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キラキラ・ベンツに使用したクリスタルは30万個! 恐るべし、すべて手作業で施工

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TEXT: 木村隆之(KIMURA Takayuki)

地道な作業がもたらした圧倒的存在感!
スワロ・ベンツに関する5つの疑問を直撃

 クルマ好き、特にカスタイズ好きならば見たことがあるだろう。「D.A.D(ディー・エー・ディー)」ブランドでおなじみのギャルソンが手がけたデモカーだ。製作されたのは10年前のこと。時が経っても色褪せない、全身スワロスキーで身を包んだメルセデス・ベンツSLである。

 大阪オートメッセや東京オートサロンといったカスタマイズカーショーで、有名な存在となったキラキラなベンツ。ゴールドとシルバーの2台は、毎年ブースのメインステージに展示されているが、今年の東京オートサロンでその姿はなかった。だが、大阪での展示を望む声が多数寄せられたこともあり、本来予定のなかった会場スペースへ「せめて一台だけでも…」とゴールドを展示することにしたそうだ。 それほど大きな影響力を与え続ける、究極の遊び心をカタチにしたカスタマイズカーの世界ではシンボル的な存在。なんとなく知っているけど、もっと知りたいスワロ仕様ベンツの疑問を代表の桑山さんに聞いてみた。

 

使用したスワロフスキーの数はどれくらい?

「使用したスワロフスキーは、1台あたり約30万個です。クリスタル、クリスタルゴールデンシャドウ(金)、ジェットヘマタイト(黒)と、3種類の色を使用することでデザインしてボディラインを描いているわけです。さらにサイズ、爪が掴む仕様のものなど、全6種類のスワロフスキーを使用。パートごとにベストな”石”と”仕様”を使い分けています」。

 

作業時の苦労バナシは?

「小さなスワロフスキーを一粒ずつ貼っていくというのは、根気のいる地味な作業です。気の遠くなるような果てしない時間を考え、チームを結成してプロジェクトをスタートさせたのです。クルマは、左右対称のシンメトリーが基本。右側のそのパートを担当した人は、左側の同じ部分も施工することで、左右での貼り方や配置バランスをなるべく統一するようにしました」。

「しかし、作業者は手元しか見ていないため、そのバランスが崩れることも。やり直しも多かったため、想像を絶する作業でしたね。また、2台目のゴールドは1台目に製作したシルバー製作時のスタッフが同じ場所を担当。遠目からバランスをチェックする監督を配置するなど、ノウハウも確立してきたので、1台目と比べて効率よく作業できました」。

 

街中を走っても剥がれない? 試した接着剤は10種類以上

「スワロフスキーを貼るための接着剤選びが大変でした。まずは社用車で半年間かけて走行テストを行いましたが、ホイールは熱や振動など使用状況が過酷。事実、数多くのメーカー品をテストしましたが、最終的にひとつの接着剤に辿り着きました。車両展示だけでなく、街中も走行します。過酷な使用条件に耐えた物を使用していますから、いまだにビクともしてません」。

 ちなみに、材料となるスワロフスキーは現在ほどメジャーではなく、海外から30万個を仕入れるだけでも大変だったそうだ。そのため、入荷したところから少しずつ作業を始めたが、次の便が2週間経っても入って来ない。“このペースだといつ完成するの?”と途方に明け暮れたこともあったとか。

 

最もデザインに凝ったパートは?

「サイドダクトのラインですね。クリスタルが後方にかけてゴールドへと馴染んでグラデーションになっています。馴染ませる具合を確認するため、パソコンでシミュレーションしてから施工に取りかかりました。クルマのボディは完全に直線ではないので、例えば10個でスタートしたものが終わりでは10個以上にしないといけない場面もあるんです。つまり、どこかでつじつま合わせをしなければいけない。それをいかに自然に見せるのかにも苦労しましたね」。

 

洗車はどうしているの?

「スワロフスキーも汚れてしまうと特有の美しい輝きは発揮してくれません。そのため月に1度は、高水圧で洗車してますよ。よく心配されるのですが、超強力な接着剤を使っているので高圧洗車程度で剥がれることもありません。ただし、吹き上げは慎重に行ないます。なるべくタオルで引っかけないように心がけています」。

 

 ちなみにシルバーのSL600は、2009年の第26回東京オートサロンでカスタムカーコンテストにてグランプリを獲得。翌年に誕生した2台目ゴールドは、大阪オートメッセで見事グランプリを獲得したことは記憶に新しいところだ。

「いちタイヤショップに過ぎなかったカクタスが、ギャルソン、D.A.Dというブランドで成長させてもらい、夢の舞台でグランプリが取れたんです。業界の一つの頂点に歴史を刻めたことは本当に嬉しかったですね」と代表の桑山さんは語ってくれた。

 地味なアナログ作業がもたらした圧倒的な存在感。ふだんは「D.A.D 心斎橋アメ村店」でお客様を出迎えているそうだ。もし見かける機会があったら、そんな事にも想いを馳せながら観察してほしい。

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