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海外赴任先での出会ったランチア・ザガートと共に帰国!夫婦で育んだ国内ラリー人生

1972年式のランチア フルビア スポルト ザガートでミルキーウェイ・ブルーアイランドラリーを楽しむ塚本桂さん、恵里さん夫妻

海外で購入した「フルヴィア」で日本の道を走る

海外赴任をきっかけにヒストリックカーの世界へ一気に足を踏み入れた塚本桂さんと恵里さん。夫婦が出会ったのは、希少なザガートボディをまとう1972年式ランチア「フルヴィア スポルト ザガート 1.3 S2(以下:フルヴィア スポルト ザガート)」でした。赴任先の欧州購入して数々の思い出とともに日本に持ち帰った愛車で、長年「ミルキーウェイブルーアイランドラリー(以下:ミルキーウェイ)」に挑み、夫婦で何度も表彰台に立つことになります。

ベルギー赴任を機にヒストリックカーの世界へ

前後バンパーを外し、補助灯ライトステーを取り付けたシルバーのボディに、センターラインのアクセントが相まって、よりラリーカーらしさを演出しているフルヴィア スポルト ザガート。三重県から参加の塚本桂さん、恵里さん夫妻の愛車だ。

2008年の初参加以来、夫婦で楽しんできたミルキーウェイ。2013年の優勝を含め、上位入賞も多く、ほぼ毎回表彰台に立つという実力もあって、エントラントたちにはおなじみの1台だ。

そんな塚本夫妻に寄り添うフルヴィア スポルト ザガートとの出会いは、今から20年前のことだ。

ランチアの入口はデルタ インテグラーレ エボルツィオーネIIだったという桂さん。元々ヒストリックカーに興味があり、パーツの入手や現実的な維持が可能な車両として、フルヴィア スポルト ザガートが目に留まるまでに時間はかからなかった。さらに、桂さんの思いを後押しするかのような出来事が起きる。

「2004年から2年間の予定でベルギーへの赴任が決まったんです。これは、いよいよヒストリックカーの世界へ足を踏み入れる時が来たかと思いました。ずっと気になっていたフルヴィアを現地で購入して日本に持ち帰るという壮大な計画を立てて、現地に赴任しました」

欧州でフルヴィア生活を満喫

ベルギーに赴任し、早速インターネットや雑誌でフルヴィアを探し始めた桂さん。どうせならと希少なザガートボディに絞って検索すると、オランダで程度の良さそうな個体を見つけた。すぐに車両を確認し、購入に至った。

「オランダでの登録を抹消した、通称『ピンクペーパー』と呼ばれる書類があれば、ベルギーの車検場で登録できるのですが、税制上の優遇や定期車検が免除される『Oナンバー』にすることにしました」

OナンバーとはOld Timer登録という、日本にはないヒストリックカー用の制度だ。日常的に使用しないのであれば、この登録制度を利用しない手はないと考えた桂さんだったが、Old Timer登録には、この個体が該当年にランチア社から出荷されたという証明が必要だった。

そこで、書類作成と発行をベルギーのランチアディーラーに依頼。約2カ月弱で無事にOナンバーを取得した。

それからは、ベルギー国内のイベントだけでなく、オランダのランチアクラブ主催の「フルヴィア40周年記念イベント」や、フルヴィアオーナー有志による国際ミーティングなどにも参加し、欧州でのフルヴィア生活を満喫したそうだ。

愛車と2人で楽しむラリーライフ

ベルギーへの赴任が終わり、アントワープ港から無事に神奈川県へと持ち帰ったフルヴィア スポルト ザガートに災難が降りかかる。サイドブレーキが外れたことが原因で、陸送中の積載車上で車両の前後が衝突してしまったのだ。

「1年かかった修理が終わり登録して、2007年から自宅近郊のイベントに出場するようになりました。そこで普通に走れる状態を確認できたので、夫婦で楽しく参加できるイベントを探したところ、ミルキーウェイを知ってエントリーしました。その楽しさにすっかりハマってしまったんです」

他のリピーター同様、塚本さん夫妻も1年目からすっかり「ミル中」とファンが呼ぶミルキーウェイ中毒となり、以降毎年参加し続けた。

「四国ならではの沈下橋を通るコースや競技ももちろんですが、パーティーや表彰式ではスタッフ全員が参加して私たちを楽しませてくれるのが、このミルキーウェイの魅力です。みんながハマる理由が分かりましたね」

初参戦では41位だった夫妻。四国へ渡るフェリーで競技ルールを勉強したという恵里さんも、計算間違いを悔やんだという。しかし、翌年以降は回を重ねるごとに上位入賞を3度、優勝も果たすまでの強豪ペアとなった。

そして、2025年ミルキーウェイでは、一歩及ばず総合4位という成績を残した。毎年参加し続け、惜しまれながら今回で終了となったミルキーウェイを見届けることになったのだ。

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