GRスープラ A90ファイナルエディション プロトタイプがヴェールを脱いだ
インテックス大阪を会場に2025年2月7日(金)から9日(日)まで開催の大阪オートメッセ2025(OAM)。351社・630台もの多彩なジャンルのクルマが展示された会場では本邦初公開となるモデルもあり、中でも注目度が高いのが、TOYOTA GAZOO Racingブースに展示されていた「GRスープラ A90ファイナルエディション」のプロトタイプでした。
モータースポーツでの知見の集大成
じつはこの「GRスープラ A90ファイナルエディション」、2024年の11月にその存在は発表されていたのだが、実車が公開されるのは今回の大阪オートメッセ2025が世界初だったのである。このモデルはGRスープラが世界各国のモータースポーツに参戦したことで得た知見を惜しみなく投入した集大成的なものとなっており、市販車とは思えないほどハードなチューニングがなされている。
ベース車との差異は複数あるが、まずはきっちりとボディ剛性を高めてシャシー性能を上げ、エンジン出力を最高出力387ps/最大トルク500Nmから、435ps/570Nmへと大幅にアップ。
高まった出力に対応するブレーキはブレンボ製19インチブレーキと高μブレーキパッドを採用し、前後にフローティング構造のドリルドディスクを装着し、ステンレスメッシュのブレーキホースによって制動時のホース膨張による圧力伝達損失を抑え、強化したブレーキシステムの性能を最大限引き出している。
足まわりにはドイツのサスペンションメーカー、KWのV3 Clubsportをベースにトヨタが独自の味付けを施した車高調正式サスペンションを採用し、KWの車高調の特徴でもある伸び側と縮み側で個別に減衰力を変更できる機能も搭載した。
フロントロアアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用し、リアサブフレームをGRスープラ GT4と同じアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感を向上。ロードインフォメーションがより伝わりやすくなり、正確なハンドリングに貢献。
乗り心地については不利となるチューニングだが、スポーティな走りを優先するために、あえてリジッドマウントを採用したとのことだ。
そしてタイヤは標準仕様から10mm拡幅したミシュラン パイロットスポーツ カップ2を採用し、ホイールはフロント19インチ、リア20インチの鍛造アルミホイールを装着し、TGRのロゴが誇らしく光るものとなっている。
マットステルスブラックは専用カラー
外装は大きく変更されていないが、フロントのリップスポイラーやカナード、リアのスワンネックタイプのGTウイングはGRスープラ GT4の開発を担当するTOYOTA GAZOO Racing Europeが空力性能開発を担当した本格的なものが装着された。
一方のインテリアには、シートパッドにアルカンターラ素材を使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」を採用。シートパッドはユーザーに合わせて異なるサイズのものがオプションで用意されるため(標準では一番ホールドが緩やかなものが備わる)、体格に合わせて最適なものを選ぶことも可能。
マットステルスブラックのボディカラーはこのファイナルエディション専用のものとなっており、インテリアはドライバー側のみレッドのカラーのインテリアになるなど、特別感が演出されている点もファイナルの名にふさわしいものと言えるだろう。
唯一、実現できなかった要素とは?
このようにGRスープラに惜しみなく知見や技術を投入し、最強のロードゴーイングカーに仕上がったファイナルエディションだが、開発担当者が唯一採用することができなかった要素があるとのこと。それは、フロントノーズに70系スープラのホモロゲーションモデルとしてリリースされた「ターボA」に備わっていたダクトを備えたかったのだそう。
残念ながらフロントバンパーの一等地にはナンバープレートベースが備わってしまったため、ターボAダクトの装着は叶わなかったが、バンパー裏にはダクトガイドを備えて効率的に走行風が取り込めるようにはなっているとのことだ。
このようにこだわりが詰まったGRスープラ A90ファイナルエディション。限定300台を日本と欧州で分け合うことが決まっており、どちらに何台が割り当てられるかはまだ決まっていないそうだが、争奪戦となるのは必至だろう。
