オジサンたちの視線を釘付け!ポルシェ911カレラRSRターボ仕様のコペン
カスタムカーの祭典として話題が尽きない大阪オートメッセ2026には、新時代を切り開くクルマ好きの若者たちが製作した魅力的なマシンが勢揃いしました。そんななか、兵庫県姫路市に本拠地を置く日本工科大学校の生徒たちが製作した、懐かしのマルティーニ・レーシングカラーを纏うポルシェ「911カレラRSRターボ」が大きな話題となっています。「一体ナニが凄いの?」と思うかもしれませんが、じつはこれ、ベースがダイハツ「コペン」だというから驚きです。
会場の誰もがポルシェのレプリカだと信じて疑わなかった
2025年はJB23ジムニーをベースに、1920年代のアメリカの名車「モデルA(T型フォードのマイナーチェンジ版 )」を彷彿とさせるリメイクカーを製作した日本工科大学校。2026年もハイレベルな完成度を誇るカスタムカーを大阪オートメッセ2026に向けて用意してくれた。
会場で圧倒的な存在感を放っていたマシンは、伝説的なレーシングカー「ポルシェ911カレラRSRターボ」だ。スーパーカーブームを経験した世代なら、そのかっこよさに憧れを抱いた存在に違いない。だからこそ、その姿を目にした瞬間に足を止め、じっくりと眺めるカスタムカー好きが絶えなかった。だが、このマシンを見たほとんどの人が、本当の正体に気づいていない様子がとくに印象的だった。
じつは筆者もそのひとりで、説明を受けるまではポルシェのレプリカだと思い込んでいたほどだ。しかし、詳しく話を聞くと、まさかのダイハツ コペンがベースであると知って驚愕した。
きっかけは「軽いノリ」と先生からの「無茶ぶり」
製作にあたったのは、日本工科大学校に通う生徒4名。今年の卒業課題として、全員で意見を出し合って決めたという。
最初の案は、「昔のポルシェってかっこいいよね」という会話から生まれた「ベース車はダイハツ コペンで作れないかな」という程度の軽いノリだったそうだ。そこから、同校のカスタムカーアドバイザーであるアートレーシングの村手智一氏に相談。すると、
「どうせポルシェ911を作るなら、よりレーシーでインパクトが高いRSRのほうが、衝撃的で目立つかもしれませんよ」
という助言をもらい、生徒たちは本格的なレーシングカー製作に挑むことになった。そこから必要な資料を集め、コペンのポルシェ「911カレラRSRターボ化計画」が動き出したのである。
ボディを構成するパーツは、すべてコペンの寸法に合わせ、生徒たちがアルミの平板から作り出したものだ。ベース車のコペンはルーフだけを残し、ボディに収まるサイズ感で平板を切り、叩き、合わせるという地道な作業の繰り返し。少しでも位置がズレるとすべてが狂ってしまうため、正確に造形を作り出す作業をひたすら続ける日々が、飽きるほど続いたという。
ヘッドライトの位置決めから、フロントスポイラー、オーバーフェンダー、フロントバンパー、ボンネット、リアパネル、ウイングに至るまで、すべて機械加工ではなくハンドメイドで造形されている。とくに大変だったのは左右対称に二つ作ること。ズレが生じないよう、極めてシビアな鈑金作業を粘り強く行い続けた。
生徒たちの熱意と真剣さは本物だった。造形しやすいFRPをまったく使わず、アルミのみで複雑な曲面を再現した点は、賞賛に値する。村手先生からは、
「どうせ本気で作るなら、たとえ本物が隣に並んでも恥ずかしくないくらい、そっくりに作ってみなさい」
と言ったそうだが、完成した車体を見て先生もびっくり。「まさかこのレベルまで作り込むとは思っていなかった」と驚きを隠せなかったようだ。
内装は「コペンそのまま」という潔いギャップ
外観はどこから見ても911カレラRSRターボそのものだが、室内を覗き込むとそこにはダイハツ コペンの面影がそのまま残っている。そのギャップを目の当たりにして初めて、このクルマの凄さが理解できるのだ。
生徒の1人は、
「後ろがまったく見えないので、なかなか危ないクルマです。会場への搬入時も本当に大変でした」
と苦労を語ってくれたが、その表情は達成感に満ちていた。学生たちの情熱がアルミ板をポルシェへと変えた、2026年の大阪オートメッセを象徴する1台といえるだろう。
