今後の価格推移に注目したい1990年代ランボ
クラシック・ランボルギーニの代表格として、近年再び注目度を高めている「ディアブロ」。優れたコンディションと輝かしい受賞歴を誇る1台が、2025年5月28日〜6月4日にRMサザビーズのオンラインオークションに登場しました。惜しくも落札には至らなかったものの、あらためてその存在価値の高さを証明する結果となりました。
コンクールイベントで受賞歴を誇る1台が出品
さまざまなコンクール・イベントでの受賞歴を誇る、グッド・コンディションのランボルギーニ「ディアブロ」が、RMサザビーズが開催した「シフト・オンライン・ノースアメリカ」オークションに出品された。もっとも新しいモデルでも、新車でのデリバリーからすでに四半世紀以上が経過しているディアブロ。それは1990年代にランボルギーニが生産した唯一のプロダクションモデルであり、ここ最近はクラシック・ランボルギーニに興味を持つエンスージアストから、再び熱い視線を注がれる存在となった。
カウンタックの後継として誕生したランボの象徴
カウンタックの後継車として、ディアブロが発表されたのは1990年のことである。当時のランボルギーニはアメリカのクライスラー社の傘下にあり、「P132」と呼ばれたディアブロの開発プロジェクトにおいても、クライスラーは大きな影響力を及ぼした。
その象徴的な例ともいえるのが、かのマルチェロ・ガンディーニによって描かれたスタイルである。リアフェンダーの造形など、一見ガンディーニの手によると思えるディテールも数多く見受けられるディアブロのボディだが、じっさいに最終的なデザインが決定するまでには、クライスラーとの意見交換に多くの時間が費やされた。
最高速315km/h以上!技術の粋が注がれたパッケージ
P132プロジェクトでもっとも重視されたのは、もちろん目標最高速の達成であった。参考までに、クライスラーから要求された数値は「315km/h以上」である。
それを実現するため、当時ランボルギーニでチーフ・エンジニアを務めていたルイジ・マルミローリは、カウンタックで実現されたV型12気筒エンジンと5速MTを直列に接続。それを前後逆方向に搭載するというミッドシップ・レイアウトを継承した。
ちなみにディアブロでは、当初から4WDモデルの設定が計画されていた。その意味でも5速MTがパワートレーンの最前方に位置するこのレイアウトを採用した意義は大きかった。そもそもカウンタックの生みの親である天才エンジニア、パオロ・スタンツァーニも、カウンタックを4WD化することに大きな意味を見出していた人物である。それが現実のものとなるのは、1993年に追加設定された「VT」でのことであった。
コンディション良好の1992年モデル、オンライン出品
話を今回オークション・シーンへと導かれたディアブロに戻そう。
鮮やかなレッドのボディカラーが印象的な出品車は1992年モデルで、その仕様は1990年のファーストモデルと基本的には共通。ミッドに搭載される5707ccのV型12気筒DOHCエンジンが発揮する最高出力492psという数値にも変更はない。
サスペンションは上下にAアームを配するダブルウイッシュボーン形式で、リアにはダンパーとスプリングのユニットがダブルで備わる。そのボディスタイルは、現在のランボルギーニ車と比較すればややクラシカルな印象もあるが、そこはやはり“ガンディーニ・マジック”とでも呼ぶべきだろう。スーパースポーツとしての凄み、そして斬新さは、今でもなお強く感じられる。
入札は不成立もディアブロの注目度は明らかに高まっている
現在までの走行距離はわずか2万7753マイル(約4万4664km)を刻む出品車のコンディションが素晴らしいものであったことは、すでに述べたとおりだ。RMサザビーズはそれに23万~26万ドル(邦貨換算約3400万~3840万円)という予想落札価格を設定していたが、それもこの状態と受賞歴を考慮すれば妥当な数字といえる。
オンラインで行われたこのオークションにおいて、残念ながら最低落札価格には届かなかったものの、RMサザビーズによればこのモデルは、後日直接の交渉によって新たなオーナーに売却されたという。注目の価格は、予想レンジに近いものであったと考えるのが自然であろう。
クラシック・ランボルギーニとして、近年あらためてその存在がクローズアップされることの多くなったディアブロ。それは今後のオークション・シーンにおいても、引き続き注目すべきモデルであるといえる。
