大径ホイールの暴れを封じ込める補強パーツの正体
最新のW465型へと進化したメルセデスAMG「G63」。その洗練された走りをさらに高めるべく、歴代のメルセデス・ベンツ「Gクラス」を乗り継いできたレース経験豊富なオーナー、“サスケ”さんが愛用しているのが「MCB(モーション・コントロール・ビーム)」です。最新モデルでも拭いきれないラダーフレーム車特有の挙動を劇的に変えた、その驚きの効果とメカニズムについて語ります。
歴代Gクラスを乗り継いできたオーナーによるMCBへの信頼
メルセデスAMG G63が歩んできた進化の軌跡は、常に走行性能の限界を押し広げる歴史でもあった。その卓越したパフォーマンスを日常のドライビングで享受するオーナー諸氏のなかには、あえて「MCB(モーション・コントロール・ビーム)」を追加装備することで、さらなる走りの深化を体感している人々がいる。
今回は、先代のW463型時代から歴代のGクラスにMCBを装着し、その恩恵を肌で感じてきた熱狂的なGフリークであり、最新のW465型G63へと乗り継いだオーナーである“サスケ”さんに、その劇的な乗り味の変化について話を伺った。
“サスケ”さんは、単なる高級SUVの愛好家ではない。自らレースシーンに身を投じた経験を持ち、マシンの挙動に対してきわめて鋭敏な感覚を持つドライバーだ。彼が初めてMCBを手にしたのは、メルセデス・ベンツ「G550(W463型)」を駆っていたころのこと。
当時はルーフラックを装着しており、Gクラス特有の腰高なフォルムに重量物が加わったことで、コーナリング時のロールやふらつきが顕著に現れていた。
「車高のあるGクラスのルーフに積載物を載せたことで、挙動の不安定さが気になっていました。そこでショップに相談し、薦められたのがMCBだったのです」
半信半疑で装着した結果、その効果は即座に現れた。高速走行時のレーンチェンジやコーナーでのロールが抑制され、路面の轍(わだち)やギャップを越えた際の収束性が劇的に向上したのだ。
その後、メルセデスAMG「G63(W463A型)」へ乗り換えた際も、23インチへの大径ホイール化に伴うバネ下重量の増加と、それによるハンドルの取られやすさを解消すべく、迷わずMCBを導入。高速域でのコーナリングでも、確信を持ってアクセルを踏み込める安定感を手に入れたと振り返る。
最新のW465型でも感じられたラダーフレーム車特有の挙動
一時期、モノコック構造の最新SUVに身を置いていた“サスケ”さんだが、再びGクラスの世界へと戻ってきた。選んだのは、最新の電子制御とパワートレインをまとったW465型のメルセデスAMG G63である。
しかし、洗練を極めたはずの新型であっても、モノコック車から乗り換えた直後は、ラダーフレーム構造特有の微振動や路面からの入力に対する挙動に、期待したほどの進化は感じられなかったそうだ。
「新型になり走行安定性は増したはずですが、やはりフレーム車特有の揺すられ感は残っていました。そこで三度、MCBの存在を思い出したのです。結論から言えば、これが大正解でした」
現在、“サスケ”さんのG63には23インチホイールが組み合わされているが、MCB装着後は市街地走行における微細なギャップの突き上げが、角の取れたマイルドなものへと変化した。
“サスケ”さんのガレージには、MCB未装着のメルセデス・ベンツ「G350dプロフェッショナル(W463A型)」も控えているが、乗り換えるたびにMCBがもたらす「雑味の取れた乗り味」の差に、その都度驚かされるとのことだ。
微振動や捩れを吸収するMCBのメカニズム
MCBの根幹を成すのは、ワッシャー板バネ式のダンパー機構である。これは一般的な油圧ダンパーとは異なり、微小な変位に対して強力な減衰力を発揮するのが特徴だ。
走行中、絶えず車体に入力される路面からの微振動や、コーナリング時にフレームが受ける捩れエネルギーをこの機構が吸収・放出することで、車体の変形速度を抑制する。結果として、ドライバーには「ボディの剛性が一段上がったような、しっかり感」として伝わるのである。
Gクラス特有の高いアイポイントは圧倒的な視界の良さをもたらす一方で、物理的な重心の高さゆえに、段差を乗り越えた際の揺れがドライバーの不安に直結しやすい。
「最新のGクラスを手に入れたが、どこか挙動に落ち着きがない」「大径ホイールによるバネ下の暴れを抑え込みたい」。そう願うオーナーにとって、MCBは単なる補強パーツの枠を超え、Gクラスを真のグランドツアラーへと昇華させるための、不可欠なチューニングといえるだろう。
悪路走破性を極めるために採用された堅牢なラダーフレームは、Gクラスのアイデンティティそのものである。しかし、オンロードを主体とする現代の使われ方において、その構造がもたらす物理的なネガを最新のパーツで相殺し、自分好みの快適な乗り味へと調律していく作業もまた、Gクラスという名車を所有する醍醐味のひとつなのだ。
