ファミリーカーを経て再燃した筋金入りのクラシックカー愛
2026年5月に開催された「オートメッセin愛知2026」の会場で、ひときわ存在感を放っていたのが、塗るプロテクションフィルムを提案するSPPFブースに展示されていた1989年式の日産「グロリア」です。V6エンジンをマニュアルで操ることにこだわり、フェイススワップまで敢行したオーナーの強烈な旧車愛と、プロの技術が光る極上カスタムの詳細をお届けします。
今どきのクルマには乗らない! オーナーの強烈な車歴
オートメッセin愛知2026のSPPFブースで注目を集めていたこの日産 グロリアは、オーナーであるヤギさんとほぼ同い年の愛車だ。ヤギさんは以前からステーションワゴンに興味があり、トヨタ「マークIIバン」(GX70型)も一時期所有していたという。
現在40代前半だという“ヤギ”さんだが、その旧車愛と車歴がとんでもなく強烈である。じつはこれまでのカーライフのなかで、今っぽい最新の車種にはほとんど乗ったことがないそうだ。
そもそも最初に購入したのが、1965年式のフォルクスワーゲン「タイプ1ビートル」だった。初めて手に入れた愛車としてはなかなかに渋くてツウな選択だ。その後に乗ったのがマークIIバンで、そこから数世代前の日産「スカイライン」(V36型)へ乗り換え。さらにスズキ「カプチーノ」やスバル「ヴィヴィオ」、スズキ「アルトワークス」と、年齢からするとかなり旧車寄りなクルマたちをずっと乗り継いできた。
とはいえオーナーにも家族ができるわけで、いったんはファミリーカーとしてトヨタ「アルファード」を挟んだ。これを7年くらい乗り続けるのだが、そのうち「どうしてもクラシックカーに乗りたい」という情熱が再燃。そんなときにY30型(6代目グロリア)に強い大阪府の専門店、ガレージマーズと出会い、とんでもなくコアなオーダーを取り付けたのだ。
角張った優美なデザインとFR(後輪駆動)レイアウトを持つY30型は、今なお根強いファンを持つ名車である。
V6マニュアルへの執念と「前期丸目」顔へのスワップ
いろんな形状のフェイスがあるY30型だが、オーナーがこだわったのは「前期型の丸目ヘッドライト」だった。内装は最上級グレードであるSGLの青いインテリアで、トランスミッションはマニュアル。それをベースに好みの装備をどんどんとプラスしていったそうだ。
以前乗っていたマークIIバンは直列6気筒エンジン(1G型)だっただけに、今回は
「V6エンジンをマニュアルで乗りたい」
と、2000ccのV型6気筒エンジン(VG20型)を搭載する車両を探し出した。
じつはベース車両は後期の角目ヘッドライトだったため、丸目のヘッドライトやバンパー、コーナーマーカーにフロントフェンダー、ボンネットなどもごっそりと変更している。ボンネットは前期と後期でモールの形状が違うため、丸目を装着するためにはどうしても交換が必要だった。非常に綺麗なコーナーマーカーは、デッドストック品をガレージマーズから譲ってもらったという。
剥がせる塗装保護フィルムとBBSホイールの共演
足元を飾るホイールは、日産「シーマ」(Y31型)の純正オプションだったBBS製「RS」を選択。リアはスペーサーで20mm外側へ出し、純正リアメッキモールはパテ埋めで綺麗なアーチとなるようスムージング加工を施した。
ボディはマツダ純正のポリメタルグレーで全塗装(オールペイント)。そして飛び石対策として、ボンネットまわりにはSPPF(スプレーペイントプロテクションフィルム)を、三重県の技術認定店であるREVIVEにて施工している。このSPPFはスプレーガンで塗るタイプの「剥がせる塗料」であり、複雑な形状のボディでも塗料が入り込んでしっかり密着するため、防御力が非常に高いのが特徴だ。
オルタネーター(発電機)のトラブルから交差点のど真ん中で止まってしまったこともあったそうだが、所有して4年半で大きなトラブルはそれくらいだという。
アルファードから趣味車への全振りという思い切った乗り換えだったが、息子さんは
「シートが柔らかくなった気がする」
とご満悦の様子。オーナーいわく
「カプチーノでいけたんで、もう何でもいけるかなって(笑)」
整備性においては、例えばなにかひとつ部品を替えるだけでも障害があったり、パーツが手に入らなかったりとメンテナンス面での苦労は尽きない。それでも、1989年生まれのグロリアは今も現役でバリバリ走る。家族も巻き込んでのクラシックカーライフは、不便さがあるからこその楽しさもあるし、何より素直にカッコいいのである。
