車高短にするためのエンジンメンバー上げなど男勝りのカスタマイズ
旧車といえばベテラン世代の趣味。そんなイメージを軽々と覆すのが、弱冠22歳のオーナー“かえでまん”さんです。彼女が選んだ愛車は、1980年代を代表するトヨタ10系「ソアラ」。しかも、その仕上がりは見た目だけでなく細部まで「旧車らしさ」を徹底的に追求したマニア仕様でした。なぜこのクルマを選び、何にこだわったのかなど、うら若き旧車女子の想像を超える愛車ストーリーに迫ります。
暴走グループのニュース映像から10系ソアラにまさかのひと目惚れ
1980年代という時代に新たな歴史を切り開いたエポックメイキングなクルマとして、当時の若者の心を奪ったスーパーアイドルといえば「初代10系ソアラ」だ。このクルマのキャッチコピーである「未体験ゾーン」は、スペックだけでは語れず、その後に続く時代をも牽引。ラグジュアリー、高級志向、ハイソカーブームといった流行が誕生し、新しい価値観が生まれるなかで、ソアラはその頂点に君臨した。
そんなクルマへの憧れを抱くのは圧倒的にオジサン世代が多いわけだが、今回紹介する“かえでまん”さんは、驚くことに弱冠22歳の旧車好きな女子。しかも、そのこだわりぶりは凄まじく、10系ソアラを愛する人ならば見た瞬間に「おっ」と思える懐かしのポイントが満載の仕上がりであった。
昔から父親が日産S30型や130型のフェアレディZ、ジャパン(C210型スカイライン)などに乗っていた影響もあり、自然と旧車好きになった。ただ、中学生のときに映画『ワイルド・スピード』を見てからは古いアメ車に興味が湧き、いつかはダッジ「チャージャー」やシボレー「C3型コルベット」、プリマス「ロードランナー」に憧れた時期もあった。
しかし、現在の愛車は10系ソアラ。そのきっかけになったのは、ニュースで報道された箱乗り映像だったという。詳しく話を聞くと、たまたま見ていたニュースで旧車に乗った暴走グループが箱乗りをして摘発されたという内容だったが、そこで心を奪われてしまったのが映像に登場した10系ソアラだった。その美しいボディラインにひと目惚れして、「これは絶対に買おう」と決意を固めたと話す。
欲しいと思ったら、それについて徹底的に調べ尽くす性格の“かえでまん”さんは、10系ソアラに関する情報を集めまくって、自分にとって価値あるのはどんな仕様なのかを分析。現在の愛車は、そんな彼女のこだわりが凝縮された1台だ。
光が踊るオーディオなど車内は80年代を徹底再現
まさに男勝りといった印象の愛車は、10系ソアラのなかでも珍しいオールブラックが硬派でカッコ良い。細部をよく見ていくと、前期型であること、ドアミラーではなく純正フェンダーミラーであること、さらに純正の泥除けや純正オプションのメッキリップまで装着させるなど、マニアをも唸らせるこだわり方がスゴイ。
また、オリジナルは2.8GTのオートマ仕様だが、「旧車ならばマニュアルが当たり前」という理由から、GX81系のマニュアルミッションを流用して5速MT仕様として作り込んだのもポイントだ。ただし、この載せ替えによってシフトレバーの位置が少しだけ前方にズレてしまっているのが気になる点だとか。
現在は内装の仕上げに夢中だそうで、ステアリングはナルディウッド・クラシックを選択。シートには、あえて超レアな前期用のレースのシートカバーをセットしている。また、オーディオはパイオニア製ヘッドユニットに懐かしのTS-X66スピーカーを組み合わせ、お決まりの水中花ノブや当時流行ったオーディオレベルゲージなどの光り物も追加。ナイトドライブを雰囲気満点のなかで楽しめる仕様として仕上げていた。
見えないところでは、5M型エンジン搭載にもかかわらず、シャコタン仕様として下げられるようにメンバー上げによる腹下クリアランスの加工調整や、路面との接触を防ぐためのマフラー加工なども施している。かえでまんさんの10系ソアラ、その仕上がりは「オリジナルブラックリミテッド」と呼べるほど特別であることを物語っている。
