愛媛県新居浜市の海辺に佇むブック&カフェ「読×舎」
1992年式のユーノス「ロードスター」で瀬戸内の海辺をすいすい走る“moemi”さんは、ブック&カフェ「読×舎(よみかけしゃ)」のオーナー。地元である愛媛県新居浜市と京都の2拠点生活をしながら、ご縁が続いて昔からの夢だったカフェをオープンした彼女ですが、やはり人の縁によって、かつて憧れていたスポーツカーに乗ることになりました。とはいえずっとペーパードライバーだったので、MT車の運転に慣れるまではひとかたならぬ苦労もあったとか……。
2拠点生活を送りながら郷里の古民家を改装してカフェをオープン
愛媛県新居浜市といえば臨海工業の都市として、さまざまな分野の産業が盛んな町である。市街地の喧騒を離れ、穏やかな瀬戸内海を望みながら、ゆるやかなカーブが続く海岸線をドライブしていると瀬戸内海に浮かぶ大島が見えてくる。
その海岸線にいくつか点在している集落のひとつにある、荷内(にない)海岸へと続く路地にあるのが、ブック&カフェ「読×舎(よみかけしゃ)」だ。
「遠い将来の夢として、大好きな本を集めた本屋さんをやりたいなと、ぼんやり思っていましたが、いろいろなご縁があって話がどんどん進み、2021年にオープンしました」
と語るのはオーナーの“moemi”さんだ。
普段は京都でパートナーと暮らしている“moemi”さんは、6年前に祖母、そして父親と連続して介護が必要となり、月の半分は故郷の新居浜と京都を行き来する、2拠点生活が始まったのだという。
海辺で空き家になっていた古民家を仲間たちと2年かけて改装した、瀬戸内の空気に包まれながらゆっくり本を楽しめる空間。そんな「読×舎」を運営している彼女の現在の愛車は、1992年式のNA型ユーノス「ロードスター」だ。
ロードスターの助手席で、スポーツカー好きの血が呼び覚まされた
じつは“moemi”さんは、こう見えて大のスポーツカー好き。小さい頃、3歳離れたお兄さんと一緒にテレビアニメ『頭文字D』を見るようになり、クルマの魅力に開眼したそうだ。
「最初は無理やり付き合わされていたのですが、見てたらハマりました(笑)」
ちなみにお兄さんの当時の愛車が日産S13型「シルビア」ということもあり、“moemi”さんも大好きになったのはスポーツカー。中学生になる頃には中古車情報誌で憧れのスポーツカーの売り情報を眺めていたそうだ。
いつかスポーツカーに乗ろうと、18歳の時に取得した運転免許はもちろんMTだったが、普段の生活ではとくにクルマの必要性は感じず、ずっとペーパードライバーだったという。しかし、新居浜に戻ってからはオートマ車の運転を始めていた。
そうした時に通うようになったのが荷内海岸にあるカフェ「みんなのコーヒー」だ。ここは香り高いコーヒーを楽しめるドライブの目的地として県内外からのファンも多い。
ある日、バリスタの平田さんから、彼のNA型ユーノス「ロードスター」がそろそろ車検満了で、他にクルマもあるし車検を切るから乗りに行こうと誘われる。
その助手席でNAロードスターを味わった“moemi”さんの、スポーツカー好きの血が呼び覚まされたのだった。
「助手席でもこんなに気持ちいいクルマ、走らせていないともったいないと思い、私が引き継がせてもらってもいいですか?」
と譲り受けた。
「乗れる限りはずっと乗り続けます」
晴れてロードスターのオーナーとなった“moemi”さんであったが……。
「久しぶりに運転したら、シフトチェンジ? クラッチ? どうするんだっけ? というくらい、全部忘れていました(笑)」
乗り始めた頃は、カックンカックンだった運転も、平田さんによるスパルタ特訓もあり、現在はシフトアップとシフトダウンをすいすいこなし、気持ちよく海岸線を走らせる。
ところで、製造からそこそこ年数が経っているNAロードスターであるが、旧いクルマへの不安はなかったのだろうか。
「“みんなのコーヒー”さんはクルマ好きが集まってくるのですが、お客さんでディーラー勤務の方がいらっしゃって、ちょっとしたことでも対応してくれるんです」
とのことで、安心のバックアップ体制もあるそうだ。
「乗れる限りはずっと乗り続けます」
という“moemi”さん。
四国へのドライブの際は、新居浜で「読×舎」と「みんなのコーヒー」をハシゴして、両店でクルマ談義を楽しんでみてはいかがだろう。
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