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生産台数わずか50台と希少なシアタ「アミカ49」でヒストリックカーラリーに夫婦で挑む

第34回コッパディ小海にエントリーした、北島泰明さん、野村比呂美さんご夫妻と愛車の1949年製シアタ アミカ

クラシックラリー参戦28回目のベテラン夫婦と20年

横浜市から参加した北島泰明さん・野村比呂美さんご夫妻の愛車は、1949年製のシアタ「アミカ49」。わずか50台しか生産されなかった大変希少なモデルで、20年以上所有して走り続けてきた相棒です。トラブルを乗り越えながらも、夫婦でラリー参戦を楽しんでいます。

友人の紹介で運転させてもらった1949年製シアタ「アミカ」が愛車に

2025年で34回目の開催となる「コッパディ小海」。ヒストリックカーラリーとして、日本でもっとも長く続く老舗イベントの代表格と言っても過言ではないだろう。横浜市から参加した北島泰明さんと比呂美さんは、第7回大会から毎年出場している古参エントラントでありながら、この手のイベントでは比較的若い世代だ。

そんな彼らの愛車は1949年製のシアタ「アミカ」。シアタ? アミカ?? かなりのクルマ好きでも、その社名や車名に戸惑うのではないかと思われるほど、レアなクルマだ。

主にフィアットをベースにモディファイを行う会社として1926年に創設されたシアタ。第二次世界大戦後は、シアタブランドでスポーツカーを生産し、その最初のクルマがこのアミカである。

ふたりが乗るアミカは「アミカ49」と呼ばれる、1948年から1949年の1年間にわずか50台のみが生産された希少なモデル。ボーモント伯爵が手がけた2シーターオープンのボディデザインは、ベルトーネによって製造された。フィアット「トッポリーノ」のエンジンをベースに、シアタ製のシリンダーヘッドや排気マニホールドにより635ccで22psを発揮。軽量ボディと相まって、最高速度は100km/hを達成する。

「乗り始めて20年が経ちます。当時乗っていたのがフィアット500B ザガート・パノラミカだったのですが、友人の紹介で『バルケッタミーティング』というイベントにこのアミカで参加してほしいと言われ、初めてステアリングを握らせてもらいました。すぐに虜になりましたね」

パノラミカと同じフィアット500トッポリーノがベースだが、まったく違う楽しさを持つアミカの魅力に惹かれ、数年後に譲ってもらうことになったそうだ。

「自分がオーナーになったときはフロアシフトでしたが、コラムシフトがオリジナルで、クルマにはリンケージが残っていたんです。以前からお世話になっているメカニックさんにお願いしてコラムに戻してもらいましたが、案外使いやすく、このクルマに似合っているので気に入っています」

それからは、パノラミカと交互にイベントを楽しむようになったという。

アミカを取りに行くまでの道中でトラブル発生!

「クルマの調子も良いですし、天気も最高ですね。数年前には季節外れの大雪があり、ルートが積雪で直前に変更になったことがありました。本当にここを走れるの? と不安に思いながらも、細いタイヤが功を奏したのかトラブルなく、なんとかゴールにたどり着いたことも、今となっては楽しい思い出です」と泰明さん。

「ここに来るまでが大変だったから、もうトラブルは嫌よね」と比呂美さんは語る。

意味深なコメントに、その意味を尋ねてみた。

アミカは普段、メンテナンスを任せている長野県小諸市の「ストラダーレ」に預けているのだが、前日は普段乗りのアルファ ロメオSZで自宅から1時間弱走ったところでエンジンがストップし、JAFのお世話になった。そして、急遽レンタカーを手配して小諸へ向かい、アミカに乗り換えての参加だったそうだ。

エントリー車両のトラブルで3回のリタイアを経験しているというが、今回のようなトラブルは初めてとのこと。これまで28回も参加していれば、そんなこともあるのだろう。

「天気も良く、桜も綺麗だったので、オープンで走るには絶好のシチュエーションでした」と比呂美さん。

そしてハンドルを握る泰明さんは

「コースは例年に比べて距離も長く、上り坂も厳しかったので、小排気量のこのクルマには少しつらい内容でした。でも、20年付き合っているおかげで限界もわかっています。ゆっくり我慢の走りで乗り切りましたよ。今や数少ない山岳ラリーとして、これからも開催される限り楽しみます」

そして、PC競技でも見事クラス1位を獲得するなど、ご夫婦にとっても結果オーライな34回目のコッパディ小海であった。

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