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アンフィニ「MS-6」は「クロノス」の派生モデルだった! 今思えば贅沢な2種類のV6エンジンを設定していました【カタログは語る】

登場からわずか3年あまりで生産終了となったMS-6

登場から3年あまりと短い販売期間だった

1991年11月から販売が開始された「アンフィニMS-6」は、車名の通りマツダのアンフィニ店から専売車種としてリリースされていたモデルです。同社のクロノスをベースにした派生車種で5ドアハッチバックスタイルを採用。あらためて当時のカタログから振り返ります。

昨今の「クーペルック」の先達にも思えるスタイルを採用

サラッとだけ触れておくと、1989年以降、マツダ/オートラマ/オートザム/ユーノス/アンフィニと販売店の5チャネル化が実行され、その際、平たくいうと各チャネルに販売車種を用意するため、共通のプラットフォームから複数の車種が生まれた。

アンフィニ「MS-6」もその中の1台だった。改めて車名を列挙してみると、アンフィニMS-6、マツダ クロノス、マツダMX-6、オートザム クレフ、アンフィニMS-8、ユーノス500、オートラマのフォード テルスター&TX5の各車が、このときに登場したモデルたちだ。

発売時期はクロノスの1991年10月からMS-8の1992年3月。いずれも2600mmのホイールベースが共通で、全幅はユーノス500のみ1695mmの5ナンバー、それ以外の車種は1750mmまたは1770mmに仕上げられていた。

そのうちアンフィニMS-6は、マツダ クロノスのいわば5ドア版で、同じ5ドアのフォード テルスターTX5とは兄弟車のような、もっとも近い関係にあるクルマ。ちなみにMS-6はクロノスとともに前身のマツダ カペラ(フォード テルスター)の後継モデルの位置づけにもあり、ワゴン(やクーペ)こそ設定されなかったが、販売チャネルがセダンと5ドアとで振り分けられてしまうことになり、販売の現場は大変だったはずだ。クロノスとMS-6とで、4ドアセダンと5ドアがあったカペラのニーズを引き継ぐ……はずのクルマでもあったのだが……。

そんなMS-6のカタログだが、トップページに記されているコピーは「V6&ワイドラウンドプロポーション、アンフィニMS-6」というもの。このコピーからも、上質、上級志向のクルマだったことが伝わってくるが、昔から5ドアの評価が定まりにくい日本市場にあって、ある意味で意欲的なコンセプトを狙っていた。

とくにプロポーションについては、4ドアセダン版のクロノスが比較的シンプルにスッキリと4ドアセダンのスタイルとしていたのに対して、もともと丸みを帯びたデザインだったこともあり、今見直すと昨今の「クーペルック」の先達にも思えるスタイルのクルマともいえた。

日本車離れした洗練されたスタイルは魅力のひとつだった

なおカタログの図面でクロノスとMS-6のサイズの違いを確認すると、ボディサイズは全長4695mm×全幅1770mmが同じ、全高はクロノスの1400mmに対しMS-6のほうが10mm低い1390mm。一方で室内空間については、4ドア&5ドアの両方の用意があったフォード テルスターの4面図で確認すると、座面から天井までの高さがセダンに対し5ドアは前席で-10mm(935mm)、後席で-30mm(865mm)の差となっており、室内長も5ドアのほうが30mm短い数値(1860mm)になっていた。

室内幅(1450mm)、シートサイズ(後席で座面前後長=500mm、幅1295mm)は5ドアもセダンも同じなので、スタイル(ルーフ形状)の違いがそのままパッケージングの違い、居住空間の差になっていたことがわかる。

とはいえやはりMS-6といえば、当時としては日本車離れした洗練されたスタイルは魅力のひとつだった。5代目カペラのようにドアガラスをガイドピンで支える方式(当時アウディからパテントを買ったと聞いた憶えがある)こそ採用していなかったがガラスとボディの段差の小さいスムーズな表面処理の6ライトウインドウや、無用なキャラクターラインのないすっきりと豊かなボディ面など、なかなか上品なものだった。

さらに5ドアの見せ場だったのが、ボディスタイルと完全に一体化したリアスポイラー部。見かけ上はボディ(リアゲート)だがよく見ればウイング状にし、その下が抜いてある巧みな形状でリアウインドウから流れてくる空気をさばくようにしてあった。テルスターTX5もリアコンビランプ、ガーニッシュのデザインは異なったが、スポイラー部分はMS-6と同形状に仕上げられていた。

それともうひとつ、小型・軽量設計のV6エンジンの搭載もMS-6の売りのひとつだった。

しかも今にして思えば非常に贅沢なことに、同じV6で2L(1995cc)と1.8L(1844cc)と排気量違いで2機種のV6エンジン(ボアは異なりストロークが同じ)が設定されていたのだった。同時期のV6ではMX-6などに搭載した2.5L(2496cc)もあったが、この時期のマツダは、ファミリア系のランティスにも2LのV6を搭載したり、上級のセンティアには縦置きのV6(2.5Lと3L)を搭載するなどしていたが、V6エンジンの採用で、ノイズ、振動が少ない、より上質なパワーフィールを求めていたのだった。

MS-6については1992年3月に2Lの直列4気筒エンジン搭載の4WDを設定、翌1993年3月には2Lディーゼルも追加している。とはいえ残念ながら販売には結びつかず、1994年12月には国内販売を終了した。登場から3年あまりと短い販売期間がじつに残念……今でもそう思えるクルマだ。

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