117クーペとの共有パーツが多いからそれほど維持に苦労はしていない
毎月第1日曜日の朝早く、奥多摩周遊道路手前の駐車場には、数多くのいすゞ車が集まります。「117クーペ」や「ベレット」、「ピアッツァ」などの代表的な車種のなかで“異彩”を放っていた1台。いすゞの中型セダン「フローリアン」です。元ホンダ「シビック」乗りのオーナーが語る、フローリアンに惹かれた理由とは?
いすゞ車オーナーやファンもざわつく注目の4ドアセダン
いすゞ車ばかりが集まるミーティング会場(駐車場)には、117クーペやベレットなど、数多くの有名なクルマが並んでいた。そんななかで会場に入ってくる段階から周囲の注目を集めていたのが、このブルーの4ドアセダンだ。いすゞ車ファンばかりの集まる場をざわつかせたこのクルマの正体は、いすゞの中型乗用車である「フローリアン」。
クルマから降りてきたオーナーの前田さんに、さっそく話を聞いてみた。
「元々はシビックに乗ってたんですが、旧車にも興味があって。会社の上司がイスズスポーツのことを知っていて、お店に行ってみたら、数ある車両の中で異彩というか、オーラを放っていたのがこのフローリアンだったんです。その雰囲気も含めて気に入ってしまって、今から1年ほど前に購入することにしました。基本的には、買ったままのフルノーマルの状態です」
シャシーを共有するためプロトタイプの車名は「117」
フローリアンは、いすゞ初の自社開発乗用車「ベレル」の販売終了に合わせ、ベレルとベレットの中間に位置づけられる乗用車として1967年に登場した。ちなみに東京モーターショーでプロトタイプが展示された際の車名は「いすゞ117」であり、のちに登場する117クーペとは共通のプラットフォームを持つ兄弟車ということになる。この「117」は開発コードを車名に使用したのだ。
カロッツェリア・ギアによるデザインの6ライトウインドウを持つ大型ボディは、後席もかなり広く、当時としては大柄な部類のクルマだった。デビュー当初は異形の角型2灯ヘッドライトを採用していたが、中期モデルで規格型の丸目4灯に変更。さらに後期モデルでは、アメリカ車のような規格型の角目四灯に変更されている。
前田さんが所有するのは、1975年式の「デラックス」で、写真のとおり中期型に該当する。
基本的に購入時のまま!何も変えるつもりはない
車両は、購入時から大きく手を加えておらず、オリジナルのシートにはチェック柄のシートカバーと、レースのヘッドレストカバーが装着されている。左右対称デザインの独特なダッシュパネルも非常にキレイな状態だ。
エンジンルームはまるで新車のように美しく、1.8L 直4SOHCエンジンは1度降ろしてエンジンルームを仕上げているとのこと。ボディも1度オールペイントが施されているという。
ちなみに前述のとおり、117クーペとシャシーや足まわりを共用しているため、マイナー車種ながらも消耗部品や整備に必要なパーツ入手にはそれほど困らないそうだ。
「とくにこのままで気に入っているので、何も変えるつもりはありません。いすゞ車が集まるここ奥多摩でも、もう1台後期型の角目4灯がいるだけですよね。イベントに行っても、なかなか車種が被らないというのも気に入ってます」
