BYD初の乗用車・商用車合同の事業方針発表会でサプライズが連発
2025年1月24日、BYDジャパンは東京・お台場にあるシティサーキット東京ベイでBYD初の乗用車・商用車部門合同の事業方針発表会を開催しました。商用車部門では新型バスの「J7」導入に続いてBEVトラックを導入し、乗用車部門では新型「シーライオン7」を2025年4月から販売開始。さらに2025年内にPHEVモデルを日本導入すると発表しました。
国内EVバスのシェア約70%からさらに上積みを狙う
2025年は、BYDジャパン創立20年、BEVバス日本導入10年、そして乗用車日本導入3年目となる節目の年に当たり、これまで以上に意欲的に新製品を展開することが発表された。
まず商用車部門では、2015年に大型EVバスの「K9」を日本に導入してから10年が経過。現在も販売されている「K8」「J6」を投入し、累計納車台数は350台となる。国内EVバスシェアは、約70%を達成している。
また小型バスのJ6は優れた乗り心地や走行性能に加えて、小型バスというサイズのメリットを活かし、自動運転の実証実験車両として、自動運転開発パートナーからも高い支持を得ている。現在全国各地では、数十台のJ6が自動運転バスとしてすでに可動している。
そして今回新規導入モデルとして発表されたのが、日本専用設計の新型「J7」だ。このJ7はJ6の後継車にあたり、日本で求められる中型路線バスの車幅2.3mというボディサイズが特徴。さらに専用のインホイールモーターを採用したeアクスルを採用している。
216kWhという駆動用バッテリーを天井とリアシート後方に搭載していることで、通路に段差がなく乗り降りしやすくなっているのがBEVバスの特徴だ。また航続走行距離は200kmを実現し、車両本体価格は3650万円(消費税込)と、国産のディーゼル車との価格差が小さくなっている。
この新モデルの導入により、路線用BEVバスは、大型、中型、小型と主要3モデルが揃ったことで、2030年までに累計4000台の販売を目指すという。
また、BYDの商用車部門は次のステージに向けた新しい取り組みとして、2026年以降にEVトラックの日本導入を決定したと発表した。発売時期、車種、仕様、価格などの詳細については2025年秋のジャパンモビリティショーになるとのこと。走行距離の多い商用車のBEV化が、カーボンニュートラルに向けての一歩というBYDの考え方が明確化された。
新エネルギー自動車としてPHEVを導入
一方乗用車部門では、東京オートサロン2024で公開された日本発売第4弾モデルの新型「シーライオン7」を2025年4月より販売開始することを発表した。シーライオン7は日本に導入されているフラッグシップセダン「シール」のクロスオーバーモデルで、全長4830mm×全幅1925mm×全高1620mmと、日産「アリア」よりも大きなボディサイズとなっている。
後輪駆動車と四輪駆動車を用意し、満充電時の走行可能距離は後輪駆動車が590km、四輪駆動車は540kmで日産アリアと互角のパフォーマンスを発揮する。
2024年は前年比+58%で2223台を販売したBYD。「ATTO 3」「ドルフィン」「シール」そして新規導入モデルの「シーライオン7」の追加により、2025年はさらなる販売台数を上積みし創業期の総仕上げを目指す。
そして2025年の事業計画として、BEVのシーライオン7の発売に加えて、2025年内にPHEVを日本市場に導入することを発表した。BYDはこれまで日本市場にはBEVのみの展開だったが、乗用車のグローバル販売台数では、BEVが41.5%、PEHVが58.5%とPHEVが上回っている。
これからも継続的に日本のeモビリティ(電動化)の発展に貢献するため、新エネルギー自動車としてBEVとPHEVの両輪で成長を進めて行くと発表した。
PEHVの価格に期待
2027年頃までにはBEV+PHEVで日本国内7〜8モデル体制を構築し、多くのユーザーそれぞれのライフスタイルにベストマッチなモデルラインアップを提供していくという。
BEVメーカーというイメージを強調していたBYDだが、PHEVの導入によりBEVメーカーから新エネルギー自動車ブランドへと進化していくという意欲が感じられる。
国産車では、ガソリンエンジン車と比べると割高感のあるBEV/PHEV。しかしBEVの低価格化を実現してきたBYDの導入するPEHVの価格や航続走行距離は気になるところ。正式な発表は2025年秋に開催されるジャパンモビリティショーとなるだろうが、BYDのPHEV導入は、国産車メーカーも非常に気になるトピックとなるのは間違いない。
AMWノミカタ
日本試乗ではBYDと聞けばBEVというイメージだが、実はPHEVも2024年に大きく注目されている。すでに量産化していたPHEVをなぜいま、日本市場に投入するのかといえば、日本各地にあるディーラー59拠点を2025年内に100拠点に増やす目標と無関係ではないだろう。日本ではBEVだけでは大きく台数を伸ばせないが、PHEVならば販売台数を伸ばすことも可能だろう。PHEVも扱うことができるのなら、BYDのディーラーに名乗りを上げるところも増えることが見込まれる。さらに、PHEVを購入することでBYDの敷居をまたいだカスタマーが、いずれBEVを購入するということもありうる。まずはBYDディーラーに人が訪れることが大切なのである。そのためには、PHEVモデルが必要ということである。
