は縁あってたまたま『今預かっているただの管理人的な立場』にすぎません。このクルマを状態の良いまま後世につなぐことが私の使命ですね」
