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6億円で落札されたRUF「CTRレッドバード」は創業者のマイカー!しかも6台しか生産されていない限定車

429万5000ドル(邦貨換算約6億3214万円)で落札されたRUF「CTR イエローバード ライトウェイト」(C)Courtesy of RM Sotheby's

ボルドーレッドに豪華内装のイエローバード軽量仕様

ドイツの小規模メーカー、RUF(ルーフ)が1987年に発表したスーパーカー「CTR」は、当時の世界最高速記録を樹立した伝説的なモデルとして知られています。2025年8月に開催されたRMサザビーズのモントレー・オークションでは、その希少なライトウェイト仕様「CTR イエローバード ライトウェイト」が登場。しかも、その個体は創業者アロイス・ルーフの自家用車と注目を集めました。

1987年に当時の世界最高速を樹立して一躍有名自動車メーカーに

1982年にドイツの自動車工業会から、正式に自動車メーカーとしての認可を受けたRUF(ルーフ)オートモービル社。その歴史を振り返るなかで、ファンの間でもっとも大きなトピックスは、1987年に誕生した『CTR』の存在である。

メジャー・オークショネアのひとつであるRMサザビーズは、2025年夏に開催されたモントレー・オークションに、このCTR生誕30周年を記念してRUFが50台を限定生産した「CTRアニバーサリー」を出品した。それは336万ドル(邦貨換算約4億9452万円)という価格で落札され大きな話題を呼んだ。同社はこのオークションに、1989年に製作されたライトウェイト仕様のオリジナルCTRも出品した。

「CTR」がRUFにとって特別な存在となった直接の理由は、1987年にイタリアのナルドにあるテストトラックで、当時の世界最高速記録となる342km/hを樹立したことである。フェラーリ「F40」やポルシェ「959」といったライバルの記録を前に、RUFという世界で最小規模の自動車メーカーが製作したCTRが新たにトップの座に君臨することなど、誰も予想できなかった。正確にはプロトタイプであったCTRは、その鮮やかなイエローのボディカラーから「イエローバード」と呼ばれ、その名は一気に世界へと轟いた。

CTRはポルシェの930型911カレラのホワイトボディをベースに、リアに排気量を3367ccに拡大された最高出力469psの水平対向6気筒ツインターボエンジンを搭載したモデルである。ちなみにRUFは、搭載エンジンの最高出力をいかなる悪条件下でも保証する数字としているため、実際にはそれをはるかに超えるパワーが発揮されていたのは間違いない。

豪華な特注仕様「レッドバード」のディテール

スタンダードな仕様でも1200kgというウェイトを実現していたCTRだが、RUFはさらに過激なCTRを求めるカスタマーのため、そのライトウェイト仕様の製作も行っている。今回モントレー・オークションに姿を現したCTRは、6台が製作されたライトウェイト仕様の1台だ。だがそのディテールは他のモデルとは大きく異なっている。

1989年5月にドイツのカスタマーによってオーダーされたこのモデルには、特注のボルドーレッドのペイントを施され、インテリアはそれに巧みにマッチするブラックレザーの仕上げとなっている。ライトウェイト仕様でありながら、通称「レッドバード」は特異なほどに豪華な装備を誇っていた。

もちろんライトウェイト仕様を名乗るだけに、RUFの軽量化に対する取り組みは徹底している。軽量ドアパネル、6点式のサベルト製フルハーネスシートベルト、アルミニウム製のドアシル、マットブラック仕上げの5本スポーク・ライトウェイト・ホイールなどはその代表例である。ちなみにフロントに掲げられるボンネットバッジやクロームのトリムはこのレッドバード専用で、ダッシュボードにはイエローバードへのオマージュであるキルスイッチも装備されている。他のすべてのCTRに装備されているマター製のロールケージが未装着であることも、このレッドバードの特徴だが、オリジナルの取り付けプレートはそのまま残されており、将来ロールケージを装着したいと望むならば容易に可能である。

アロイス・ルーフの自家用だった1台

1989年9月8日に完成したレッドバードは、驚きだが2005年9月までRUFの社長であるアロイス・ルーフの自宅に保管され、定期的に彼によって使用されていた。

その後ドイツのケルンに在住するコレクターの手を経てオーストリアへと渡り、この時に改良型のトランスアクスルやブレーキブースターを装着し、ホイールもシルバーフェイスに再塗装された。そして2021年にはアメリカのカスタマーが入手した。レッドバードが現在までに走行した距離は1万8900kmである。

その落札価格はRMサザビーズが提示したエスティメート、450万ドル〜500万ドル(邦貨換算約6億6231万円〜7億3590万円)というレンジには届かなかったものの、429万5000ドル(邦貨換算約6億3214万円)にも達した。ちなみにこれは2025年のモントレー・オークションにおいては8位にランクされる高額落札となった。

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