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即売約済みも納得! ダイハツ「コンパーノ1000GT」にソレックスキャブを組んだ大人の本

ダイハツ コンパーノ1000GT:せり出した個性的なテールライトとリアのCompagno GTエンブレム。当時のイタリアンな造形が際立つ

ダイハツ初の本格四輪乗用車コンパーノの希少なホットモデル「1000GT」。前オーナーが徹底レストアした極上の1台を紹介

ダイハツが本格的な四輪乗用車市場へ参入する足がかりとなった名車、「コンパーノ」。そのなかでも、ツインキャブエンジンを搭載した希少なホットモデル「コンパーノ1000GT」の極上車が存在する。前オーナーの手によって徹底的なレストアが施された真っ赤なボディは、半世紀以上前のクルマとは思えない新車のような輝きを放つ。日本の自動車黎明期の熱気を今に伝える、歴史的価値と美しさを兼ね備えた至高の1台がもつ圧倒的な魅力だ。

パシフィコ横浜に咲いた真っ赤なイタリアンセダン、コンパーノGTとは何者か

クラシックカーの祭典である「ノスタルジック2デイズ」の会場となったパシフィコ横浜。数々の名車が並ぶ屋内展示場のなかで、群馬県のスペシャルショップ「オートサークル」のブースでひときわ強い存在感を放っていたのが、1968年式のダイハツ「コンパーノ1000GT」である。

現代のクルマと比べれば極めてコンパクトなサイズだ。当時の欧州車を思わせるお手本のような2ドアのノッチバックセダンボディに、コンバーチブルモデルである「コンパーノスパイダー」と共通の998ccツインキャブエンジンを搭載したホットモデルである。

取材に応じたオートサークルの福嶋代表によると、コンパーノは他の旧車と比べても現存台数が非常に少ないという。なかでもこのGTはさらに数が絞られ、これほどの状態を保つ個体は奇跡に近い。前オーナーが徹底してレストアを施したうえで、大切に屋内保管していたからこそ、この奇跡的な水準で現代に生き残っているのだ。

ダイハツはどうやって四輪へ進出したのか、コンパーノ誕生までの道のり

ダイハツの四輪乗用車は、長い助走期間を経て世に出た。同社は1907年に発動機の製造会社として創業している。戦前および戦後を通じて三輪トラックの分野で確固たる地位を築き上げた。その輝かしい実績を土台として、いよいよ四輪の世界へと歩を進める。

本格的な四輪乗用車の歴史は1963年に動き出した。同年4月にライトバンを発売し、6月にはワゴン、そして11月に2ドアのベルリーナ(セダン)を市場へ投入している。頑強なラダーフレームに797ccのOHVエンジンと4速フルシンクロトランスミッションを組み合わせた。美しいボディデザインは、イタリアの名門カロッツェリアであるヴィニャーレが手がけている。正確にはイタリアでデザインされたのはバンのプロトタイプであり、セダンへの変更はダイハツの社内で行われた。

その後、1965年にはエンジンを998ccへと拡大する。ツインキャブで65psにチューニングしたスパイダーを皮切りに、シングルキャブ仕様でホイールベースを延長した4ドアセダンなどを追加した。同年11月に、ベルリーナ2ドアへスパイダーと共通のエンジンを搭載して誕生したのが、今回紹介するコンパーノ1000GTである。

新車のような輝きはどこから来るのか、前オーナーが残した徹底レストアの痕跡

息を呑むようなボディの美しさは、前オーナーが残した情熱の結晶だ。所有していた時期に本格的なレストアが施されており、まるで新車のような輝きを放っている。エンジンルーム内も細かな部品に至るまでリフレッシュされており、新品と言われても信じてしまうほどの仕上がりだ。

そこには愛好家ならではの明確な哲学が存在する。吸気系のみ、ソレックス製のツインチョークキャブレターへと交換され、走りに対する的確なアップデートが図られているのだ。それ以外は基本的にオリジナル状態へ忠実なレストアが貫かれている。ステアリングなどごく少数の部品を除き、各部のエンブレム類や純正のホイールキャップ、ピラーに備わるサイドウインカーといった細部に至るまで、新車当時の姿を保っている。

誰もが羨むこの極上の1台は、イベント会場ですでに即売約済みとなっていた。徹底してオリジナルを尊重しながら、走りに効く一点だけには手を入れる。その真摯な姿勢は、前オーナーから次の所有者へと確実に受け継がれていくはずだ。半世紀の時を越えてなお新車の輝きを宿す真っ赤なセダンは、日本の自動車黎明期の熱気とクルマ愛を後世へと伝える、かけがえのない歴史的遺産である。

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