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実動できる個体はおそらく1台のみ!1960年式トヨペット「ルートトラック」がコンクールデレガンスを受賞

トヨペット ルートトラック:「保管状態が良かったので、この年式の商用車にしてはずいぶんしっかりしていました」

日本海クラシックカーレビューで異例の快挙

クラシックカーの価値は、見た目の美しさや価格だけでは測れません。新潟県糸魚川市で開催された「日本海クラシックカーレビュー」で、ひときわ注目を集めたのは、意外にもトヨペット名を掲げる小型トラックでした。派手さはなく、決して程度も極上ではありません。それでも審査員が選んだのは、このクルマが歩んできた時間を、現オーナーがしっかりつないでいこうとしたところも評価したからです。コンクールデレガンスの“もうひとつの答え”を感じさせる1台をご紹介します。

一般的なコンクールデレガンスとは評価の指標が異なる

1974年以前に生産された粒揃いのヒストリックカーが全国各地から集う、日本海クラシックカーレビュー。2025年9月7日の開催で34回目となる長い伝統を誇るイベントであるが、その恒例企画のひとつが「コンクールデレガンス」だ。コンクールデレガンスといえば、ご存じのとおりイベントに参加した車両のなかからコンディション、希少性、その個体の持つヒストリーなどを勘案して与えられる賞である。

ちなみに海外のイベントでは「最初のオーナーは某国の王様だった」とか「世界的なレースで優勝したヒストリーを持つ」などといった、庶民にはちょっと縁のないクルマたちが大賞に輝くことも多い。しかしこの日本海クラシックカーレビューのコンクールデレガンスは、そんな欧米の王侯貴族や大富豪たちの社交界的なイベントとはひと味異なるのだ。

今回日本海クラシックカーレビュー・コンクールデレガンスのグランプリに輝いたのは、お世辞にも極上コンディションとは言い難い小型トラックであった。それが今回ご紹介する1960年式トヨペット「ルート トラック」である。ナンバー付きの実動車両は日本にこれ1台ではないかと思われる希少車だ。

生産年や登録時期が不明ゆえ正確な車名が表記できない

セミ・キャブオーバーのトヨペット RK52型 ルートトラックがデビューしたのは1956年のこと。1957年にはRK62型、さらに1959年にはRK85型へと発展。会場に展示されたのはそのRK85型である。1.5トン積で直列4気筒OHVのR型エンジンの排気量は1453cc。3速コラム・シフトを介して58psのパワーを後輪に伝える。

エントリー・リストによれば1960年式だが、トヨペット ルートトラックはデビュー後ほどなく、より親しみやすく覚えやすい「ダイナ」に車名を変更している。オーナーの石川晴夫さん曰く

「この個体は生産年や登録時期に不明瞭な部分もあるので、正確を期すならば車名はトヨペット ルートトラック(ダイナ)と表記するのがいいかもしれませんね」

トヨペット ルートトラック(ダイナ)が石川さんの手元にやってきたのは2015年のことである。

これまでの時間に敬意を表してあえてレストアしなかった

「もとのオーナーは林業関係のお仕事をしていた方で、仕事をリタイアされた後もこのクルマを手放すことなくずっと持っていたんです。保管状態が良かったので、この年式の商用車にしてはずいぶんしっかりしていました」

石川さんが2代目オーナーだという。

「とても貴重な個体だと思ったのでなんとか路上復帰させたいと思い作業を進め、2025年の4月に中古新規登録でナンバーを取得しました」

この個体がくぐり抜けてきた長い時間に敬意を表し、ボディ外観などはあえてのノンレストア。細かな箇所に至るまで、基本的にはすべて当時の純正パーツにこだわっているが、リアのタイヤだけはオリジナルのサイズがなく、ひとまわり小さいサイズに変更して減トン登録(最大積載量を減らして登録すること)している。

「7月27日に行われた金沢クラシックカーミーティングでイベント・デビューして、この日本海クラシックカーレビューは2回目のイベント参加となります」

親子二代の旧車愛も評価されてコンクールデレガンス受賞

じつは石川さんの息子の恵太さんもこのイベントに1970年式のスカイラインGT-Rで参加しており、この界隈では筋金入りの旧車乗り親子として知られた存在だ。そんなオーナーの歩んできたこれまでのバックボーンも、クルマそのものの希少性に加味されて、今回のイベントでは審査員満場一致で日本海クラシックカーレビュー・コンクールデレガンスのグランプリ受賞と相成った。

欧米の王侯貴族や大富豪たちが、コーチビルダーにオーダーメイドで作らせた超高級車とともに、自身や同伴するご婦人のファッションまで含めてそのセンス(と財力)を競うといった、コンクールデレガンスの本来的な意味とはいささかニュアンスを異にするかもしれないが、これもまたひとつの見識。日本のイベントならでは、さらには日本海クラシックカーレビューならではの懐の深さでもあろう。

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