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伝説の軽カー「ABCトリオ」の現在の相場は? 「カプチーノ」オーナーが「ビート」「AZ-1」の中古車購入ポイントを語ります

AZ-1

丸形ヘッドライトが特徴的なAZ-1

今や希少な軽自動車スポーツカーたち

平成の初期に登場した3台の軽自動車スポーツ、ABCトリオことマツダ「AZ-1」にホンダ「ビート」、そしてスズキ「カプチーノ」。いずれも個性的でデビューから30年が過ぎた現在も根強い人気を誇り、かくいう筆者も最近になって後期型のカプチーノを手に入れたばかりだ。いざ所有してみると熱烈なファンが多いのも納得で、一生の相棒とするべくリフレッシュに励んでいる。それと同時に気になり始めたのが、ライバルと目されたAZ-1とビート。というワケで日は浅いがABCトリオの1台を持つオーナーとしての目線で、それぞれのキャラクターと中古車の相場などの現状をレポートしてみたい。

【マツダAZ-1】販売台数が少なく中古価格も高騰中

まずはAZ-1およびOEMモデルのスズキ「キャラ」。ほかの2台と違いオープンならではの爽快感は味わえないが、唯一無二のガルウイングドアとFRPを多用したボディは、まさしく「世界最小のスーパーカー」と呼ぶに相応しい。

エンジンはスズキから供給された名機F6Aターボで、ミッドシップだけにトラクション性能もバツグン。ただし荷物を搭載するスペースはないに等しく、乗り比べた感じでは車内もイチバン狭く感じる。

購入する際に大きなハードルとなるのは、ABCトリオでダントツに少ない販売台数。ビートの約3万4000台とカプチーノの約2万6000台に対し、AZ-1はキャラと合わせても約5000台しか販売されていないのだ。希少性を反映するように中古車の相場も高騰しており、200~300万円と新車の約150万円を大幅に上まわる。

【ホンダ ビート】タマ数も豊富で手に入れやすい

続いてはビート。知ってのとおりミッドシップのオープンボディで、エンジンはABCで唯一の自然吸気であるE07Aだ。ライバルがターボなので動力性能では及ばないと思いきや、MTRECと呼ばれる3連スロットルの吸気システムを搭載。パワーはAZ-1とカプチーノと変わらない64psを発揮する。最大トルクこそ6.1kgmとターボの2台と比べれば見劣りするものの、レッドゾーンの8500rpmまで気持ちよく回るフィールは最高に心地いい。

上で書いたとおり販売台数がもっとも多いため、中古車のボリュームゾーンは50~130万円と安め。最近になってホンダが純正パーツの一部を再販しているのも後押しし、現時点でもっとも買いやすく維持しやすいのはビートかもしれない。

【スズキ カプチーノ】できるだけ年式の新しい個体を選びたい

最後はカプチーノ。レイアウトはオーソドックスなFRで、ルーフは3ピースの脱着式。エンジンは前期型がF6Aターボで後期型がK6Aターボとなる。軽自動車で初の4輪ダブルウィッシュボーンを採用した足まわり、ボンネットやルーフをアルミ製にすることで軽量化したボディ、4輪ディスクブレーキと細部に至るまでの贅沢な作りが魅力だ。車重はABCトリオで最軽量の690kg(後期型)と、AZ-1(720kg)とビート(760kg)を凌駕している。

フルチューンを目指すなら鋳鉄ブロックで頑丈なF6Aと言われるが、個人的には少しでも年式が新しいK6Aの後期型を勧めたい。なお中古車の相場は前期型or後期型よりも、現車のコンディションによって左右され、大部分は60~120万円の間に収まる模様。価格とタマ数から買いやすさはビートとカプチーノが同じ程度、AZ-1だけが飛び抜けて高額で選択肢も少ないという現状だ。

補修部品は社外品をうまく活用していきたい

純正パーツはビートが前述のとおり一部とはいえ再販、しかしカプチーノとAZ-1はちょっと厳しい状況だ。筆者のカプチーノもレストアの真っ最中だが、重要保安部品はともかく内外装はほぼ全滅。幸いなことに社外パーツはまだ生産されているので、オリジナルにこだわらなければキレイに仕上げることも、チューニングしてガンガン走らせることも可能だろう。

いずれにせよABCトリオを購入して維持するには、それなりの出費や手間を覚悟する必要がある。ただし今後こんなクルマが世に出る可能性は低いだろうし、どれを選んでも苦労した分の満足感と楽しさは得られるはず。中古車は減るいっぽうで価格の下落も考えにくいので、欲しいなら躊躇している余裕はないかもしれない!

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