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ベントレー新型「コンチネンタルGT/GTC」を山岳リゾート地で試す! PHEVに生まれ変わって先代モデルから何が変わった?

ベントレー コンチネンタル GT:ハイパフォーマンスバージョンのスピードは「ウルトラパフォーマンスハイブリッド」と呼ばれるシステム最高出力782ps/最大トルク1000Nmを発揮する新パワートレインを搭載

リセールバリューも高いGTCスピードという選択が優勢?

ベントレーのブランド再興の立役者となる「コンチネンタルGT」が第4世代へと進化、最上級モデルとなる「スピード」にいち早く試乗しました。W12エンジンから、最高出力782ps/最大トルク1000NmのV8エンジン+モーターのPHEVへと変更されたその走りとは?

W12からV8+モーターへと進化した高性能バージョン

ロールス・ロイスと袂を分かち、アウディ傘下のブランドとして再興したベントレー。その立役者が初代「コンチネンタルGT」だった。その名のとおり、大陸横断も容易くこなす豪華なグランドツアラーであり、なかでも王者の風格さえ漂う個性的でかつ美しいスタイリングと、W12ツインターボエンジンによる秀でた動力パフォーマンスが人気を集めた。

そんなコンチネンタルGTも第4世代へと進化。最上級グレードとなるであろう「GTスピード」&「GTCスピード」からデリバリーを始める。

キャビンまわりを見れば分かるとおり、基本的には先代モデルがベースだ。けれどもコンポーネンツの約7割を新設計とした。V8エンジン+1モーターのプラグインハイブリッドパワートレインやアクティブサスペンションシステム、400V電気アーキテクチャなど性能や機能を決定づける主要なパートは全て刷新されているから、中身的にはフルモデルチェンジだと言っていい。

日本市場でのデリバリーを前に、公道を使った国際試乗会がイタリア国境に近いスイスの山岳リゾート地アンダーマットにて開催された。

朝からあいにくの雨だったが、試乗スタート時刻には止んでいた。路面はウエット。気温は低い。けれども日差しが出てきた。GTCスピードに乗り込んで、ためらうことなくトップを下げる。これくらいの路面コンディションなら、4WDであるコンチネンタルGTの実力を試すにはかえって好都合だろう。

モデル史上初の“ハンドリングマシン”

いつものように好みのドライブモードはB(=クルマにお任せ)でドライブし始めた途端、これまで以上になめらかなライドフィールに感心する。PHVゆえ電動でのスタートとなったのがもちろんこれまでとは大きく異なる点なのだが、その静かな走りに見合うようにアシもまたウルトラスムースに転がり始めたからだ。

先代GTCの乗り味を思い出せば、クーペに比べてちょっと肩の力が抜けたような心地よさはあったけれど、そのぶん一般道では少しでも路面が荒れてしまうと大きなタイヤがバタバタしてしまっていた。そこが新型ではまるで違う。ボディがしっかり支える以上にアシもまた新たなダンピングシステムによりしっかり押さえつけ、上半身も下半身も決して震えることなく、極めてなめらかに転がって走るのだ。この辺り、新たに採されたツインバルブダンパーとデュアルチャンバーエアスプリングが効いているのだろう。

さらに最初のランナバウトを回って早くも気になっていたハンドリングに関しても上々であることを発見する。プラグインハイブリッド化によってかなりの重量増になったことが気になっていたわけだけれども、体重が増えたことなどまるで関係ないと言わんばかりに素直な旋回フィールをみせた。バッテリーを後方に配置したことで前後重量配分が改善されたらしい。なるほどクルマというものは、絶対的でもありまた、相対的でもあった。

時速140キロまでBEVとして走らせることができる

ランナバウトを3つ4つ抜けると、もう険しいワインディングロードへの入り口に差し掛かる。アクセル開度75%、最高速140km/hまでBEVとして走らせることができるから、Bモードではそれを最大限生かそうとするし、電動性能にも不足はまるでない。

けれどもエンジン好きとしてはやっぱり新開発V8の実力を早く試したくなった。モードをスポーツに変える。するとV8クロスプレーン特有のサウンドがすぐに鳴り始めた。決して爆音ではない。けれども乗り手の心を躍らせるような豊かさがある。サウンドそのものも以前のV8より格段に心地よく、下品でもない。それでいてスポーティでもあった。

加速フィールがとにかく素晴らしい。1000Nmは重量感を消し去るに十分なトルクということだろう。特に痺れたのが中間加速。実はここでも重量バランスの良さが効く。右足を踏み込んだ時の応答がベントレーとは思えないほどに俊敏で、そこからはクルマのサイズが小さくなっていくような錯覚にも襲われた。スタビリティも十分だ。だから安心して踏んでいける。

コーナリングパフォーマンスも最初のランナバウトで予想した通り、従来とはまるで違う。とにかくグイグイと内を向いてくれる感覚があって、曲がることが楽しいと思えるようになった。前後重量配分の改善がここでも効いているのと、リアステアやアクティブシャシーの働きも大きいだろう。4WDであることを忘れるどころか運転フィールはFRそのもので、過去3代とはまるで違う。コンチネンタル史上、初のハンドリングマシンであると言ってもいい。

高速クルージングの安定感も素晴らしい

感心したのがコンポジットブレーキのタフネスぶりだった。ガツンと強めの制動をかけても重さを余計に感じさせず、姿勢も乱さずに減速できる。しかもペダル操作はコントローラブル。曲がり終えてからの加速もまた思いのままだった。峠道をこんなにも真剣に楽しめたベントレーは初めてで、とうとうテストドライブの最後までスポーツモードから離れなかった。

もちろん高速クルージングの安定感も素晴らしく、GT性能の高さは相変わらずだ。

そんな印象は、クーペのGTスピードに乗り換えてもまるで変わらなかった。これまでとは違って、乗り心地もGTCスピードとほとんど変わらず上等だ。ドライブモードをスポーツにしても、コンフォートでも、足元の動きに節度があり、不満を感じることもない。

要するにGTもGTCも、スピードに関して言えば乗り味が変わらない。以前に比べると随分とその差が縮まった、というか、もうほとんど違わないのだ。だからこそ困ったことになる。ルックスのいいクーペを選ぶか、たまのオープンエアに備えるか。乗り味が変わらないのであれば、一粒で二度美味しく、リセールバリューも高いGTCスピードという選択が優勢かもしれない。

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