サーキットを疾走したレースマシンをオマージュ
1970年のレースシーンを現代に甦らせた1台が、Nostalgic 2daysの会場を沸かせました。オートショップ タキーズが製作したのは、当時の日産「スカイラインGT-R」を再現したレーシング仕様です。細部まで忠実に作り込まれたマシンは、外観だけでなくエンジンルームまで本気の仕様。ナンバー付きで公道走行が可能という点にも注目です。
2ドアよりも“羊”要素強めのシンプルな外装が魅力
2025年2月22日〜23日に横浜で行われたNostalgic 2days。会場に入ってまず目に飛び込んできたのが、オートショップ タキーズのブースに展示されていたレーシング仕様のハコスカこと日産3代目「スカイラインGT-R」の4ドアセダンである。
ベースとなっているのは1972年式の「スカイラインGT」であるため厳密にはスカイラインGT-R仕様という扱いになるが、外観は1970年にJAFグランプリで黒沢元治氏が乗って優勝を果たしたゼッケンナンバー58号車を忠実に再現している。エンジンはスカイラインGT-RのパワーユニットであるDOHC 2LのS20型が搭載されている。
レース仕様のハコスカは2ドア・ハードトップ時代のマシンが一般的に知られているが、レース活動自体は1969年から1970年前半までは4ドアセダンでレースに参戦していた。ゆえに、4ドアのスカイラインGT-Rのレース仕様に惹かれるファンも少なくない。
市販仕様の4ドアセダン型スカイラインGT-Rは、リアフェンダーを大きくカットしているものの、オーバーフェンダーは装着されていない。一方、レース仕様では前後ともにビス留めのオーバーフェンダーが取り付けられているのが特徴だ。外観においては前後バンパーが取り外されており、フロントには特徴的なヘッドライトカバーが装着されている。リア周辺ではテールランプ周辺のベゼルが取り外され、ボディにレンズのみを直接装着した簡素なテールランプが採用されている。
なお、4ドア時代のワークスマシンにはリアウイングやフロントにチンスポイラーが装着されておらず、より“箱車感”が強調されている。後の2ドアのスカイラインGT-Rのレース仕様も当然魅力的ではあるが、市販車に近い姿を保った4ドア時代のレーシングカーがサーキットを疾走する様は、当時のファンの記憶に「羊の皮を被った狼」という強烈な印象を刻みつけたに違いない。
当時を再現した姿のままナンバー付きの公道仕様
この個体には、当時使用されていたレースパーツがふんだんに用いられている。リア中央部に装着したロールケージ、チェックマン製のステアリング、ワイドミラーなど、細部にわたってこだわりが感じられる。
また現代の公道を走行するために追加でサイドミラーが装着されているほか、ヘッドライトカバーを取り外せば灯火類もすべて正常に作動する仕様となっている。ホイールは当時のマグホイールではなく、形状を忠実に再現したワタナベ製8スポークマグが装着されている。
エンジンはレース用にチューニングが施されており、S20型はドライサンプ化されてオイルタンクなども備わる。エンジンルームも当時の雰囲気をそのままに再現されており、非常にマニアックな仕上がり。外観だけでなく中身も、まさにこのままレースに出場できるスペックとなっていた。
