豪華絢爛なボディペイントで魅せる1台に
VIPカーで有名な「トータルカープロデュースヴォヤージュ」が、国産ではなくアメ車をチカーノスタイルでカスタムしました。ベースはクライスラー「300C SRT8」。見事なボディペイントもさることながら、シザーズドア化。目立度200%の1台を紹介します。
メキシコ系ローライダーの魂を受け継ぐ300C SRT8
豪華絢爛なボディペイントをメインに手の込んだ手法をあえて取り入れてクライスラー「300C SRT8」を製作、大阪オートメッセ2025(OAM)に出展したのは、兵庫県明石市にファクトリーを構える「トータルカープロデュースヴォヤージュ」だ。このショップは、最先端を突き進むVIPカーを製作することで有名だ。
今回ヴォヤージュは、メキシコ系アメリカ人のローライダー文化を参考に300C SRT8にフルリメイクを施した。ひと口にローライダーといっても技法はさまざまだ。ヴォヤージュでは、高価なパーツを装着させるよりも豪華なペイントによってアピール力を高めるチカーノ(チョロ)スタイルに注目し、クライスラー 300C SRT8をベースに凝ったカスタムペイントで表現した。
通称チョロスタイルともいわれるローライダーは、華やかなカスタムペイントと地を這うローダウンフォルムのみで表現するのが最大の特徴。その起源はアメリカ西海岸のメキシコ系移民「チカーノ」の独特のモーターカルチャーに由来する。
ローライダーといえば派手なペイントを施したホッドロッドやソウルペイントが有名だが、チョロスタイルはさらに発展させた技法として、エングレービング、エアブラシ、ミューラル、彫金処理などを施し、ド派手な外観を追求することが醍醐味とされているわけだ。
300C SRT8に施された至高のペイントワーク
この300C SRT8も、そうした観点からあらためて見ていくと、さまざまなカスタムペイントテクニックを駆使して仕上げられた1台であることがよくわかる。芸術ともいえるカスタムペイントは、基本的にキャンディやフレーク等の塗料を用いて、3Dパターンやリボン、ウォータースポット、ラップペイントなどを駆使して左右対称でデザイン処理を施す。
視角に入る箇所すべてにフェード、リーフを交えるだけでなく、一部にパールや大小さまざまなフレークを織り交ぜることで、よりボディ全体が輝くようにも工夫している。また、フロントではヘッドライトもリメイクし、ガラス反射LEDテープにアクリル板を使った透かしレース模様の処理を施す。同じレース生地でボディの一部にも透かしレース模様処理を施すコーディネートにも注目してもらいたい。
アレンジラインペイントが織りなす圧巻の女性画
ゴールドリーフとシルバーリーフをボディ全体に引くアレンジラインペイントは、ボンネット、ドア、ルーフ、トランクへと続き、最終的にリアに描かれた女性画によって完結する。左右に兵士とライオンを従える女性画は、アフリカにかつて存在していた女王を描いた姿ということだ。
エアブラシによる表現だけに頼るのではなく、細かな装飾ペイント、リーフの処理など、あらゆるカスタムペイント手法によってリアルに立体的に表現された画はまさに芸術。これだけでもアート作品として注目すべきカスタムペイントといえるだろう。
シザーズドアとオーバーフェンダーで唯一無二のフォルムに
足元を飾るサヴィーニのホイールにも注目したい。装着したモデルはリバレルして22インチ11J/13.5Jのサイズに変更しているが、それ以上にディスクのエングレービングがカッコいい。これはヴォヤージュで加工したモデルではなく、ディスクは純正のまま売り出されている。最近とくに似たデザインホイールが多い中で、より個性を主張したいというオーナーにとっては、エングレービング処理によるカスタム度の高いサヴィーニのホイールはおすすめだ。
最後になるが、ボディの前後オーバーフェンダーとシザーズドアについては、チョロスタイルとして少し違ったアプローチになると代表が説明してくれた。これについては、クライスラー 300Cではあまり見かけないフォルムを作り出したいがための挑戦で、とくに4枚ドアのシザースドアは簡単に取り付けられることから、ヴォヤージュのカスタムノウハウの豊富さを証明する部分としてチャレンジしたとのことであった。
美しいグラフィックによって特別な存在感を放つ300C SRT8。その表現法は自己主張を兼ねるオールペンとして大成功。あらゆるペイント技術の集合体はアート感に満ちあふれていた。
