アウディ主力モデルが革新と熟成の第3世代へと進化
2025年6月、アウディは主力コンパクトSUV「Q3」の第3世代となる新型モデルを欧州市場で発表し、10月から発売を開始します。先進のマイクロLEDヘッドライトや最大119kmのEV走行を可能にするプラグインハイブリッド。そしてサステナブルな新素材を取り入れた内装など、多岐にわたる革新を投入しています。新型Q3は、コンパクトSUV市場のベンチマークとして再び脚光を浴びる存在となりそうです。
より力強く洗練された新デザイン
新型アウディQ3のエクステリアは、先代に比べて筋肉質かつエモーショナルなスタイリングを採用。ワイドなシングルフレームグリルとシャープに絞り込まれたヘッドライトは空力性能を向上させ、Cd値は0.30を実現。サイドは水平基調のショルダーラインによって上下2分割して、光と影のコントラストを強調している。
クワトロ由来の前後のブリスターフェンダーは、視覚的な力強さを演出。また、Sライン専用のバンパーや新色「マデイラブラウン」のマット仕上げなど、カスタマイズ性の高さも魅力だ。ホイールは17〜20インチまでの幅広いバリエーションを展開し、デザインと機能性を両立している。
マイクロLED採用で「見えて魅せる光」へ進化
新型Q3は、コンパクトクラスとして初めてマイクロLED技術を採用したデジタルマトリクスLEDヘッドライトを導入。2万5600個もの微細な発光素子により、路面への明瞭な照射と、カスタマイズ可能なライトシグネチャーを実現している。とくに悪天候下での視認性に大きく貢献する機能である。
デイタイムランニングライトは片側23セグメント構成され、前後共に最大4種類のデジタルシグネチャーに対応。ユーザーは、カミング/リービングホームライティングの演出を自分好みに設定することが可能だ。
サステナブルと先進性を融合したインテリア
インテリアでは、フルサイズクラスと同等の装備が与えられた。12.8インチのMMIタッチディスプレイと11.9インチのメーターが一体となったパノラマディスプレイが、先進的なコクピットを構成。さらに2本の新設計ステアリングコラムレバーの採用により、センターコンソールの収納スペースが拡大されている。
素材面では環境配慮が徹底されいる。ファブリックは100%再生ポリエステル、フロアマットが漁網などから再生されたエコニールを使用する。アンビエントライティングや300箇所にレーザーカットが施されたイルミネーション付きパネルも採用され、上質な雰囲気を演出する。SONOSプレミアムサウンドシステムや冷却機能付きワイヤレス充電など、快適性も抜かりない。
多彩なパワートレインと高効率化技術
パワートレインは、150psを発揮する1.5L TFSI(マイルドハイブリッド)、同じく150psの2L TDI(ディーゼル)、272 psを誇るPHEVと多彩に展開。
とくに注目すべきは25.7kWhのバッテリーを搭載するPHEVモデルで、最大119kmのEV走行と最大50kWのDC急速充電に対応している。さらに、最上級の2L TFSIは265ps/400Nmを発揮し、クワトロ(AWD)と7速Sトロニックの組み合わせで高効率にパワーを伝達。COD(シリンダーオンデマンド)や回生ブレーキ機能などにより燃費性能も高められている。
新開発のアダプティブサスペンションと組み合わせることで、快適性とスポーティさを高次元で両立している点も見逃せない。
フルサイズ級の運転支援機能を惜しみなく搭載
アダプティブドライビングアシスタンスプラスを筆頭に、フルサイズクラス譲りの先進運転支援機能が惜しみなく搭載された。最大210km/hまでの加減速と車線維持を自動でサポートするほか、高速道路でのレーンチェンジアシストにも対応する。
特筆すべきは「リバースアシスタンス」で、直前50mの走行ルートを記憶し、自動で後退可能。さらに「学習型パーキングアシスト」は最大5パターンの駐車動作を記憶し、ボタンひとつで自動駐車を実行する。ドライバーモニタリング、エマージェンシーアシスト、360度カメラなども搭載され、都市部でも郊外でも安心かつ快適なドライブを支える。
【AMWノミカタ】
アウディQ3は、2024年には世界で約21万5000台を販売し、Q5・A6に次ぐセールスを記録した主力モデルである。2011年の初代登場以来、累計販売台数は200万台を突破。日本市場においても、2024年には5535台が販売され、輸入車ランキングで第8位に入った。
人気の理由は、コンパクトSUVでありながら実用性・上質感・先進技術の三拍子が揃っている点にある。ボディサイズと多彩なパワートレイン構成は、とくに都市型ライフスタイルにマッチしている。
主力モデルゆえのモデルチェンジには大きなリスクも伴うが、今回の新型Q3はその魅力を損なうことなく、あらゆる面で進化を遂げた。新技術のすべてをここで紹介しきれなかったが、このモデルチェンジは単なる更新ではなく、「Q3」というブランドそのものが新たなフェーズに突入したことを示している。
この進化したQ3が、日本における人気ランキングをさらに押し上げる可能性は高いといえるだろう。
