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業務用のCX-5でモータースポーツに参戦!? 仕事仲間”が“競技仲間”となって楽しめるデイラリー

マツダCX-5で参戦していた岩本栄佐夫さん(左)と佐藤慎之介さん(右)

エアコン付き車でスピードを競わないからコドライバーを引き受けました

自動車免許さえあれば誰でも参加できる「デイラリー」。その第2戦となる光圀ラリーには、仕事で使っているマツダ「CX-5」で参戦したクルーがいました。普段は会社の経営に携わるふたりが、休日はラリーのクルーとして息を合わせる。じつはラリー用に仕立てたハードなマシンではなかったから参戦できるようになったそうです。

手術と闘病を経験してモータースポーツを諦めかけていた

どんなクルマでも、どんな人でも手軽に参加できるモータースポーツ「デイラリー」。その証拠とも言えるクルーに引き寄せられ、マツダCX-5で参戦していた岩本栄佐夫さんと佐藤慎之介さん組に話を聞いてみました。一見親子参加かと思えましたが、じつはテレビや映画、劇場などでの撮影現場で大道具や舞台美術を制作・設置する会社「タフゴング」を経営しているそうです。ちなみに、映画「沈黙の艦隊」での潜水艦など、彼らの舞台美術での実績は、ここに列挙するいとまがないほど素晴らしいものがあります。

同じ会社の人であれば、上司と部下のような立場の違いもあるはずです。とはいえ、ルールに基づくスポーツの現場では、上司への忖度は不要です。

ドライバーの岩本さんは、ラリーファン垂涎のFINAカラーをまとったランチア・デルタHF、プジョー306、フォード・エスコートRSを数台所有し、群馬サイクルセンターにも展示されているほどの人物でした。

「免許を取ってすぐに『ベレG』(いすゞ・ベレットG)を買ってから、“クルマバカ”になってしまった」

と自嘲気味に車歴を語る岩本さん。その車歴はマツダ「ファミリア ロータリークーペ」、日産「チェリー」、DR30“鉄仮面”スカイライン、フィアット、マーコス「1600GT」と多岐にわたります。前述のFINAカラーのデルタは、ロケ先で、今では考えられない100万円程度の安価な個体に出会い、手に入れてレストアしたそうです。まさに根っからのエンスージアストと敬えるほどの人物です。

「私がラリーを始めたのは50代からです。トヨタ ヴィッツの競技車でJAFの地方戦によく出ていました。ヨーロッパ戦に出てみようかとも思ったんですが、病気、癌になってしまって」

と、手術と闘病を経た岩本さん。知人からデイラリーというものがあると知らされ、「もう一度やってみるか」と、佐藤さんへの誘いになったわけです。

断る理由がなくて参戦したら見事にハマりました

2024年に岩本さんは

「コドライバーがいないので一緒に参加しないか」

佐藤さんをデイラリー参戦に誘いました。

ところが

「冷房が効かないクルマでは出場しませんし、ましてや速さを競うロールバー装着のラリー競技車では怖いので出ません」

ときっぱり言い放ったそうです。普段はマツダ「RX-7」を愛車にしている佐藤さんでも、岩本さんとのラリー競技参戦には何かしらの警戒感があったのでしょう。

ラリー参戦など意識したこともない佐藤さんとすれば、このような条件を出せば岩本さんからの誘いを断れるだろうと思ったそうです。

ところが、岩本さんは所有するラリーカーではなく、エアコンの効く社用車のマツダCX-5を持ち込むというのと、速度は競わないデイラリーということもあって、佐藤さんとしても断る理由が見つかりません。結果的には巻き込まれていくことに。

そのような経緯もありながら、このラリークルーはシリーズ参戦2年目に突入しました。

デイラリー・シリーズに参戦してみた岩本さんも、

「速さを追求するラリーはいつまでもできるわけじゃないし、競技参加自体にお金も結構かかる。それが嫌になってしまってね。でもこれ(デイラリー)は面白い。成績にこだわることもないし、いろんなクルマで競技に参加する人たちとのつながりができて楽しい」

いつまでもモータースポーツができる素晴らしさ、コストパフォーマンスの良さに溢れている、それがデイラリーということでしょう。

コドライバー兼ナビゲーター役の佐藤さんにしてみれば、岩本さんとは連日仕事で関わり、休日もモータースポーツに参戦する間柄。

「今や私が指示され、使われている側ですよ」

と、微笑むドライバーの岩本さん。お互いに日頃のストレス解消に役立っているのかもしれません。

ノーマルの社用車でもモータースポーツの実践現場に繰り出すことができ、競技クルーたちに喜びを与えてくれるデイラリー。日常生活に根ざしたモータースポーツの楽しさの一面が、参加者それぞれに見られる光圀ラリーでした。関東デイラリー・シリーズはエントリーフィーが2万数千円ほど。関東シリーズとはいえ、日本全国どこからでも、普段乗りのクルマでも参加できます。気になる方は、まずは公式サイトをチェックしてみてください。

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