クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB

クルマを文化する
REAL CAR CULTURE

AUTO MESSE WEB(オートメッセウェブ)

  • TOP
  • CAR
  • ミスしても見て見ぬ振り!? 高齢者の運転免許講習会を受講して失望したワケ
CAR
share:

ミスしても見て見ぬ振り!? 高齢者の運転免許講習会を受講して失望したワケ

投稿日:

TEXT: Auto Messe Web編集部  PHOTO: AUTO MESSE WEB編集部

高齢者講習の予約が取れない!

 自分にもこんな日が来るとは思っていなかったが、やはり来てしまった。高齢者講習である。満70歳以上での運転免許更新のための免許の切れるのは誕生日の1か月後までだと思ってのんびりしていたが「高齢者講習を受けなさい」という通知も来ていたので、重い腰を上げた。

 ところが、おすすめの近郊講習会場(自動車教習所)に電話をかけてみるが、筆者は人口の多い千葉県浦安に住んでいるので、アチコチ電話をかけてみるが予約は満杯で、1か月から2か月待ちだという。「えっ、免許切れちゃうよ」と思ったら、こうした場合は、近くの警察署で免許有効期間の延長ができるという。

 ようやく電話5件目に「4週間後」に講習を受けられるところを見つけて予約した。もちろん、本免許切れにもなるので浦安警察で事情を話すと、このようなケースは多いらしく簡単に有効期限を1か月延長できてほっとしたが、びっくりである。話を聞くとこうした1か月待ちなどはザラ、だということで、さらにびっくり。そりゃそうだ。戦後生まれの団塊世代が70歳を迎え、ここ数年は70歳以上の免許更新件数は極めて増えているようだ。

 そのような中、連日のように高齢者が引き起こす事故のニュースが相次ぎ、クルマの運転に自信があるとはいえ他人ごとではない。それにしても、報道は日本中から「高齢者事故」だけをピックアップして報道するので「急増」しているように見えるが、深刻な問題になっているのは確か。この際、おとなしく編集者らしくしっかりと教習を受けてみようと決意したわけ。

高齢者向け運転のアドバイスさえなし

 講習に用意するのは免許証と手数料の5100円で「お釣りのないように」と念を押されて講習会場に出向いた。時間は2時間ですべてが終わるという。運転講習もあるというので興味津々。なんと50年ぶりの自動車学校である。その日、高齢者講習を受けるのは12人で自動車学校の規模で人数が違うらしいが、やることは共通だ。

 最初の1時間は座学で「双方向で講習をやります」という。要するに対話式ってわけ。講師の「この場合、運転者はどうするのか?」という風な単純な質問に答えるわけだが、それほど難しいことはない。「バカにするな」というよーな、ごく当たり前の話で40分程度を費やす。双方向って言うほどのものじゃない。そのあとは視覚検査があった。動体視力や視野角度などもさらりと終わり、続いて運転実施講習だという。

 この際、日ごろ鍛えた運転テクニックを披露したいと思っても、隣の教官の言う通りだから、スピードは低く、車庫入れ、クランクの走り方などゆっくり走れば何事も起きないはず。3人ずつが組になっているので、ほかの人の運転も後部座席で確認できる。どんな運転するのか興味深い。

 72歳だという女性は、クランクで何度も縁石に乗り上げるし、車庫入れは3回もやり直した。それでもなにごともなかったように次の人に代わる。こちらの人は高齢者講習2回目だという76歳の男性だが、車庫入れにかなり手間取っていた。自分もなぜか一時停止を見落としてしまった。イカン、イカン。

 アッという間に2時間が経過して、終了証をもらう。終了証はなんとなくありがたい気がする。が、最近の高齢者運転者の事故についての話は一切なく、コーナーの縁石を何度も乗り上げた女性や、車庫入れが苦手なお父さんにも適切なアドバイスがない。期待はしていなかったが、ほとんど意味のない儀式のように思えた。せめて「新しくできた標識」の話や年寄りドライバーがミスしやすい運転のことなどを、こうした高齢者講習にシッカリ盛り込まないと事故の軽減など出来っこない。公安委員会に一考をうながしたい。

高齢になると運動能力の個人差が大きくなる

 70歳を超えると人による運転技量の差は大きく、極端な例だと78歳を迎えた元レーシング・ドライバーの黒沢元治さんは、いまだに健康で、運転の実力はほとんど落ちていないように見える。2年くらい前だが、宮城県のスポーツランドSUGOのカートコースで、ホンダが企画したS660タイムアタックでは、レースに出て、腕に自信のあるモータージャーナリストを尻目にトップタイムをたたき出し、みんなを驚かせた。また60歳を超えたジャーナリストでもハイパワーモデルを軽々と扱い、市販車ではサーキットのトップタイムをたたき出すことも多い。

 そこで最近60歳の還暦を迎えたレーシング・ドライバー&自動車評論家の中谷明彦さんに「高齢と事故」について聞いてみた。

「この業界を見ただけでも70歳を超える人が増えているが、ほとんど元気いっぱいで、高齢者講習などいらないように見えるが、それでも個人差が大きい。事故が減ることはどんどんやればいいが、僕が思うところ、世の中の人はクルマをなめているんじゃなかと思う。ピストルや趣味の銃器などは厳重な管理がされ、ナイフなども持ち歩くことは制限されているが、クルマは免許さえあればだれでも乗れる。でも、見方を変えるとクルマは危険な凶器でもある。意識して人に当てれば、ナイフや銃以上の凶器に代わる。その怖さをもっと意識することが必要だ。免許返納キャンペーンより、そのあたりの意識改革が必要だね」

 各人の動体視力の差も問題だ。そこで、最新の自動運転に近いクルマを徹底して高齢者に向けたチューニングをしてみたらどうだろう。メカニズム面では電子制御ばかりに目が向いているが、町の発明家のものも研究するといい。アクセルとブレーキの踏み違え防止策などでは、なるほど!と思えるものもあり、自動車メーカーは街の発明家のアイデアも馬鹿にせず、防止対策に取り組んで欲しいものだ。

すべて表示

 

 

 

 

 

 

ranking

RECOMMEND

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

 

 

 

 

 

 

MEDIA CONTENTS

WEB CONTENTS

ranking

AMW SPECIAL CONTENTS