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30年連れ添った日産S30型「フェアレディZ」は左ハンドルの最終型アメリカ仕様

日産S30型フェアレディZ:チンスポイラーを装着している

左ハンドルのS30Zを30年所有!

鮮やかなブラウンに輝く日産S30型「フェアレディZ」──30年ものあいだ大切に乗り続けているオーナーがいます。出会いは偶然で、左ハンドル仕様のこの個体も“状態のいい車両を探していたら、たまたま見つかった”とか。当初は“まったり”走るつもりだったそうですが、実際にハンドルを握るとクラシックカーとは思えない走りの良さに魅了され、気づけばサーキット仕様にまで進化していったそうです。オーナーに話を聞きました。

左ハンドル仕様は「こだわり」ではなく「状態のよさ」

モトザキさんの愛車は、1977年式・アメリカ仕様の280Z。いわゆるS30型の最終モデルにあたる左ハンドル仕様だ。これだけ聞くと強いこだわりを感じるが、実際は“たまたま条件が良かった”から選んだという。

「購入したのは1995年ごろです。S30を探していたのですが、国内にある個体はボディの状態が悪いものが多かったですね。予算の関係もあり、アメリカ仕様まで視野を広げてみたら、状態の良い車両が見つかったんですよ。乾燥した彼の地で乗られていたこともあり、ボディが傷みにくかったのも大きかったです」

左ハンドルだったのは結果論であり、アメリカ仕様であることも、最終型であることも、後から知ったのだと話す。

S30Zに憧れたのは、先輩たちの背中

1995年といえば、280psを発揮する新車の国産スポーツカーが潤沢だった時代。なぜあえてS30を選んだのか? と尋ねると、モトザキさんはこう答えた。

「単純にカッコよかったからです。もともとバイクに乗っていたんですが、憧れの先輩たちがS30に乗っていたんですよね。それがS30に興味を持ったきっかけなんです。もちろん、当時は足グルマを何台か所有していましたが、“心から欲しい”と思って買ったのはこのZが初めて。気がつけば30年、乗り換えることなく所有し続けています」

目指したのは“まったりクラシック”……だったはずが!?

「2輪を卒業したら、クルマでは“まったりクラシック”を楽しもうと思ってたんです」

そう語るモトザキさんだが、愛車の外観は明らかに“まったり”とはかけ離れている。ワイドなオーバーフェンダーに、フルバケットシート。そしてフロントはTOYO R888R、リアにブリヂストンRE-71RSという最新のハイグリップタイヤが顔を覗かせる。

「最初は本当にまったり走るつもりだったんです。でも、実際に運転してみたら“これは走る!”って驚いて。安心して踏めるし、素性の良さがハッキリわかりました。そこから少しずつチューニングしていった感じですね。もし乗ってダメだったら、今のような仕様にはなっていなかったと思います」

3L化したL28エンジン!走るための機能美が詰まった1台

エンジンはL28をベースに3L化し、ハイカムやビッグバルブを導入したメカチューン仕様にしている。

「推定出力は約250〜260psくらいですが、うまくいけば280psぐらいは出てるかもしれないですね」

とのことだが、狙いはパワーよりも耐久性だと話していた。

「R32型スカイラインGT-RやR33型スカイラインGT-Rがサーキットで主役だった当時、そうしたクルマに勝とうとは思ってませんが、“追いかけられる存在”になれるようなZを目指してます。壊れず、しっかり走れるように仕上げていきました」

クロスミッションや機械式LSDなどの駆動系も抜かりなし。オーバーフェンダーも

「太いタイヤを履くために必要だった」

と話すモトザキさんのS30Zは、すべてが“走るための機能”として装着されたものだ。

外装は「落ち着き」を求めて、こだわりのブラウンに

かつてはブルー系だったボディカラーは、現在はメタリックの入ったトヨタ純正ブラウンへと変更されている。なぜ純正ではなくトヨタ純正ブラウンなのだろうか? そしてブルーだったカラーをブラウンに……? その理由について聞いてみた。

「そろそろ落ち着こうと思って……」

との理由だそうで、S30純正のブラウンに近い色合いながらも、少しひねりを加えたカラーとなっている。

「このクルマは1度も手放そうと思ったことがありません。状況が許す限り、ずっとこのS30に乗り続けたいと思ってます」

愛車との30年は通過点。モトザキさんとS30Zの物語は、これからも“現役”で続いていく。

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