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GR86に最新型のアクセルコントロールが導入できる! ディーラーで施工できるアップデートプログラム「GR86 PERFORMANCE SOFTWARE」

左の赤がアプライドDモデルで、右がアプライドAモデル。右の車両にGR86 PERFORMANCE SOFTWAREの施工前後の比較テストを行った

従来モデルにインストールできる最新のソフトウェアをGRが提供

東京オートサロン2025で発表された『GR86 PERFORMANCE SOFTWARE』は、GR86のアプライドA〜CのコンピュータをアプライドD仕様に書き換えて、成熟した最新の走りを味わうことができるというプログラム。コンピュータチューンというと、プロショップの専売特許のように思ってしまうが、そこまで過激な内容ではなく、あくまでも純正のプログラムを組み替えて走りをリフレッシュさせるという内容です。今回は、いち早く『GR86 PERFORMANCE SOFTWARE』をテストする機会に恵まれたので、橋本洋平さんに施工前と後の違いをチェックしてもらいました。(先出:XaCAR 86&BRZ magazine Vol.48)

ドライバーの技量を鍛える初期型(アプライドA)の走り

年々進化を続け、今ではアプライドDに到達したGR86。最新の乗り味を既存のユーザー(アプライドA~C)に還元したいという想いで始まったのが「GR86パフォーマンスソフトウェア」。このサービスは、平たく言ってしまえば、ディーラーで行うことができるコンピュータチューニングというわけだ。定期点検や車検のついでに、クルマをアプライドDのようなフィーリングにアップデートすることができる。価格は、MT車が5万5000円(工賃別)、AT車は3万3000円(工賃別)で発売中。工賃は施工するディーラーに問い合わせてほしい。

その効果はいかなるものか? 今回は、富士スピードウェイのマルチパーパスコースにおいて、アプライドAのMT車を使い、書き換え前と書き替え後の走りの違いをじっくりと確認してみることにした。改めてアプライドAの走りをチェックすると、アクセルの反応の良さが際立っていることが伺える。アクセルペダルに触れた瞬間から即座に立ち上がるこのレスポンスは、まるでレーシングカーのようであり難しさもある。やや過敏すぎると言われるのも頷けるところだ。

足まわりも「リヤの反応の良さが命」と言ったセッティング。旋回アプローチ時の追従は素早く、少しでも間違った動かし方をすると即座に車両が横を向いてしまうナーバスな面がある。ただ、そこを乗り越えて行く面白さがあり、ドライバーが鍛えられるということを狙った仕様なのだろう。まるで運転技量のリトマス試験紙かのようである。

ドリフトコントロールにも繊細なアクセル操作が必要だ。このアプライドAの開発ドライバーである佐々木雅弘選手が、たまたま試乗会場にいたので狙いを聞いてみると「GR86はドライバーを鍛えるクルマであって欲しいと考えました。また、タイヤをハイグリップにしたときのことも見据えていました」とのこと。これはこれで良さがあるのは言うまでもない。

しなやかさとリニア感が増したアプライドD(最新モデル)の走り味

コンピュータの書き換えをしている数十分の間に、最新型のアプライドDに乗ってみると、かなり洗練されたロードカーに生まれ変わったことに気付かされる。フリクション感のないスッと切れるパワーステアリング。しなやかさが増し、リヤの接地をなかなか外さずにホールドし続ける足まわり、そしてリニアさが増したアクセルレスポンスもまた魅力的だ。全体的にマイルドになり、キビキビとした反応の良さは若干薄れたところはあるが、あらゆる路面でしなやかに駆け抜けるところに魅力を感じた。

今回のお題となるアクセルレスポンスは、踏み始めから全開ポイントまでリニアに反応をして行くようになったことが印象的だ。アプライドAは、極端に言ってしまえばペダル開度50%でスロットルが100%開いてしまうようなところがあり、50~100%のところに反応はほとんどない。

しかしアプライドDはまるでかつてのワイヤースロットルのように、アクセルペダルとスロットルとが1対1で動いているかのようだ。もちろん、ワイヤーのように動かしてしまえばエンジン特性の弱いところが出てしまいので、その領域は緻密にコントロールして、常に要求トルクをリニアに出せるようにした、というのがアプライドDの魅力である。これはスーパー耐久シリーズに参戦しているGR86からフィードバック。あらゆるレーシングドライバーに鍛えられてきた結果がそこにある。

コントロール性が高まる「GR86パフォーマンスソフトウェア」施工

アプライドAの足まわりと「GR86パフォーマンスソフトウェア」施工で変化したアクセルレスポンスのセッティングの組み合わせはどうか? コンピュータの書き換え作業が終わったところで、いよいよ試乗開始だ。

動き出してまず感じたのは、低速からの走り出しでも扱いやすく、コースインする導入路の下り坂でも前に出過ぎないところが好感触だ。日常で多く使う部分にリニアさがマッチしたのだろう。加減速を繰り返してみると、アクセルの踏み込み量は多少多くなったが、そこに違和感は感じない。それでいてヒール&トゥを行った際にはきちんとレスポンスして回転を合わせられる。

スポーツドライブをしてみると、とくにドリフトコントロール時の扱いやすさが増している感覚がある。反応の良い足まわりであっても、手の内というか足の内に収めやすく、ジワジワとアクセルを踏むだけで、定常円を描くことが可能。当然ブレーキング側は何も変わらないので、そこのアプローチを間違えればリヤの滑り始めの動きはアプライドAならではだが、そこから先の領域はまるで違う乗り味だ。

ちょっとアクセルが機敏すぎて持て余している、はたまたアプライドB~Cの反応ではちょっと物足りない、なんて考えているユーザーに、この「GR86パフォーマンスソフトウェア」はオススメだ。チューニングというと、ちょっとハードルが高いと考えている方々にも、ディーラーで施工できるコンピュータチューニングなら予算的にもハードルはグッと低いはず。この施工で、どのような変化が生まれるのか? その差を感じ取ることこそ、愛車の新たな面白さの発見に繋がるのは間違いなさそうだ。

 

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