若き日の夢を「終の1台」に! 旧車レストア職人が自分用80年式日産スカイラインジャパンR仕様の全貌
旧車のレストアとカスタムを手がける「ガレージ大矢」代表の大矢清治さんが、人生最後の1台として製作中なのが1980年式日産「スカイラインGT(通称ジャパン)」です。若い頃に新車で欲しくても手が届かなかった夢のクルマを、今度こそ理想どおりに仕上げるべく、ノーマルボディを1から分解し、細部にまでこだわって組み上げています。
若い頃から欲しかったジャパンを「上がりの1台」に
「若い頃に新車として世に出てきて、その時に欲しくて欲しくて。でもお金がなくて買えなかったんです。前はTE27のレビンに乗ってたけど、その時は『旧車いいな』っていうのと、手に入りづらいしっていうことで造ったんですよ。でも、もう年も年だし、最後ぐらいは自分の好きなクルマに乗りたいっていうことで、ジャパンにしたんです」
オーナーの大矢清治さんは、旧車のレストアやカスタムを手がける「ガレージ大矢」の代表だ。言及にあったTE27レビンは、当サイトでも以前に紹介した、美しいレストアとカスタムが施された1台だ。
パテがひとつも出なかったワンオーナーの極上ボディを入手してレストアしたのだ。
大矢さんが人生最後の1台として製作しているのが、1980年式の日産「スカイラインGT」だ。C210型の日産スカイライン(通称ジャパン)は、1977年8月にC110型(通称ケンメリ)の後継として登場した5代目モデルで、今回の2ドアハードトップのほか、4ドアセダン、バンが用意されていた。エンジンはL型の直列6気筒と4気筒が設定され、後年にはターボモデルも追加された。L型6気筒エンジンを搭載するモデルがGTシリーズとして販売されたが、C210型ではGT-Rが登場することはなかった。
当時、暴走族から根強い人気を誇ったモデルだけに、良好な状態で残る個体は多くない。大矢さんはどのような状態の車体を手に入れたのか。
「俗に言うオーバーフェンダーをつけたジャパンRみたいな、そういう形にしたかったんですよ。結構みんなやってるんですけど、結局フェンダーカットした時にパテをごっそり塗ってたりとか、どんな溶接の仕方してるかわからないから、自分で1からやりたくてノーマルボディが欲しかったんです。それで探していたら、知り合いからちょうど売ろうとしている人がいるって聞いて見に行ったら、ワンオーナーで程度が良さそうなんで購入しました。一回全部バラシてるんですけど、パテは一個も出てきませんでしたね」
ケンメリGT-Rをオマージュした自作FRPオーバーフェンダーを用意
もともと程度の良かった個体だが、自分の理想に仕上げるため内装も含めたすべてを分解し、作業を開始した。ボディに関してはフェンダーをカットし、FRP製のオーバーフェンダーをセット。このオーバーフェンダーはケンメリGT-Rのオーバーフェンダーをモデルに、純正の形状を考慮しながら自身で製作したものだ。
取り付けには、ナットを溶接してボディに埋め込み、ボルトで固定する方法が取られている。ステンレス製のボルトとナットを使って錆を防ぐとともに、取り外せる構造にすることでメンテナンスも容易にしている。ホイールはハヤシ製で、11Jや12Jも検討したそうだが特注になってしまうため、取材時はフロント9J/リア10Jにスペーサーを組み合わせた仕様。そのほか、トランクリッドもFRPで製作している。
実はトランクも状態が良かったのだが、右脇にある給油口の蓋の形状が気に入らず、FRPで新たに製作した。そのため、トランクを開けなければ給油できない仕様となっている。
L28改3.1Lフルチューン仕様へ、完成後はR34ホワイトで全塗装予定
FRPのトランクリッドの下、カーボンで成形されたトランクルームには、燃料ポンプ、バッテリー、コンデンサー放電式点火システムのMSD 7AL-2プラスがセットされている。「エンジンルームには何も置きたくないんで、結局トランクになっちゃう」からなのだとか。ちなみにMSD 7AL-2プラスは主にドラッグレース専用として開発されたコンデンサー放電式点火システムで、高い点火性能と2ステップレブコントロールを内蔵している。
内装はフロントシートをレカロに変更し、後席は全面張り替え。コンソールなどのレザー部分もすべて張り替えられている。
エンジンルームは取材時点でとりあえずの状態だったが、最終的にはL28改の3.1Lフルチューンドエンジンとなる予定だ。取材時は内燃機関専門店に作業を依頼している最中で、エンジン完成後は5速フルクロストランスミッションと組み合わせる計画だという。ちなみにこのエンジンとトランスミッションは、フル鏡面仕上げが施されているそうだ。これだけのビルドを見据えれば、ドラッグレース専用として開発されたMSD 7AL-2プラスを点火系に選んだのも納得できる。
さらに、オーバーフェンダーを装着しFRPのトランクリッドも塗装済みのボディは、再度分解したうえでR34 GT-Rのホワイトへのオールペンが予定されている。
他人から見れば十分に仕上がっているジャパンRだが、大矢さんにとってはまだまだ製作途中。この記事が掲載されるころには、すでに白いジャパンが完成しているはずだろう。旧車イベントの会場でその完成形をぜひ確かめてほしい。
