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70歳超ドライバーの安全を守る「高齢運転者標識」は義務化すべき?

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TEXT: 山本晋也  PHOTO: Auto Messe Web編集部

死亡事故20%以上が70歳以上のドライバー

 かつて「紅葉マーク」、「枯葉マーク」と呼ばれた高齢運転者標識。2011年にはシニアのSをモチーフとした4色のマークに変更された。登場以来、高齢者への義務化が求められてきたが、いまに至るまで装着の義務化は実現しておらず、道路交通法(道交法)では70歳以上のドライバーに対する努力目標にとどまっている。高齢ドライバーによる交通事故が社会問題となりつつある昨今、「高齢運転者標識」の表示義務化はなぜ進まないのだろうか。

 高齢ドライバーの運転による交通事故は目立っている。実際、警察庁の発表した交通事故統計を見ても、死亡事故における第一当事者(事故に関わった中で過失がもっとも大きな人)の3割以上が65歳以上の高齢者で、70歳以上では全体の22.9%となっている。全体として死亡事故自体は減っているが、高齢者の関わる死亡事故は増えているのだ。

 団塊の世代が高齢者となったことで母数が多いという見方もあるが、人口10万人あたりの死亡事故件数でいっても、75歳以上の高齢者が第一当事者となっている死亡事故は2.04件と非常に多い。ちなみに、人口10万人あたりの死亡事故件数でいうと16~19歳が2.38件と突出。その若者をはじめ免許取り立てのドライバーには、いわゆる「若葉マーク(初心運転者標識)」の表示が義務付けられているが、同様に事故率の高い高齢ドライバーにも、周囲の注意喚起のために「高齢運転者標識」を義務付けるのが筋ではないだろうか。

 実際、一時は75歳以上のドライバーに「高齢運転者標識」を義務付けるという流れもあったが、高齢ドライバーからの反発もあり、努力目標に落ち着いている。たしかに70~74歳が第一当事者となった死亡事故発生率は人口10万人あたり1.15件と、他の年齢層と比べて微増レベル。70歳以上のドライバーに「高齢運転者標識」を義務付けるのは早すぎるかもしれないが、データからも75歳以上のドライバーに表示を義務付けることは周囲のドライバーに対する情報として意味があるものだと思われるが、いかがだろうか。

 もちろん、若者の事故が多いようにマークを付けたからといってダイレクトに事故が減るとも言えないのも事実だろうが…。

 なお、一般ドライバーにおいては「高齢運転者標識」を掲げたクルマに対して幅寄せや割込みといった運転をすることは道交法で禁じられており、基礎点数1点・反則金6000円(普通自動車の場合)となっている。もちろん、高齢ドライバーへのあおり運転などご法度だ。

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