全日本ダットサン会が運営する由緒あるイベントで名車を発見
かつては東海道第1の宿場町として栄えていた品川ですが、現在ではオフィスビルが立ち並ぶ近代的な街となっています。そのようなJR品川駅港南口ふれあい広場で、2025年4月6日に開催されたのが、第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南です。このイベントは全日本ダットサン会が運営しており、歴代日産車の参加車比率が高いのが特徴です。すでに四半世紀以上の長い歴史を誇るイベントで見かけた日産初代310型「ダットサン ブルーバード」を紹介します。
世界に広まったダットサン
年季の入ったクルマ好きにとっては「ダットサン」の名は特別な響きを持つブランドだ。戦前の日本でオーナードライバー向けの小型車として大量生産され我が国のモータリゼーションの礎を築き、敗戦のブランクを経てノックダウン生産から徐々にノウハウを蓄積して実力を蓄えていった戦後は、輸出産業の花形として世界中にDATSUN(ダットサン)の名を知らしめていった。
そのような”躍進のダットサン”を象徴した車種のひとつが、歴代のブルーバードだろう。それまでは単にダットサン1000(210型)という車名だった乗用車がフルモデルチェンジ、1959年に登場した310型こそが初代ブルーバードである。
会場でひときわ目を引いた1台が⋯
現在ではブランド名と社名が日産に統一され、ダットサンの名もブルーバードの名も消滅してしまった。しかし、第26回高輪交通安全フェア 品川クラシックカーレビューイン港南は、ダットサンと日産の旧車を1台でも多く動態保存で残したいと1985年に設立された全日本ダットサン会が運営するイベントだけに、会場には歴代のダットサン・ブルーバード各車も多数展示されていた。
そのなかでも最古参のブルーバードが、1960年式の初代310型。その見た目から”柿の種”と呼ばれた小ぶりのテールランプが特徴の初期型だ。1Lと1.2Lの2種の排気量が用意された310型ブルーバードだが、こちらは1.2Lのデラックス・グレードである。さっそくオーナーの“ブル310”さんにお話を伺った。
「このクルマを手に入れたのは6年ほど前のことです。昔から旧いクルマに興味があったので、定年を迎えたのを機に旧車専門ショップで購入しました」
入手後半年から1年くらいの間は、細かな不具合を順繰りに潰していく作業が続いたという。
「ただ、義弟が旧車の整備もこなせるメカニックなのでその点では心強く、整備が一巡した今では快調です」
とのこと。ご先祖さまの110型や210型も気にはなったそうだが、
「やはり現代の路上で楽しむには310くらいの時代のモデルがいいかな」
と話す。
前輪独立懸架の採用によって先代に比べずっと近代的な乗り味となり、ノックダウン時代のオースチンの血統を受け継ぐ4気筒OHVエンジンのパワーを3速のコラムシフトで引き出しイベント会場にやってきた“ブル310”さんの初代310型ブルーバード。昭和〜平成のクルマ好きなら誰もがその名を知っていたブルーバード、そのルーツに出会えた眼福。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
