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日産「セレナe-POWER」とBEV「サクラ」で雪道試乗! 最新制御の電動車は「雪に強いFF」でした

アクセルを緩めるだけで減速することが可能なe-Pedal Stepも雪道では運転をラクにしてくれる機能

雪国でのクルマ選びは「FFか4WDか」に「電動車か否か」も基準になる!?

雪道に強いクルマと聞くと4輪駆動を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、今回は雪道でFFの日産「サクラ」&「セレナ」に試乗し、電動車だからこその雪道での強さを実感しました。日産が毎年行っている女神湖試乗会(今年は温暖で氷上は走れず)で雪が残る周辺道路を走った結果、「雪に強いFF」という新たな価値観を得た試乗体験をレポートします。

FFのセレナe-POWERが北海道でも増加中

まず試乗したのはセレナです。現在セレナにはe-POWERとガソリンエンジンという2種類のパワートレインが用意されていますが、4WDがラインアップされているのはガソリンエンジンだけとなっています。一般的な市場での支持はe-POWERの方が高いのは当然ですが、4WDへの需要が厚い北海道ではe-POWERは約2割の販売割合となっているそうです。

しかし、先代モデルと比べるとセレナのe-POWERの販売割合は若干ながら伸びたとのこと。FFでもe-POWERなら問題がないという認知が、北海道市場で広まってきているということのようです。

モーターだからこそ雪道に強い

FF×e-POWERの実力は、試乗を始めてすぐに強く実感できました。今回の試乗シーンは路面に雪が残るところ、残っていないところが混ざり合ったシチュエーションでしたが、坂道での発進時に片輪だけ積雪路や凍結路にのせても、なんの問題もなくセレナは発進していきます。

たしかに荒くスロットルを踏めば多少スリップはしますが、雪国の人たちならば発進時にジワリとスロットル操作をするのは身体が覚えていることでしょう。モーター駆動のe-POWERによる緻密なトルク制御により、スムーズに路面に駆動力を伝達してくれます。内燃機関車に乗っている感覚からすると、想像以上にラクなアクセルワークで発進することが可能です。

また、アクセルを緩めるだけで減速することが可能なe-Pedal Stepも雪道では運転をラクにしてくれる機能でした。俗に「ワンペダル走行」と呼ばれるものですが、とくに雪道の下り坂では路面μ(ミュー)が低くクルマが停まりにくいため、姿勢変化やタイヤへ与える入力をなるべく一定にしつつ減速をしたいものです。

これまではエンジンブレーキと併用して、フットブレーキ操作を減速G変動が少ないように丁寧に行う必要がありました。しかし、e-Pedal Stepならばアクセルを緩めるだけでクルマがG変動の少ない減速を行ってくれます。雪道での安全なドライブを実現しつつ、疲労度を少なくしてくれそうです。

BEVのサクラは軽量さの恩恵が光る

続いてサクラにも試乗しました。サクラは完全なるバッテリー駆動のEVで、内燃機関は搭載していないのですが、雪道での好印象なポイントは基本的にセレナと同じです。前輪駆動ですが、内燃機関に比べてかなりラクに発進することが可能で、雪上での坂道発進も「雪道だから」といって気を遣うことがありません。セレナと同じくe-Pedal Stepも下り坂で余計な神経を使わずに、ドライバーが不安感を覚えることなく安全に下ることができます。

また、サクラは軽乗用車ということもあり、車重の軽さが雪上では光りました。低μ路であることを予想しながら走っていても、ブレーキングやコーナリングでの反応が良く想像以上に余裕をもってドライブすることができたのです。これはBEVでバッテリーを床下に搭載しているため、低重心になっているのも影響しているのでしょう。

* * *

FFと4WDを並べるとやっぱり雪道では4WDを選びたくなってしまうかもしれませんが、雪道では「電動車か否か」という点もクルマ選びの大きな基準になるのではと、今回の試乗で気づかされました。たしかに電動車は静粛性や環境面でのメリットも大きいのですが、雪道では、モーターだからこそ可能な緻密なトルク制御が活きてきます。いくら内燃機関車の電子制御スロットルが進化しても、このトルク制御には敵わない。そのように感じた雪上での試乗となりました。

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