クルマ嫌いから一転してモータースポーツの虜に! 娘と楽しむクラシックカーラリーの魅力
WRC(世界ラリー選手権)での日本人ドライバーによる総合優勝という快挙も記憶に新しいですが、クラシックカーの世界でも人気の自動車競技がラリーです。今回は、千葉県成田市周辺を舞台に行われた歴史あるイベント「ニューイヤーラリー」に、イギリス製ライトウェイトスポーツカーのMG「ミジェット」で参加した古野さん親子をご紹介します。競技の裏方としても活躍するオーナーの、クルマに対する熱い思いと親子の絆に迫ります。
クラシックカーラリーの裏方を支える「計測の人」が楽しむ競技
最新のテクノロジーの結晶であるモータースポーツだけでなく、クラシックカーの世界でもラリーは人気を博している。そのなかには、欧米の著名イベントの日本版といった高い格式のものから、日帰りで楽しめるもの、競技性の高いものやツーリングを主体としたさまざまな形態のものが存在する。
千葉県成田市周辺を舞台に行われるのが、モーガンクラブニッポンによる「ニューイヤーラリー(MCN NYR)」である。クラブイベントとして始まり、2026年で実に36回目の開催となる歴史あるラリーイベントだ。このイベントに参加していたのが、古野義晴さん親子である。愛車はイギリス製のライトウェイトスポーツカー、MG「ミジェット」だ。
100台の限定車として売り出された最終モデルであり、その後のトヨタ「セリカXX」などのブラック限定車のヒントになったとされるリミテッドブラックのボディカラーをまとっている。バンパーレス化(バンパーを取り外すこと)や牽引フック、ロールバーの装着により、精悍さをさらに増しているのが特徴だ。
このニューイヤーラリーは2度目のエントリーであり、次女の彩夏さんをコ・ドライバー(助手席でナビゲートする役割)に迎えて参加した古野さん。昨年は長女と参加したところ「お姉ちゃんだけズルい」と言われたため、2026年は彩夏さんとのエントリーとなった。
じつは古野さんは、クラシックカーラリーを楽しむ層にはよく知られた人物だ。本業のかたわら、「コッパディジャポネ」のシリーズや「ラフェスタ・ミッレミリア」といったクラシックカーラリーの競技運営に携わる「計測の人」という顔を持っているのである。
多くのクラシックカーラリーでの採点基準となるのが、決められた区間を設定タイムで正確に走行するPC競技だ。通称「線踏み競技」と呼ばれ、100分の1秒の誤差を計測しているのが古野さんなのである。今回のMCN NYRではこの線踏み競技はないが、ルートを指示するコマ図(略図)に距離の記載がなく、目標物だけを頼りにするなど、それぞれ違った難しさが面白さにつながっているのだ。
若い頃はクルマ嫌いだった青年がMGミジェットの魅力に目覚めた瞬間
若い頃は音楽活動をしており、クルマにはまったく興味がなかったという古野さん。幼少期からのファミリーカーにも、あまり良い印象は持っていなかったという。
「父親は古いクルマが好きで、1950年代のMG『マグネット』をファミリーカーにしていました。家族で伊豆などへ行く時の暑くて辛い、そんな記憶しかなかったですね(笑)」
それがある日、クルマを買いに行くという父親に付き合った帰り道、購入した MG ミジェットのハンドルを握ることになる。そして、クルマに対する印象は180度変わった。
「何これ!? めっちゃ面白いじゃん」
動かした瞬間、ハンドルに少し触れただけでスッと鼻先を変えてくれる MG ミジェットの動きに感動したのだ。
「この時にクルマって、こんなに楽しい乗り物なんだと思いました」
父から子へ、そして娘へ受け継がれるイギリス車との絆
その後、古野さんも父と同じ MG ミジェットを手に入れ、親子でサーキット走行をメインに楽しむようになる。当時、インタークラブという団体が「MG CUP」というワンメイクのレースを開催しており、そこにそれぞれ参加して親子対決も楽しんだという。
父と子で楽しんだ MG ミジェットは、時が流れて現在では娘さんと楽しむ愛車となった。
「最後にミスコースをしてしまったのですが、ちょうど成田山の参道に出てしまいまして。すごい人並みでUターンもできない状況で、もうどう足掻いてもダメでしたね。チェックポイントもタイムアウトでした」
それでも楽しかったと彩夏さんも微笑む。
「じつは親父の乗っていた MG マグネットを引き継いだので、来年は家族4人で参加したいですね。この季節は暑くないし、きっと娘たちも良い印象を持ってくれると思います」
MGマグネットのネーミング通り「人々を引き寄せる磁石」のように、家族4人を引き寄せて1台に乗せてしまおうという不思議な力は、古野さんのお父さんが思い描いていた「自動車を通じて深める家族の理想形」なのかもしれない。
