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いすゞ「ジェミニZZ/R」でレジェンドドライバーがまったりデイラリーを楽しむ

いすゞ ジェミニZZ/Rとオーナーの伊藤知明さん(左)と小川博敏さん(右)組

往年のラリーコンビ伊藤/小川組による「クルマで魅せる郷土讃歌」

茨城県中東部を舞台に行われた「関東デイラリーシリーズ第2戦・光圀ラリー」では、いすゞの初代ジェミニZZ/Rが参戦しました。1980年代のラリーシーンを彩った伝説的なFR車を、かつてのラリー仲間同士で操り、郷土愛あふれるクルマで走りました。

今でも現役!?「TAG後期高齢者組」とジェミニZZ/R

参加者リストにあった「まだ稼働中PF60バルブ」という車名で参戦する伊藤知明さんと小川博敏さん組は、自らのチームを「TAG後期高齢者組」と称しており、どこかほのぼのとした雰囲気が漂っていました。

「PF60」といえば、いすゞがまだ乗用車を製造していた時代、往年の日本ラリー界にその名を轟かせた1980年代のジェミニZZ/Rの車両型式番号です。昭和の時代は、「ハチロク」といえば「AE86」のように、人気車は型式で呼ばれ、認識されていました。「PF60」のジェミニZZ/Rも「ダブルジーアール」という呼び方で世に知れ渡りました。

振り返れば、1980年の全日本ラリーチャンピオンである金子繁夫選手により、日本のラリー界に新星のごとく現れ、軽量コンパクトなFR車は、DOHCエンジンの吹き上がりとともに機敏な挙動に優れた性能を見せつけた、そんな名車なのです。

「当時、私たちがラリーに参戦していた1980年代、競技車はランサーやTE71カローラ、ハチロクなどへと乗り継がれていった時代で、このジェミニももちろんいました。でも、その頃からこのクルマを所有していたわけではありません。たまたま4、5年前に、前オーナーがいじっていたジェミニを手放され、それを譲り受けた時に、古い旧車のクラスもあるデイラリーに出てみようかな、となったのです。フロントマスクも先代オーナーが作ったもので、ノーマルとは少し違う感じです。デイラリーはどんなクルマでも気軽に参加できるのがいいですね。クルマは走らせるのが一番。クルマも人間も歳をとるもので、多少なりとも使わないと、錆びてしまうから……」

と、伊藤さんはにこやかに語りました。

コドライバーを務める小川さんが

「ラリーコンピューターは昔使っていたものを取り付けてます」

と語るように、旧友コンビの装備もまた気心の知れたもの。ふたりは1980年代の若い頃から組んでいたクルーで、平成になっても初代のGCインプレッサで厳しい峠走行もこなしてきた、ラリー歴40年近くのベテランでした。

地元のカフェなどのロゴをジェミニのボディに貼って宣伝

経験豊富なクルーだけにラリーを楽しむ工夫は事欠きません。ジェミニの白いボディには「結城つむぎセンター」と「蔵カフェ」のロゴパネルが貼られているのですが、さながら「紺屋の白袴」を彷彿とさせるかのように、でしゃばることなく鎮座しています。

走る広告塔として注目を集めてきたモータースポーツの競技車ですが、ラリーは地元に密着し、地域活性化に貢献していると言えるモータースポーツです。そこで、「こちらのセンターとかカフェというのは?」と尋ねると、奥さんが茨城の観光スポット「結城つむぎセンター」に関わっているとのことでした。

今回のシリーズ第2戦・光圀ラリーは茨城県中東部が主戦場でしたが、結城市は茨城県の中西部に位置し、日本を代表する着物の生地である高級紬織物「結城紬」の産地として有名です。

「どちらも国道50号沿いにありますので、ぜひ立ち寄ってみてください。おいしい時間を、古き良き空間の蔵カフェで味わえますよ」

と、さりげないスポンサー活動も楽しんでいました。

運転免許さえあればノーマルでも参加できるデイラリー

伊藤さんが参戦するレジェンドクラスは、ある年度以前の生産車両のみ参加が許されますが、関東シリーズのデイラリーにはさまざまなクラスがあり、普段使いのクルマさえあれば、ラリーコンピューターなどなくても参加できるクラスもあります。老若男女、ラリービギナーにとっても手軽に参加でき、モータースポーツ・ラリーの変わらない根源的な楽しさ、ドライバーとコドライバーとのコミュニケーションを通してクルマを操り、タイムを競い合うスポーツの醍醐味を味わえるのです。

ラリー競技には、最高峰の世界選手権であるWRCのように、スペシャルステージでスピードを競う熾烈な競技形態のラリーもあります。こちらの参戦には、クラッシュ時でも安全性を保持できる規定を満たした競技車両やヘルメット、レーシングスーツなどや、JAFが発行する競技ライセンスが必要です。しかし、デイラリーは運転免許証さえあれば参加できて、参加料も数万円程度。参加後にJAFの競技ライセンスを申請し取得することもできます。

身近にモータースポーツを楽しめるデイラリー。もしラリーに興味を持ったなら、まずは愛車を使って始めてみるという手もあります。そこから先はどこに向かうのか、可能性は無限大です(JAF競技ライセンスを取得して本格的にモータースポーツを始められる)。2025年デイラリーシリーズは10月までまだ数戦あり、参加可能です。気になる方はオフィシャルサイトをチェックしてみてください。

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