現車を見ることなく購入を決めた生産台数92台のMRスパイダー
エンジンを座席後方に配置するミッドシップレイアウトを日本車として初採用。そして一般人でも購入できる大衆車として1984年に登場した革新的スポーツカーが、トヨタ「MR2」でした。その2代目は1989年から1999年の10年間販売。その間にミッドシップ&オープンという、スーパーカーのようなスタイリングで登場した「MRスパイダー」の中古車を偶然発見して、現車確認をせずに購入したオーナーのお話をお届けします。
気になる存在だった希少なオープンミッドシップスポーツ
「MRスパイダー」は「MR2」をベースにしたオープンスポーツカーで、1996年に登場した。製造はトヨタテクノクラフトが担当。試作車3台を含む、合計92台のみが生産された幻の名車である。オーナーの廣見正義さんがこの車両を入手したのは8〜9年ほど前。ネットで販売されていた個体で、現車を見ることなく購入を即決したほど「MRスパイダー」には強い思い入れがあった。
「MRスパイダーが発売された当時、私の勤務先の隣にあったトヨタディーラーの店頭に飾ってあったのです。当時はAE86レビンに乗っていてさまざまなスポーツカーに興味があり、MRスパイダーはずっと気になる存在でした。でも、当時は購入するには至らず、時間が過ぎていました」
その後、偶然見つけて購入したのは完全フルノーマルの個体で、走行距離は2万3000kmほど。知る人ぞ知る存在すぎて、イベントに参加すれば毎回珍しがられる。「初めて見た」という会話は日常茶飯事だそうだ。
乗らないと機嫌が悪くなるのもご愛敬
「珍しすぎて、車検でディーラーに入庫させたときは、『そんな改造車を目立つところに停めておくな』と注意されたほどです(笑)。この希少価値を分かってもらえないことも多いですが、そんなところもこの車両の魅力だと思います」
まさに希少車ならではの笑い話だが、廣見さんは車両のコンディション維持も兼ねて、イベントへの参加を通して、できるだけクルマを動かす努力をしている。
「ずっと動かしていなかったようで、購入当初はエンジンの吹けがよくない状態でした。じつは今日も、左ウインカーのバルブが切れ、さらにパワステが効かなくなるというトラブルが発生しまして(苦笑)」
そんな軽度(?)なトラブルを経験しても、「MRスパイダー」が可愛くて大切な愛車であることに変わりはない。廣見さんは「ヒューテック」というコーティングショップを経営しており、この愛車にもウインドウプロテクション用のフィルムやコーティングを施工しているとのこと。
「旧車はパーツの入手が大変なので、ガラスが割れると一苦労ですから。劣化を防ぎつつ、いつまでも美しい状態で維持したいので、旧車や希少車に乗られる方にはオススメですよ!」
確かに廣見さんの愛車は、まるで新車のような美しいボディが印象的だった。この「MRスパイダー」は、素敵なオーナーと巡り会えたことで、後世に残ることが約束されたようなものだ。
