日本発売前に北米版「ミアータ」のビデオを観てベタ惚れ
1989年に発売された初代NA型ユーノス「ロードスター」は世界的なヒット作となり、現行型の4代目ND型に至るまで、多くのファンに愛されています。初代NA型を日本発売直後に購入し、35年以上にわたって乗り続けているという前田好二さんの愛車は、総走行距離がまもなく50万kmを迎えるとは思えないほど内外装ともクリーンなコンディション。綺麗に維持し続けるカーライフについて聞いてみました。
愛車の元開発エンジニア、横倉恒利さんとの出会いは「備前焼」
元マツダのエンジン開発エンジニアであり、初代NA型ユーノス「ロードスター」の開発メンバーでもあった“横やん”こと横倉恒利さんが、故郷の四国で主催している、「ロードスター美味しいものツーリング」。
2025年2月上旬の回は、前夜よりの突然の雪により予定変更。時間を遅らせて、コース途中で立ち寄り予定だった愛媛県新居浜市の荷内海岸にあるカフェ「みんなのコーヒー」での待ち合わせとなった。
「朝には止むという予報でしたが、まだ雪が降っていまして、結構クルマも汚れてしまいました……」
というのは、このツーリングにほぼ皆勤賞で参加しているという前田好二さんと澄香さんご夫妻。初代NA型ロードスターで大阪府からやって来た。横倉さんとの出会いから、このツーリングを楽しむようになったという前田さんだが、その出会いはロードスターとは全く違ったことから。なんと備前焼の手入れ方法だった。
「ある時、横倉さんが岡山の備前焼カップをSNSに投稿したんですよ。それを見た私が、日本酒を含ませた歯ブラシで磨くといいですよと、横倉さんにメッセージを送ったのがきっかけだったんです」
横倉さんからは、その通りにすると見事にくすみが取れたという返信があったそうだが、最初は気づかなかったチョイワル風の横倉さんのプロフィールカットにおじけづいて、しばらくはコメントを返せなかったことも今となっては笑い話だという。
「2019年6月のマツダオープンデイの時に、講演会“ロードスター リバーサイドホテル物語”があり、その時に横倉さんも登壇されたんですよ。それをかぶりつきで聞いたのですが、その時に、誠実で楽しいお人柄が分かりまして、急速に接近しました(笑)」
それからは、四国までの片道約300kmをものともせずに、月に一度、新メニューが更新される愛媛県のイタリアンレストアン「マルブン」を訪れるなど、親しい付き合いをしているのだった。
新婚旅行の思い出はマツダ 横浜研究所の社員食堂
そんな前田さんが初代NAロードスターに夢中になったきっかけは、市販されていた1本のビデオソフトだった。
1989年9月にNAが日本発売される前、先に5月に発売されていた北米仕様の「ミアータ」を紹介するVHS動画を観た前田さんは、これに乗りたい! と、数カ月後の国内での販売開始とともに購入。1991年には友人たちとユーノス ロードスターのオーナーズクラブ「J-ROAD OPEN CLUB」を設立し、定期的な日帰りツーリングや2泊3日ツーリングを開催するなど、新車時からワンオーナーでNAを楽しんでいる。
奥さま澄香さんとの新婚旅行はもちろんNAも一緒、その行き先は、なんと通称MRYと呼ばれる横浜市にあるマツダ 横浜研究所(現・マツダR&Dセンター横浜)だった。前田さん夫妻2人のためにプレゼンをしてくれたこと、社員食堂で食事をさせてもらったのは、忘れられない思い出だという。
ロードスター40周年に向けてエンジンをオーバーホール予定
今回の美味しいものツーリングや、クラブツーリングだけでなく、毎月第3日曜日に東広島で開催されているマツダモーニングといった、遠距離のイベントにも足しげく通う前田さんの愛車の走行距離は、取材時で49万5000km。
「3年前の2022年には外装と足まわりのリフレッシュを行いました。基本メンテナンスだけで乗り続けてきていますが、これといった不具合もなく、そのタフさに喜びも感じています。4年後には40周年もありますので、近々エンジンのオーバーホールを考えています」
ロードスターのおかげで、通常なら知り合うことのない多くの人と出会えたことに何よりも感謝しているという前田さん。ずっと長く愛車を楽しむために、外装のリフレッシュの際には、新品部品を使うだけでなく、フレーム内部への防錆処理を行っている。
あと数年で、初代ユーノス ロードスターのデビューから、そして前田さんの愛車となってから40年を迎える。これからもたくさんの新しい出会いが夫婦2人を待っていることだろう。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
