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アメリカで約192万円で落札されたヤングタイマー初代ポルシェ「ボクスター」は、日本でもいまが買い時!?

1万2320ドル(邦貨換算約192万円)で落札されたポルシェ「ボクスター」(C)Courtesy of Broad Arrow

ポルシェを救った傑作スポーツカーの現在地

アメリカで開催されたオークションに、初期型となるポルシェ「ボクスター」が出品されました。ポルシェを経営危機から救い出し、現在の繁栄の礎を築いた名車として知られています。今回は初期型の5速マニュアル車が登場し、約192万円で落札されました。近年ヤングタイマー(製造から15〜30年ほど経過したクルマ)として注目を集めつつある、傑作スポーツカーの魅力とボクスターの現在地に迫ります。

経営危機のポルシェの救世主は「ボクサー」+「スピードスター」

ほんの数年前までは中古車として流通していた今世紀初頭のクルマたちのなかでも、特別な魅力を持つ一部のモデルは、そろそろヤングタイマーの仲間入りを果たしている。とくに希少なモデルから順番に価格上昇の兆しを見せている。

アメリカ合衆国のオークションハウスであるブロードアロー・オークションズ社が、2026年4月25日にカリフォルニア州で開催したポルシェのワンメイクオークション「Porsche Air&Water 2026」セールス。そこには、新たなヤングタイマーの代表格ともなりそうな初代ポルシェ ボクスターが出品されていた。

長年にわたり会社の屋台骨を支えていたのは、空冷エンジン搭載のポルシェ「911」。それに代わる存在として登場した水冷FRモデルたち(924/ 944/928など)は、膨大な投資に見合うほどの商業的成功を得られなかった。そのため1990年代初頭のポルシェは経営難に陥り、メルセデス・ベンツ「500E」やアウディ「RS2」の開発・生産を請け負うことで糊口をしのいでいた。

そんな折、同名のコンセプトカーとして1993年のデトロイト・ショーにて発表され、1996年から正式リリースされた初代ボクスターは、軽量かつ無駄のないデザインを追求するポルシェのスタンスを復活させたモデルであった。

ポルシェ「550スパイダー」やポルシェ「RS61」、ポルシェ「718 RSK」など、1950〜60年代のレーシングスパイダーにインスピレーションを得て開発。「ボクサー」と「スピードスター」を組み合わせた新造語をネーミングとして授けられたボクスターは、ますます重量と複雑さを増していた同時代の海外製スポーツカーに対するアンチテーゼである。往時のスタイルへの回帰として生み出されたのだ。

往年のポルシェ製レン・シュポルトと同じミッドシップレイアウトを採用し、水冷水平対向6気筒エンジンを搭載。それまでのどのポルシェよりもノスタルジックな時代の空気をみごとに捉えていた初期の2.5リッター版ボクスターは、ポルシェにとって起死回生となる大成功を収める。

ついに水冷化された「996」型の911とともに、一時は存亡の危機にあったとさえいわれるポルシェを、再び成功への軌道に乗せる原動力となったのである。

クラシックな仕様を残す初期型2.5リッター5MTモデル

このほど出品された初代「986」型のボクスターは、初期のプレSモデル(上位グレード追加前の初期型)の第一陣として製造されたものだ。アメリカのユーズドカー市場でも望まれる5速MT仕様であり、代表的なカラーである「アークティックシルバー・メタリック」のボディをまとっている。オプションの「グラファイト・グレー」フルレザー内装とヒーターつきシートを組み合わせた、クラシックな仕様が特徴だ。

ボンネット裏側に貼られた仕様ステッカーによると、新車時のオーダーから6つのオプションが選択されている。センターエキゾーストのボクスターマフラーをはじめ、アークティックシルバー塗装のロールバー、ステンレス製ドアシル、アルミ調メーターダイヤル、アルミとレザーを組み合わせたシフトノブやハンドブレーキが含まれる。

さらには17インチのアロイホイールやLSD(駆動輪の空転を防ぐ装置)、トラクションコントロールシステム、トランク内蔵型のCDチェンジャーなど、数多くの純正オプションも工場出荷時から装備されていた。

サービスブックの記録によると、今回の個体は1998年11月9日に初登録・販売されたものだ。車両履歴レポートには、初代オーナーが2014年まで所有し、当初の16年間でわずか1万4896マイル(約2万3830km)しか走行しないほど、大切に保管していたことが明記されている。

2017年からはカリフォルニア州を拠点とする数名のオーナーのもとを短期間で渡り歩き、翌年には走行距離4万マイル強の状態で、今回の出品者でもある現オーナーのコレクションに加わった。その間、定期的にディーラーで整備を受けてきたことがわかっている。

現在ではメーカー公認のクラシック認定対象車両ともなっている初期型ボクスターながら、その多くは過去の四半世紀以上にわたってさまざまな運命を辿ってきた。しかし、この2.5リッターモデルは例外といわねばなるまい。

約198万円の落札価格が示すボクスターの今後の価値は!?

直近では2023年初頭、走行距離5万3000マイル弱の時点でディーラーに入庫し、大規模な定期メンテナンスを実施した。各種フルードやフィルター類の交換にくわえ、イグニッションコイルのオーバーホールやブレーキ周辺の刷新も行われている。

さらに、初期の水冷フラット6では弱点として知られるIMSベアリング(動力を伝達する内部の軸受)が対策品へ交換済みであることも確認された。合計7747ドル分にのぼるこれら2回の整備に関しては、詳細な記録が保管されている。

オークションカタログ作成時点で、オドメーターの走行距離は年式からすれば少なめの5万3225マイル(約8万5300km)。取り扱い説明書や純正ツールキット、車両履歴報告書なども添付しての販売となった。

ブロードアロー・オークション社は「2000年代初頭において、もっとも魅力的でアナログなスポーツカーの1つである」とアピール。1万2500ドルから1万7500ドルの予想落札価格を設定した。

迎えた競売では、予想下限をわずかながら下回る1万2320ドル、日本円に換算して約192万円で落札された。日本国内におけるマニュアル仕様の初代ボクスターの相場価格と大差ないプライスである。

公式カタログを見ると、ドライバーズシートのボルスター部分に明らかな擦れ傷が見られるなど、インテリアには疲労感も見受けられる。このコンディションと走行距離の初代ボクスターであれば、以前ならばもっと安価に入手できたと記憶している。やはり、ヤングタイマーとしてのコレクターズアイテム化が始まっている証拠なのかもしれない。

※為替レートは1ドル=156円(2026年5月2日時点)で換算

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