スタイル重視で乗るクルマだから「らしさ」のポイントは押さえている
2023年に公開したプロトタイプが大反響となり、2024年に正式に販売開始したミツオカ「M55」。外観デザインは1970年代の国産スポーツカーを彷彿とさせるノスタルジックさが特徴です。ベース車は現行型のホンダシビックのため、走行性能そして安全性能も文句なし。限定100台で販売された6速MT車のM55 Zero Editionに試乗しました。
シビックをベースとした高性能スポーツカー
トヨタ、日産、マツダといった国産車をベースにクラシックテイストなドレスアップカーを販売している光岡自動車。1963年に創業した光岡自動車が、2023年の創業55周年を記念したモデルが「M55(エムダブルファイブ)」だ。今回、2024年11月に限定100台、車両本体価格808万5000円で発売された、M55 Zero Editionに試乗することができたので、そのインプションを紹介する。
M55のベースに選ばれたのは、2021年9月から販売開始した11代目のホンダシビック。2024年9月のマイナーチェンジでシビックの6速MT車はRSグレードのみとなったが、Zero Editionはマイナーチェンジ前のLXグレード、1.5Lターボ+6速MT車を光岡自動車が購入。新規登録済未使用車をベースに制作し、納車時には中古新規登録となるため、初回車検は2年となる。
なお、2025年3月に発表された2026年投入モデルのM55 1st Editionはハイブリッド車、1.5LターボエンジンのCVT車をベースに250台の生産販売台数が予定されているが、MT車のラインアップはされていない。
試乗したM55 Zero Editionは、光岡自動車と同年代の人々が「早く自分も大人になってあんなクルマに乗りたい」という憧れを表現したGTカーをイメージした外観を採用している。したがって筆者には日産のケンメリ・スカイラインのようにも感じるが、アメリカの往年のマッスルカー風にしたネオクラシックな現行ダッジ・チャレンジャーに見える人もいるだろう。そういった人それぞれの記憶の中にある1970年代のクルマをイメージしたエクステリアデザインなのだ。
そしてインテリアは、往年のGTカーのようなスパルタンな通気性とデザイン性を両立したハトメシート(丸く金属のパーツが鳩の目のように見える)を採用。そして、オプションでインパネドアトリムにドライカーボンのパネルを設定している。
M55 Zero Editionのボディカラーは、レジェンダリーグレーメタリックのみで、ややくすんだシルバーが、ネオクラシックを意識したM55 Zero Editionの外観デザインのノスタルジックさを強調している。
パワーユニットはシビックだから6速MTでも扱いやすい
見た目は、クラシカルなムード漂うM55 Zero Editionだが、中身は最新のシビック。どんな運転スキルの人が運転しても、人馬一体感が味わえるドライバビリティが特徴だ。最高出力182ps、最大トルク240Nmを発生する1.5L直列4気筒VTEC ターボエンジンは、最大トルクを1700〜4500rpmというワイドバンドで発生させ、鋭いアクセルレスポンスで軽快な走りを実現。
さらに、6速MTにはエンジンのトルク変動を効果的に吸収するデュアルマスフライホイールに加えて、進化したシンクロナイザー機構を採用し、滑らかで質感の高いシフトフィールを提供する。手首の動きだけで、シフトチェンジできる抜群の操作フィールは非常に気持ちが良い。またクラッチペダルも非常に軽く、頻繁なシフト操作が必要となる渋滞時の走行でも疲労感は少ない。
安全装備は先進の安全運転システム「ホンダセンシング」を標準装備。広い範囲と高解像度で対象物を映し出すフロントワイドビューカメラや、ガラスや外壁など非金属も高い精度で検知できる前後ソナーセンサーを採用している。
ヤングタイマーの雰囲気と日常性能を両立
1970年代の国産スポーツカーを手に入れられても気軽には運転しずらいが、このM55 Zero Editionはクラシカルな外観ながら、現代のスポーツカーらしく非常に扱いやすく、しかもエアコンが標準装備だから快適にドライブすることができる。このM55 Zero Editionは1台でも用途に選ばずに使用することができる。
M55 Zero Editionに乗って気になったことは、専用のパーツを採用した外観のチリが部分的に合っていないこと以上に、エンジンのスターターボタンを押した時に、メーターパネルの起動時にホンダのHマークが出現すること。
800万円もするモデルなのだから、このアニメーションの部分をMITSUOKAに変更できないだろうか。「起動時だけだから」と思うかもしれないが、せっかくここまで仕上げているに非常にもったいない。オーナーがクルマに乗り込み、もっとも気持ちが盛り上がっているエンジンのスタート時にHマークが出現するのはその熱量に水を指してしまうと感じた。
