ヨーロッパ製クラシックスポーツカーが集結したツーリングイベント
英国の小さなかわいい旧車なのに、ドライビングシートはフルバケットを装着し、さらにロールケージも装備されたウーズレー「ホーネット Mk3」がツーリングイベントに参加していました。ボンネットのボディサイドには「16」のゼッケンナンバー……、これはかなりのクルマ趣味人がオーナーだと睨んで声をかけたら、歴代愛車との面白いヒストリーを聞くことができました。
愛車遍歴はクラシックミニからポルシェまで
房総半島の丘陵地帯をコマ図を頼りに約190km走るツーリングと、地元の海の幸を酒の肴にした楽しい宴会を主なコンテンツとした「2nd TOKYO MORNING TOURING」が、2024年11月9日~10日に開催された。この1979年式までに生産されたヨーロッパ製クラシックスポーツカーを対象としたイベントに参加したウーズレー「ホーネット Mk3」のオーナーに話を聞いた。
「もともとクラシックミニのことが好きで、19歳のときに初めて買いました。自身初のクラシックミニは新車並行車の1000Eで、左ハンドル仕様の12インチでしたね」
そのように話してくれた“Tana−san”さん(56歳)によると、2台目のクルマもクラシックミニで、今度はMG「1000」の10インチをチョイス。その後、足グルマとして360ccのホンダ「ステップバン」などの国産車を買いつつ、シトロエン「AX GT」、フォルクスワーゲン「ヴェント」などを迎え入れ、30代の頃にオープンモデルのMG「B」を購入したのだという。そこからさらに趣味性が強いクルマを買うようになり、ミニ「クラブマンエステート」、ポルシェ「911SCタルガ」、MG「1100」などを乗り継いだらしい。
筆者が“Tana−san”さんと出会ったのは、東京ベイサイド・クラシック・カップ・シリーズ(TBCC)という名のレース形式の走行会で、レーシーな出で立ちの1969年式のウーズレー「ホーネット Mk3」を駆ってギャラリーを楽しませていた。ヒストリックカーレースのフェスティバル・オブ・サイドウェイ・トロフィーにも古くから参戦してきたそうだ。
MG「1100」からはじまった週末のカーライフ
歴代の愛車を伺い、旧車でのレース活動につながるクルマはBだったのかな? と思い尋ねてみると、不正解だった。1100を買ったことでサーキットイベントを楽しむようになったのだという。
「週末にレースを楽しむカーライフは、1100を買ったときにスタートしました。まだ筑波サーキットで開催されていた頃のサイドウェイ・トロフィーに参戦していたんですよ」
ヒストリックカーが現役だった頃の雰囲気を再現し、当時に近い姿で走らせることを目的としているサイドウェイ・トロフィーは2012年から袖ヶ浦フォレストレースウェイで開催されるようになったので、“Tana−san”さんのレース歴は12~13年ということになる。
「1100を手放した後、本当は1275ccエンジンのミニ クーパーS Mk3が欲しかったものの、いい縁がなくて断念しました。そこで、たまたま見つけることができたホーネット Mk3を買いました。レースをやめるとまたサーキットを走りたくなり、愛車を売ってしまうと、次のクルマが欲しくなる……。そして、時間とお金をかけてクルマがやっと仕上がった途端、満足して愛車を売りたくなってしまうから本当に厄介なんですよね。私のカーライフは、その繰り返しでした」
レース用の1380ccエンジンを搭載した愛車でサーキットに舞い戻る
再びレーシーなクルマで思い切りサーキットを走りたくなって愛車を探し、2014~2015年頃に入手することができたホーネット Mk3はレース用の1380ccエンジンとストレートカットトランスミッションを装備しており、チューニングヘッドは“Tana−san”さんがオーナーになってから交換した。
「ホーネット Mk3はレースに参戦するために購入しました。手元に来たときにレース活動を再開しました。クイックなハンドリングや渋い雰囲気、エンジンサウンドが魅力です。こだわりのポイントは、GAZ製減衰調整式ショックアブソーバーを装着した足まわりと、チューニングヘッドです」
ブレーキのセッティングが難しくて試行錯誤したこと、エンジン、足まわり、シート、その他をイジったり直したりしたこともいい思い出になっていると話してくれた“Tana−san”さんは、取材の最後にこのように話してくれた。
「今後、ホーネット Mk3をノーマルに戻して乗りたい気分なんです」
果たしてどうなっていくのか。サーキットでお会いするたびに愛車の様子を見守ることにしよう。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
