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ポルシェの落札価格が約156万円!? 世界的インフルエンサー所有のFRスポーツ944の真価とは?

9900ドル(邦貨換算約156万円)で落札された「ポルシェ 944」(C)Courtesy of RM Sotheby's

空冷911の伝道師が所有していた意外なコレクション!

2026年3月18日から25日にかけて、RMサザビーズ北米本社がオンライン限定オークション「Magnus Walker:The Outlaw Collection」を開催しました。ポルシェ界におけるワールドワイドなインフルエンサーとして知られるマグナス・ウォーカー氏のコレクションから、アウトロー流のカスタムベースに最適な水冷FRモデルのポルシェ「944」の競売結果をレポートします。

アウトローのインフルエンサーが愛した水冷FRスポーツ「944」! 自由なモディファイを委ねられた1台

ポルシェ界におけるワールドワイドのインフルエンサーであり、「アウトロー」の代名詞で知られるマグナス・ウォーカー氏。今回開催されたオークションでは、彼の個人的コレクションが一挙に放出されることになった。

そしてその販売対象には、彼のスタイルを象徴する空冷「ポルシェ 911」のみならず、ちょっと意外にも感じられそうな水冷FRポルシェが複数含まれていた。今回はそのなかから、「ポルシェ 944」に注目する。モデルのあらましと彼の思い、そして注目のオークション結果について深掘りしていこう。

「この1987年式の黒いノーマルアスピレーションの944は、じつは私が初めて購入したポルシェ 944です。これまで私が蒐集してきた『924』や『928』、『944』、そして『968』といった水冷トランスアクスル車のコレクションの一部でした。このポルシェは、おそらく7年から8年ほど所有してきましたが、残念ながらあまり運転する機会は設けられませんでした。でも、サーキットやマウンテンロードを楽しむためのクルマとして、あるいは本格的なラリーカーやアーティスティックなカスタムカーを作るためのクールな『白紙のキャンバス』としては、まさに最適な1台だと思います。その選択は、皆さんにお任せします」(マグナス・ウォーカー)

専用設計のポルシェエンジンと卓越したシャシーバランスが生む走りはリアルスポーツカーそのもので大ヒット

ル・マン24時間レースや北米「IMSA選手権」を走った一連の「ポルシェ 924ターボ」を彷彿とさせる力強いフェンダーフレアと、924時代のようなアウディ由来ではなく、完全自社設計となる2.5Lの水冷直列4気筒SOHCエンジンを搭載したポルシェ 944は、1982年の発売当時から、トランスアクスル プラットフォームのポテンシャルを飛躍的に高めることになる。

924シリーズのモータースポーツ経験を投入した卓越したシャシーバランスで広く認められ、今なおポルシェ愛好家から称賛されている944は、持ち前の高いグリップ力にくわえて、ポルシェ自社設計のレスポンスの良い4気筒エンジンのおかげで、ドライビングの喜びを存分に味わえるリアルスポーツカーとなっていた。
ポルシェ 944のベーシック版クーペは11万台以上が生産されるヒット作となり、現在の国際クラシックカー マーケットにおいても市場の流通量は豊富だ。コンディションや来歴によって価格に高低は生ずるものの、たとえばアメリカならば1万から2万ドルで充分に入手できるようだ。

インフルエンサーから提供となった944、ベースモデルへの創造性は156万円で次期オーナーに託された

このほどRMサザビーズ「Magnus Walker:The Outlaw Collection」オークションに出品された、マグナス・ウォーカー所有の1987年式944は、もとよりアメリカ仕様として1986年11月27日にネッカーズルム工場をラインオフした。当初は合衆国北東部に納車されたそうだが、1990年代半ばにはカリフォルニアへと移り、2010年代後半にマグナス・ウォーカーが購入したとのことである。カタログ作成時点での走行距離は13万6755マイルであった。

ブラックのボディにブラックの部分レザー内装という定番の組み合わせで仕上げられており、そのほかのメーカー純正オプションとして、リアワイパーや4本スポークのスポーツステアリングホイール、クルーズコントロール、アラームシステム、電動スライド式サンルーフが装備されていた。

また、日本と同じく北米でも3速AT仕様が多くの割合を占める944ながら、この個体はウォーカー氏の嗜好を反映した5速MT仕様車である。

そして、彼のコレクションに属するほとんどの車両と同じく手は入れられているものの、この944については17インチのポルシェ純正「カップスタイル」アロイホイールが追加されたのみで、マグナス・ウォーカー流のアウトローなカスタマイズは小範囲なものといわざるを得ない。

RMサザビーズ北米本社では「現状のスペックで楽しむにも最適であると同時に、ウォーカー氏が指摘するように、次なるオーナーにとって無限の創造的可能性を秘めた、理想的な“白紙のキャンバス”でもあります」と現オーナーの意見をサポートしつつ、とくにシートやエンジンルームに明らかな疲労感の否めないコンディションを加味したのか、少し安めな1万から1万5000ドル(邦貨換算約158万円から237万円)のエスティメートを設定した。そのうえで「Offered Without Reserve」、つまり最低落札価格は設定しなかった。

この「リザーヴなし」という出品スタイルは、金額を問わず確実に落札されることからオークション会場の雰囲気が盛り上がり、ビッド(入札)が進むことも期待できる。ただしそのいっぽうで、たとえビッドが出品者の希望に達するまで伸びなくても、落札されてしまうというリスクも二律背反的に持ち合わせる。

こうして3月18日にスタートしたオンライン競売は、25日まで1週間にわたって行われたが、締め切り段階での指値はエスティメート下限にほんの少しだけ届かない9900ドルであった。つまり、現在のレートで日本円に換算すると約156万円という、昨今の国際クラシックカー マーケットにおける、5速マニュアル仕様のポルシェ 944の相場よりも低めの価格で落札されるに至った。

同じオークションでの落札例を見る限り、たとえ水冷FRモデルであってもアウトローな雰囲気のある車両にはそれなりの値がついたのに比べると、この944については、売り手サイドからすれば少々残念な結果だったことだろう。

ただ裏を返していえば、今回のオークションでリーズナブルな価格で落札できた新オーナーは、これからヤレ感強めのインテリアを中心にアウトロー流のチューニングやモディファイを施し、たとえば地元のカーショーなどで「マグナス・ウォーカーから購入した自慢の1台」を披露する権利を得たということだ。そう考えると、非常に夢のある落札だったのではないだろうか。

※為替レートは1ドル=約158円で2026年4月25日時点のレート換算

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