デートカーと呼ばれた三菱「FTO」を、デイトナがエアロと吸排気で硬派なV6クーペに仕立てたデイトナ「ディーキャトロ」のデモカー
金曜の夜から日曜の夜まで、デートのために使われる。そんな軟派なイメージで語られがちだった三菱「FTO」。その1台を、デイトナはボディ全周のエアロと吸排気チューンで硬派なスタイルへと振り切ってみせた。エンジン内部はノーマルのまま、見た目と吸排気、足まわりだけで勝負する。デートカーなんて呼ばせない。1996年にバイク用品で広く知られる「デイトナ」の四輪用ブランド“ディーキャトロ(DCUATRO)”から登場したデモカーを振り返る。
(初出:ヤングバージョン1996年4月号)
ベースは2リッターV6にMIVECを積む三菱「FTO GPX」。デイトナが仕上げた走りのデモカー
このデモカーのベースは、三菱「FTO」の上級グレード、GPX(DE3A型)である。1998ccのV型6気筒DOHC24バルブ、6A12型にMIVEC(可変バルブ機構)を組み合わせ、最高出力は200psを発生する。トランスミッションは、マニュアル操作もできるスポーツモード付きのINVECS-II(セミAT)だ。1994年10月にデビューしたFTOは、その年の日本カー・オブ・ザ・イヤーに輝いた実力派である。当時はデート用として使われることも多く、軟派なイメージが先行していた。そんな素材を、ディーキャトロはあえて硬派なスポーツクーペへと振り切ってみせた。
フロントスポイラーを筆頭に全パーツFRP製のフルエアロを装着し、車高も約35mmダウン
このFTOの主役は、なんといってもディーキャトロ製のエアロパーツである。フロントスポイラーはハーフタイプ。オーバル形状のインテークを添えたサイドスカート、リアバンパースカートを組み合わせる。小型フィンをデザインしたリアスポイラーも用意される。これらのエアロはすべてFRP(繊維強化プラスチック)製で、装着はボルトオンとされる。さらにオリジナルのスプリングを組み、フロントで約35mm、リアで20mmのローダウンを実現した。ノーマルのFTOは腰高に見えてしまう。その点、この車高の変化だけでも印象は大きく引き締まる。内装では、カーボン製のメーターパネルや、両面テープで装着するアルミメーターリングといった小技で雰囲気を高めている。
スポーツマフラーとMIVECコントローラーで4000rpm以上がパワフルに変化
走りに関わるメニューも用意される。“ブルーサーパント”と名付けたスポーツマフラーは、メイン60Φから出口130Φの構成だ。純正と入れ替えるのは、乾式のスーパーフィルター(吸気効率を高める乾式エアクリーナー)だ。カムの切り替えポイントを3000〜5500rpmの範囲で調整できるMIVECコントローラーも組み込む。前後には、ボディ剛性を高めるサスバー(サスペンションまわりの補強バー)をセットした。
これらを装着したGPXにちょい乗りすると、4000rpmを超えたあたりから吹け上がりがノーマルより鋭くなり、5000rpm以上ではさらにパワフルに感じられる。足は直線的にビシッと落ち着き、コーナリング中のロールも少ない。荷重移動もスムーズで、手応えは十分だった。ちなみに、試乗車のタイヤは225/45-18の18インチだったため、バネ下の重さが気になった。標準の16インチ、もしくは17インチでのサイズアップなら、もっとスポーツできるはずだ。
【AMWノミカタ】
今回紹介したディーキャトロのFTOは、AMWを運営する交通タイムス社がかつて発行していたチューニング誌『ヤングバージョン』1996年4月号に掲載された1台だ。FTOといえば、イタリア車を思わせる個性的なデザインに、どうしても目がいく。だが改めてパッケージングを見直せば、スポーツカーとしてのポテンシャルも十分に高い。そこに目をつけたディーキャトロのセンスが光る。しかも軽めのチューニングゆえ、日常の扱いやすさはそのまま。硬派に仕立てながら、週末のデートカーとしても難なく成立してしまう。この懐の深さこそ、FTOの本当の魅力だ。
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