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ロッド・スチュワートが25年間所有した「カウンタックLP400」が1億7400万円で落札! スーパースターが愛した“ペリスコピオ”

11万2000ドル(邦貨換算約1億7400万円)で落札されたランボルギーニ「カウンタックLP400」(C)Courtesy of RM Sotheby's

ロック界の超セレブリティが愛し続けたカウンタックLP400の最初期型が登場!

欧米で開催される一流オークションでは、著名なセレブリティの「元愛車」がたびたび登場し、時に驚くような高値で取引されます。今回ご紹介するのは、まさにその象徴ともいえる1台です。2026年1月23日、RMサザビーズが開催したオークションに、ロック界の超スーパースター、ロッド・スチュワートがかつて四半世紀にわたって所有したランボルギーニ「カウンタックLP400」が登場しました。「ペリスコピオ」の名で知られる最初期型の希少性と、スターの愛車という付加価値。注目を集めた競売のあらましと、驚きの落札結果をレポートします。

もっともピュアな形をしたカウンタック!世界に157台のペリスコピオの真実とは

今なお近未来的なウェッジシェイプを持つランボルギーニ・カウンタックは、1970年代の常識においては、コンセプトカー以上に先鋭的な市販スーパースポーツであった。

「LP112」というコードネームでスタートしたこのプロジェクトは、パオロ・スタンツァーニ技師が配下のマッシモ・パレンティ、およびテストドライバーのボブ・ウォーレスとともに陣頭指揮を執り、スタイリングはミウラと同じく、ベルトーネのマルチェッロ・ガンディーニが担当した。

1971年のジュネーヴ・ショーでプロトタイプ「LP500」が公開されたあと、エンジニアたちは再び図面に戻り、剛性を高めるためにチューブラーフレームを再設計。冷却システムには、垂直に取り付けられたラジエーターを組み込んだ。最初のカスタマーカーが生産されるまでにはさらに3年を要し、1974年にようやくデリバリーが開始された。

カウンタックの最初期生産モデルは「LP400」と命名され、3929ccのV型12気筒エンジンで375ps。もともとジョット・ビッザリーニが350GTのために設計したエンジンの進化版たるこのV12は、2010年に至るランボルギーニの12気筒モデルすべてに、それぞれのレイアウトで搭載されたものである。

このV12エンジンを縦置きし、その前にトランスミッションを配置するというスタンツァーニの革新的なパッケージングにより、ホイールベースを大幅に伸ばしてしまうことなくマスの集中化に成功。当時の技術レベルとしては最上のハンドリングと、高速走行時のスタビリティを誇るスーパースポーツとなった。さらに複雑なスペースフレームを中核に、アルミニウムとスチールの混合パネルで覆われたベルトーネ製ボディは、奇想天外なシザースドアでその名を知られるようになる。

いっぽう実用化には至らなかったが、これらの初期車両は当初、潜望鏡スタイルのバックミラーを装備することを想定していた。ルーフパネルに設けられたスタイリッシュな溝と、それに対応する小窓は、初期モデルの特質として残ることになる。

カウンタックは正式リリース後16年間も生産されたが、その後のバージョンは、代を追うごとにデコラティブになっていく。やはりガンディーニのウェッジデザインの純粋さは、そのユニークなルーフデザインから「ペリスコピオ(Periscopio:潜望鏡)」の愛称で呼ばれる最初期型LP400に、もっとも明快なかたちで表れているといえよう。

3台のミウラを乗り継いだスーパースターはブロンドとランボルギーニLP400がお好き!

今回のRMサザビーズ「ARIZONA 2026」オークションに出品されたのは、右ハンドル仕様のLP400。「ロッソ・コルサ」のボディに「タバコ」ブラウンのインテリア、そしてベージュのカーペットで製作された個体だ。

この個体は、オーストラリアのランボルギーニ代理店「トニー・デ・フィーナ」社が輸入。その際に目をつけたのが、当時オーストラリア・ツアーの真っ最中だったポップス界の世界的スーパースター、ロッド・スチュワートその人であった。

それ以前にも3台のミウラを所有した経歴を持つランボルギーニ愛好家であったロッドにとって、この個体は最初のカウンタックとなった。そして代表作ともいうべき名盤「スーパースターはブロンドがお好き(Blondes Have More Fun)」の録音に際して、シドニーのスタジオに2週間滞在した際にも、このLP400を傍らに置いていたことは、のちに上梓された彼の自伝でも明らかになっている。

その後、LP400はロッドの家族の家がある米ロサンゼルスに移され、「RIVA 1」として再登録。彼は、ランボルギーニ社がのちのカウンタックで行ったアップデートを段階的に施した結果、カンパニョーロ「テレダイアル」ホイールに、ワイドフェンダーやリアウイングを取りつけた「LP400S」仕様に変身してゆく。さらにはルーフをカットオフし、いわゆるタルガトップとした。この「オープンLP400S」姿もまた、当時の数多くのメディアに登場している。

1987年、このLP400はロッドの所有のまま英国に送られ「RMK 651R」の新ナンバーで登録。2002年まで英国に留まり、その時点でエンジンをフルオーバーホールしながら、2人目のオーナーに譲渡される。

このあとしばらく「#1120262」は表舞台から姿を消すが、いずれかの段階で左ハンドル仕様に改造されたのち、2010年のパリ「レトロモビル」に出品。現在のオーナーは2013年に入手し、のちに方針を転換。ステアリングのみは左ハンドルを維持するものの、ロッド・スチュワートが見初めた新車時のLP400スタイルに戻すことを決意した。この回復作業には、ボディワークの「バッタリア・エ・ボロニェージ」、メカニズム系の「トップモーター」など最上級のランボルギーニ専門家たちが携わり、それぞれの名声に相応しい仕事がなされた。

現在の国際クラシックカー市場における、大人気車のカウンタック。なかでも生産台数157台と希少なLP400であり、かつ「ロッド・スチュワートが四半世紀所有した愛車」という付加価値まで添えられたこの個体。じつは5年前の2021年2月、パリでのオークションでは約9920万円で落札された実績がある。

いっぽう今回のアリゾナでは、1月25日に迎えた競売では70万ドル90万ドル(邦貨換算約1億1130万円〜1億4310万円)のエスティメート(推定落札価格)を掲げた。実際には、前回を大幅に上回る88万5000ドル。現在の為替レートで日本円に換算すれば、約1億7400万円というなかなかの落札価格で、ハンマーが鳴らされることになったのである。

※為替レートは1ドル=159円(2026年1月23日時点)で換算

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