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719台! 日本の販売台数は3年連続で最高記録達成中。ベントレーの成功は台数より収益性への舵取りに成功したから!?

日本の販売台数は過去最高記録を達成

2023年のベントレーの全世界での販売台数は1万3560台となり、過去3番目の高い実績を記録しました。最高販売台数更新とはならなかったものの、ベントレーモーターズの会長兼CEOであるエイドリアン・ホールマーク氏は、今年の販売に関しても強い自信を覗かせています。ベントレーがそう考える理由についてみていきましょう。

大きなマーケットでの落ち込み、アジアパシフィックの成長

2023年のベントレーの全世界での販売台数は1万3560台で、過去最高の販売台数を記録した2022年に比べ11%減となった。これまでの最大マーケットであったアメリカで9%減、2番目のマーケットである中国で18%減、そしてヨーロッパで15%減と大きなマーケットでの販売減を他のマーケットで埋め合わすことができなかった。

「2023年後半に世界中で見られた厳しい市場環境からベントレーも免れることができなかった」

と、ベントレーモーターズの会長兼CEOであるエイドリアン・ホールマーク氏は話すが、外部要因による一部市場での需要が減退したことを主な販売減の要因として捉えている。

一方、昨年に比べ販売台数を伸ばしたのがアジアパシフィック地域(4%増)、中東・インド・アフリカ地域(2%増)で、日本を含むアジアパシフィック地域においては過去最高の販売台数を記録した。ちなみに、日本の販売台数は719台と、3年連続で過去最高記録を達成している。

車両価値の上昇

台数こそマイナスになったもののベントレーに焦りの影は見当たらない。それはここ数年で発表されたアズール、S、スピードといった高収益をもたらすデリバティブモデルが順調な販売を続けているからだ。2022年に30%だったデリバティブモデルの構成比は2023年には70%まで上昇している。

また、ベントレーのビスポーク部門であるマリナーの発注も43%の増加を見せているという。これは高級車へのパーソナライゼーションへの関心が以前よりも高いレベルにあることを物語っているのであろう。

実に全顧客の3/4が標準オプション以外のマリナーオプションを選択されているという。高級品業界において顧客が真のユニークでエクスクルーシブな商品を求めていることを表している。

ベンテイガが不動の人気

モデル別の販売構成比を見ると、ベンテイガが全体の44%、コンチネンタルGTが31%、フライングスパーが25%を占める結果となった。

ベンテイガに関しては世界的にEWBモデルのデリバリーが始まり、ベンテイガ全体の1/3を占めるベントレーの屋台骨を支える主力車種となった。

ベンテイガ、フライングスパーの顧客の1/4はハイブリッドモデルを選択されるが、イギリスでは、コンチネンタルGTを含む全ての顧客の27%がハイブリッドモデルを選択し、ハイブリッドモデルが最も売れたマーケットとなった。

ベントレーモーターズの会長兼CEOであるエイドリアン・ホールマーク氏はこのように語る。

「私たちは過去3番目に高い販売実績を記録し、強力な受注残を維持して2024年を迎えることができました。その結果、売上の質は大幅に向上し、収益の高いデリバティブモデルは大幅に増加し、オーダーメイドのパーソナライゼーション需要も大幅に伸びました。世界的な需要は引き続き高く、ハイブリッドモデルへの関心も高く、今年もさらに多くの需要が見込まれることから、今後1年間については慎重でありながらポジティブな見方を続けています」

販売モデルが減少し、EVシフトの難しい局面に突入してゆくベントレーが今年はどのような舵取りをしていくのだろうか。

AMWノミカタ
手作業のプロセスが多く生産台数を大きく増やせないベントレーが、右肩上がりの販売台数増を続けていくのは難しい。またEVシフトに向け既存車種を絞り込む必要もでてくるのであろう。そんな中、台数より収益性への舵取りに成功したのが2023年だったのかもしれない。クルマに新たな価値を付加し、その価値を理解いただける顧客にクルマを販売する。ベントレーは良い顧客を持っているブランドなのだとつくづく思う。

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