サイトアイコン AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

ブレーキだけで軽自動車が買える!? 「カーボンブレーキ」をフェラーリやランボルギーニが採用する本当の理由とは

NSXのカーボンブレーキ

NSXのカーボンブレーキローター

純正採用するスーパースポーツモデルが増加中

 ひと昔前はレーシングカー専用という印象だったが、近年は市販車での採用も続々と増えているカーボンブレーキ。フェラーリやランボルギーニといったお馴染みのスーパーカーを筆頭に、日産「GT-R NISMO」やホンダ「NSX」など国産のハイパフォーマンスモデルでも見かけるようになった。名だたるクルマたちがこぞってカーボンブレーキを選ぶ理由や、従来の鉄製に対してどんなアドバンテージがあるのかを調べてみたい。

ブレーキのカーボン化による恩恵は「軽量化」

 ココでいうところの「カーボン」はカーボンセラミックと呼ばれる複合素材で、粉末や樹脂、ファイバーから成る原料を混合させ、1700℃近い高温および真空の状態で精製される。

 カーボンの特徴はいくつもあるが最大のメリットは軽さで、ブレーキローターなら従来の鉄製に比べ約50%も軽いという。知ってのとおりブレーキローターはいわゆるバネ下重量に含まれ、その軽量化はボディ側となるバネ上の10倍や15倍に相当すると言われている。

 鉄製ローター4枚の合計が40kgと仮定すると、カーボンは20kg。この重量をほかの部分で削ぎ落とすのは並大抵のことではなく、しかもバネ下だけに実際の数字を超える恩恵があると考えていい。

耐久性は高いが非常に高額な点がネック

 また、カーボンブレーキは強度および耐久性、形状安定性や耐腐食性が高いこともメリット。超高速域からハードな減速を繰り返してもフェードしにくく、かつ安定した制動力を長時間にわたってキープし続けるには、カーボンセラミックほど適した素材はといえるだろう。

 ただし、欠点がゼロというワケじゃない。一般ユーザーにとって最大の難点は原料や製造工程の複雑さに起因する価格で、オプション設定されている場合は100万円オーバーが当たり前だ。例えばGT-Rの「ニッサン・カーボンセラミック・ブレーキ」は、約240万円というプライスが設定されている。

 高性能であることは十分に分かっていても、おいそれと手を出せる金額ではないことは確かである。さらに、街乗りが主なら正直にいってオーバースペックで、カーボンの恩恵を受ける機会は少ないと思われる。

* * *

 ちなみにカーボンブレーキが出始めたころは温度管理が難しく、低温だと利きが弱かったりパッドの減りが激しいとも言われた。だが近年は大幅に改善され、以前のようなシビアさはないようだ。スーパーカーやハイパワースポーツカー以外のクルマには無縁のアイテムかもしれないが、普及が進めばいずれ価格は下がるかもしれない。

モバイルバージョンを終了