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購入価格より修理代が高い!? それでもベンツ「A124型カブリオレ」を18年愛し続ける理由

メルセデス・ベンツ E320カブリオレ:トランク周りの造形も美しいリアビュー。オープンモデルならではのフラットなデッキが特徴だ

購入価格を上回る修理費用で新車の匂い!?
「最善か無か」で最善を選択し続けるワケ

新車価格1100万円の高級オープンカーを底値で買い、購入額以上の修理費をかける。なぜそこまでして直すのでしょうか。18年間、メルセデス・ベンツ「A124カブリオレ」と歩んできたオーナーの愛車を取材してきました。油圧シリンダー8本の交換からダッシュボードの脱着まで、ネオクラシックカーを「新車の匂い」に蘇らせた驚異のリフレッシュ術と、一生手放せない相棒への想いに迫ります。

起業と同じ年式のオープンカー探しで辿り着く
「満身創痍」のA124カブリオレは買いか否か!?

124シリーズは、セダンがW、ワゴンがS、クーペがC、カブリオレモデルにはAが124の前にそれぞれ付く。中でも新車当時からあまり走っている姿を見ることがなかったモデルが、クーペWPBエースに仕立てられたカブリオレボディを持つA124と呼ばれるモデルだ。この個体のオーナーである“赤カブリオレマン”さんがこのクルマに出会ったのは、18年前のことだった。

1994年にご自身の会社を起業し、自分の人生と一緒に年齢を重ねていける、起業した年と同じ年式のモデルが欲しかったそうだ。休日など、ご自身がリラックスし、気持ちを切り替えるという意味も込めて「普段とは違うクルマに乗りたい」と考えていると、自然に候補のモデルはオープンカーに絞られていった。

そして重要な要素である「1994年式」モデルの情報を集めていると、名古屋のヤナセ販売協力店に並んでいたA124型の「E320カブリオレ」に辿り着いた。展示場で眺めた第一印象は「いいじゃん」だったのだが、購入対象になり細かく見ていくと、ガタや傷みが随所に見受けられた。

当時は124シリーズが底値(100万円から220万円)に突入している最中だったので、購入価格も見合わないかなと思ったそうだ。新車時には1100万円もしたモデルだったため、当然ながら修理金額はその価格帯のモデルの高いパーツ代となる。内装、エンジン、外装、そしてカブリオレの要である幌に至るまですべてが満身創痍の状態で、「買うより直す方が高いな」と感じたのだという。しかし、なぜだか引き寄せられるように不思議と縁を感じて購入を決意。その後も「なるべく新車の状態に戻す」という気持ちになり、手放すという考えは起きず、今日まで大切に所有している。

直して直して直して新車に戻る過剰品質車両!?
2年のリフレッシュと憧れの「フロリダの空」

直していくのも124シリーズの楽しみである。多くのファンは、パーツを交換すると何事もなかったように新車のように走るこのクルマに惚れ惚れし、修理してしまうことが非常に多いのだが、赤カブリオレマンさんも御多分に漏れず、購入から2年かけてしっかりとリフレッシュをした。

まず手を入れたのは足まわりで、当時は潤沢に補修部品があったので、フロントとリアのショックアブソーバーのみならず、124の要と言われているロアアームやメンバーブッシュ、マルチリンクのアームなど、すべてを一新させ走りの基本を整えた。これをすると本当に新車時の乗り味に戻るところが「最善か無か(The Best or Nothing)」という、当時のメルセデスのスローガンを体現した「最後の過剰品質時代の一台」と言われる所以でもある。

続いて、気持ちよくオープンエアーを楽しむために電動幌をリペア。動作させる油圧シリンダーを8本交換し、幌も張り替えた。その際、純正のブラックからインペリアルレッドのボディカラーに似合う「タン色」に変更した。仕上げている当時、出張でアメリカにいくことが多く、「フロリダの青い空の下で止まっているカブリオレがこの幌の色で、そのイメージを再現したかった」ということも、タン色を選択したもうひとつの理由だ。

エンジンは、この頃に搭載されていた「M104」と呼ばれる3.2L DOHCエンジンだが、日本の過酷な渋滞で傷んでしまうことが多く、調子を崩していることが多かった。このクルマもイマイチな調子だったので、定番とも言えるヘッドの面研(平面研磨)、ヘッドガスケット交換、コの字シールの交換を実施した。また、エンジンマウント、スロットル、ハーネス、ラジエターなど、徹底してネガティブな要素を新品交換し、徹底的に手を入れている。

さらにエアコン整備にも抜かりなく、ダッシュボードを下ろし、エバポレーターやレジスターファン、ヒーターコアなどもすべて新品交換されている。「今でも吹き出し口から出てくる空気の匂いは新車みたいな感じ」というほど、素晴らしい状態を保っている。

お金を払えばもっといいクルマは買えるけど
手塩にかけた相棒は絶対に一生手放せない!!

内装にもこだわりを持っていて、前オーナーは女性だったため、ハイヒールの跡などで傷みや傷があった場所は、迷わずすべて新品に交換した。そのため、現在でも極上の内装になっている。外装も、ボディパネルこそ綺麗だったが、腰下は細かい傷が多かったためにお色直しを行った。

ここまで手を入れたA124カブリオレは、「どこが好き」というよりも、リペアして蘇らせたことのすべてがいい思い出になっている。「お金を払えばもっといいクルマは買えるかもしれないですが、ここまで手塩にかけたクルマはもう絶対に手放すことができない」と言うほどのお気に入りになった。

現在このクルマは、日曜日にゴルフやドライブにいくための単なる移動手段ではなく、時間と手間、そして想いを惜しみなくつぎ込んだ「人生と起業した年月を映す大事な相棒」となって、これからもオーナーと共に走り続けるだろう。

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